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台湾総統選挙を見据え台湾を追い込む中国(9月23日)
(台湾総統選挙を見据え台湾を追い込む中国)
キリバスやソロモン諸島など南太平洋の国々が次々と台湾に断交を通告し、台湾が追い込まれている。こうした国々は中国の強い影響下にあり、中国との国交を樹立するものとみられている。これによって現時点で台湾を国として認める国はツバル、マーシャル諸島、パラオ、ナウル、バチカン、グアテマラ、パラグアイ、ホンジュラス、ハイチ、ベリーズ、セントビンセント・グレナディーン、セントクリストファー・ネイビス、ニカラグア、セントルシア、スワジランドなど、わずか15か国となった。...
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(台湾総統選挙を見据え台湾を追い込む中国)
キリバスやソロモン諸島など南太平洋の国々が次々と台湾に断交を通告し、台湾が追い込まれている。こうした国々は中国の強い影響下にあり、中国との国交を樹立するものとみられている。これによって現時点で台湾を国として認める国はツバル、マーシャル諸島、パラオ、ナウル、バチカン、グアテマラ、パラグアイ、ホンジュラス、ハイチ、ベリーズ、セントビンセント・グレナディーン、セントクリストファー・ネイビス、ニカラグア、セントルシア、スワジランドなど、わずか15か国となった。インド太平洋戦略を打ち出し南太平洋の島嶼国との関係強化を図ってきた米豪は2か国が立て続けに台湾との外交関係を見直した動きに警戒感を強めている。
(蔡英文追い落としを狙う中国)
南太平洋で中国が存在感と強めてきている背景には2020年1月の台湾総統選挙で親中派の韓国瑜を側面支援し、親米派の蔡英文を追い落としたいという狙いが隠れている。これについては蔡英文総統も当然認識しており、「来年1月の総統選への影響を狙った悪辣な圧力であると認識している」として中国への猛批判を展開している。
(南太平洋に、安全保障上の拠点を構築したい中国)
もうひとつ、中国の南太平洋諸国への影響力拡大強化は「インド太平洋戦略」を推し進めたい米国にプレッシャーを与えたいという別の思惑もある。中国は南太平洋に自国の艦艇が寄港できるようにし、安全保障上の独自の足場を築きたいと考えている。この地は日本人にとってはガダルカナル島として馴染みが深い太平洋戦争における日米の旧激戦地でもある。そうしたエリアに拠点を構えることに中国は地理的な戦略も感じさせている。オーストラリア、ニュージーランドに安全保障上のグリップを利かせたいというのが中国の狙いである。こうした中国の思惑を察した米国はソロモン諸島が台湾との関係を維持できるようにこれまで粘り強く働きかけてきたが、結局不発に終わってしまった。今後、米国は香港デモを突破口としつつ台湾・蔡英文を側面支援したい考えであり、米中間の熾烈な勢力争いが水面下で続いていきそうだ。
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台湾・ホンハイ郭台銘・総統選立候補せず (9月17日)
シャープを買収した台湾の鴻海精密工業の創業者で来年1月の総統選挙で有力候補の一人になるとみられていた郭台銘が一転して立候補しない考えを示した。
総統選挙には与党民進党の蔡英文総統と最大野党国民党の韓国瑜高雄市長が立候補する予定で無所属で出る場合は今日までに当局に届け出なければならない。
郭台銘が所属する国民党に離党届を提出していて立候補するとの見方が強まっていたが、一転して立候補しない考えを示した。
理由について台湾の経済のために頑張りたいというのが当初の志だったが怨みや対立などがあおられてしまったとし、自分への支持が思うように集まらなかかったことを示唆している。
台湾総統選・郭台銘・無所属立候補か(9月12日)
来年1月に行われる台湾の総統選挙には、与党民進党からは現職の蔡英文総統、最大野党国民党からは韓国瑜高雄市長が立候補する予定で、シャープを傘下に置くホンハイ精密工業の創業者で国民党に所属する郭台銘も立候補に強い意欲を示してきた。
こうした中、国民党の重鎮30人余りが郭の立候補をけん制する声明をきょう付けの新聞に掲載した。
郭は事務所を通じて、党より自分たちの利益を優先させていると批判した。...
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来年1月に行われる台湾の総統選挙には、与党民進党からは現職の蔡英文総統、最大野党国民党からは韓国瑜高雄市長が立候補する予定で、シャープを傘下に置くホンハイ精密工業の創業者で国民党に所属する郭台銘も立候補に強い意欲を示してきた。
こうした中、国民党の重鎮30人余りが郭の立候補をけん制する声明をきょう付けの新聞に掲載した。
郭は事務所を通じて、党より自分たちの利益を優先させていると批判した。
国民党を離党する考えを明らかにし、無所属で立候補する意向を近く表明するのではないかという見方が強まっている。
郭が無所属で立候補するには、あすから今月17日までに届け出をしたうえで有権者およそ28万人の署名を集める必要がある。
立候補すれば国民党の支持層だけでなく、蔡総統を支持する無党派層の一部も取り込むと見られ、郭の動向に注目が集まっている。
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習近平政権は台湾を武力で併合するつもりか(8月7日)
昨年3月、2期目の習近平政権が発足した。時を同じくして憲法が改正され、2期までという任期制限が撤廃された。海外ではこの権力強化の動きに対する批判が強かった。中国国内でさえ、不満の空気が漂い、特に中流階級の間では理解に苦しむばかりの憲法改正となった。しかし、ある「ロジック」が巷に流れてから、世間の心証を変え始めたという。
ある「ロジック」とは、あそこまで憲法改正の強行に至った理由を正当化した理論武装のことで、つまり、「習近平主席の任期中に台湾問題を解決する中国共産党の決意」というものだ。...
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昨年3月、2期目の習近平政権が発足した。時を同じくして憲法が改正され、2期までという任期制限が撤廃された。海外ではこの権力強化の動きに対する批判が強かった。中国国内でさえ、不満の空気が漂い、特に中流階級の間では理解に苦しむばかりの憲法改正となった。しかし、ある「ロジック」が巷に流れてから、世間の心証を変え始めたという。
ある「ロジック」とは、あそこまで憲法改正の強行に至った理由を正当化した理論武装のことで、つまり、「習近平主席の任期中に台湾問題を解決する中国共産党の決意」というものだ。これは相当に乱暴な解説のようだが、残念ながら、中国では納得力がある動機づけとなる。まず、台湾を武力で解放することが人民解放軍の最大の使命だと、70年も言い続けてきた軍人または軍人上がり達は、その夢が実現できていないことへの苛立ちが募っている。また、一般の人々は、純粋の愛国心に駆られて、「国連常任理事国の5か国で分裂しているのは中国だけ」と悔しがっている層も相当いる。そして、中国のエリート層では、最近、「台湾問題の解決を中国の安全保障上の最大の利益とすべき」という論調が主流となりつつある。
要するに、時間は中国大陸側にあるという従来の仮説が真逆の方向に向かっている推移を見て焦りだした中国は、習近平氏の任期中でしか台湾問題を解決する見込みがないと見方を変えたのだ。
中国が台湾問題を平和的に解決出来ないと認めた場合、武力で解決する選択肢しか残っていないことになる。その時の最高指導者が習氏である必要があると、ある中国の軍事評論家が分析する。言い換えれば、習氏は他の人が持っていない格好な条件が揃っている。
1.父親の習仲勲が人民解放軍の一期生で、中国解放戦争に巨大な貢献をしている。
2.自身が人民解放軍の経歴を持つ。
3.人民解放軍をはじめ、国全体に及ぶカリスマ性がある
問題は武力で解決する選択肢を取る時期なのだが、5年から10年以内というのが一つの有力な観測のようだ。その前兆として捉えられている最近起きた幾つかの出来事を例に挙げると、
7月31日、中国文化観光省が47都市から出発する個人の台湾観光を中断することを公告した。
8月1日付『環球時報』は「人民解放軍と呼ばれるその故を知らないと言わせない」と題する記事を発表した。その記事の「補一刀」(中国語で「とどめを刺す」との意)というペンネームを使っているのに目が引かれる。
8月7日、中国映画局が台北金馬映画祭への中国、香港不参加決定を発表した。
中国の対台湾攻勢がこれで終わるわけがなく、今後更なる強硬措置が打ち出されているものと思われる。その意味では、人民解放軍が台湾を武力で解放する最初の狼煙が昨年3月の憲法改正で既に上がっているといっても過言ではないかもしれない。
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最も高い潜在的危険(7月27日)
25日、台湾の独立に向けた動きを察知した中国防衛省の報道官が「仮に台湾が本土からの独立を宣言するようなことがあれば、武力攻撃も躊躇しない」と発言した。実は中国側がこうした発言を行うのは今回がはじめてではない。ただ香港デモの拡大で中国本土に警戒感が強まっている時期での発言であり、これまでの発言とは重みが違うのは確かだ。この同じ日にこの発言をあざ笑うかのように米海軍第7艦隊の「アンティータム」が台湾海峡を航行したと発表した。...
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25日、台湾の独立に向けた動きを察知した中国防衛省の報道官が「仮に台湾が本土からの独立を宣言するようなことがあれば、武力攻撃も躊躇しない」と発言した。実は中国側がこうした発言を行うのは今回がはじめてではない。ただ香港デモの拡大で中国本土に警戒感が強まっている時期での発言であり、これまでの発言とは重みが違うのは確かだ。この同じ日にこの発言をあざ笑うかのように米海軍第7艦隊の「アンティータム」が台湾海峡を航行したと発表した。台湾の蔡英文総統は、中国が台湾を外交的に孤立させ、経済を弱体化させ軍事的圧力をかけていくというキャンペーンに対抗するために、台湾の軍隊を強化させるということを政権の中心的なミッションに据えてきた。中国は、ひとつの中国をスローガンに掲げ台湾を自国の領土の一部とみなし、必要に応じて強制的に台湾を支配下に置くことも辞さない構えをみせている。中国は米国による台湾への武器売買は内政問題への介入であり「ひとつの中国を認めた」はずの米国に対する信頼を損なうものであると非難している。一方、蔡英文総統は香港デモの一部の参加者の台湾への受け入れを検討する姿勢を見せている。
米中貿易戦争は例えば南シナ海での米中間の安全保障上の緊張と連動し始めた。中国はいくつかの地域でその軍事的プレゼンスを間違いなく最高度に高めており、いつどこで米中がぶつかってもおかしくない状況にある。中でも台湾海峡で米中の紛争が起きる可能性が最も高い。さらに民進党、特に蔡英文総統周辺には中国からの独立を強く望む人々が存在しているということもある。米国にとっても台湾という島は旧ソ連時代から今に至るまで数十年にわたって米国の戦略上の要衝であり、米国にとってこの島を失うことは許されない上、台湾人パイロットへの訓練を含む台湾への武器への売り上げも米国にとっては大きい。
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