台湾への密航で・香港民主活動家ら裁判始まる・米英は懸念(12月29日)
香港の民主活動家や学生ら12人は、香港から船で台湾に渡ろうとしたところ中国海警局に拘束され、密航の罪で起訴された。
大半が香港での抗議活動に関連し逮捕、起訴されたあと保釈中で、香港国家安全維持法に違反したとして逮捕された民主活動家の男性も含まれている。
10人の裁判が香港に隣接する中国・深センの裁判所で始まった。欧米各国の大使館員や多くの香港メディアが訪れたが裁判所は傍聴を認めず、検察側と弁護側が意見を表明したとネット上で公表した以外、審理の詳しい内容は明らかにしていない。...
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香港の民主活動家や学生ら12人は、香港から船で台湾に渡ろうとしたところ中国海警局に拘束され、密航の罪で起訴された。
大半が香港での抗議活動に関連し逮捕、起訴されたあと保釈中で、香港国家安全維持法に違反したとして逮捕された民主活動家の男性も含まれている。
10人の裁判が香港に隣接する中国・深センの裁判所で始まった。欧米各国の大使館員や多くの香港メディアが訪れたが裁判所は傍聴を認めず、検察側と弁護側が意見を表明したとネット上で公表した以外、審理の詳しい内容は明らかにしていない。
北京・米国大使館は速やかな釈放を求め、英国・ラーブ外相は声明で「活動家らは弁護士との接見もできなかった」として、公正で透明性ある審理が行われるか深い懸念を示した。
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米中せめぎ合いの一端か・中国軍の空母台湾海峡通過(12月21日)
中国軍の空母が台湾海峡を通過したと台湾・国防部が明らかにした。
米軍・駆逐艦・マスティンも台湾海峡を通過していて、この地域での米中両国のせめぎ合いの一端をうかがわせている。
トランプ政権・台湾と新たな経済対話・中国けん制か(11月21日)
米国と台湾は20日、ワシントン市内のホテルで新たに創設した経済対話の初会合を開催し米国からはクラック国務次官が、台湾からは経済部の陳正祺次長がそれぞれ出席した。
米国国務省と台湾当局が発表した声明によると、双方はサプライチェーンの構築やインフラやエネルギー面のほか、5Gなどのハイテク分野で協力を深めることを確認したということで、国務省は「米台の経済関係を強化し自由な市場への、われわれの共通の関与を強化するものだ」と対話の意義を強調している。...
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米国と台湾は20日、ワシントン市内のホテルで新たに創設した経済対話の初会合を開催し米国からはクラック国務次官が、台湾からは経済部の陳正祺次長がそれぞれ出席した。
米国国務省と台湾当局が発表した声明によると、双方はサプライチェーンの構築やインフラやエネルギー面のほか、5Gなどのハイテク分野で協力を深めることを確認したということで、国務省は「米台の経済関係を強化し自由な市場への、われわれの共通の関与を強化するものだ」と対話の意義を強調している。
また、台湾側も「米台の経済協力を新たなレベルに押し上げた」としている。
米国と中国の対立が続く中、トランプ政権は攻撃能力を持つ無人機などの武器を台湾に相次いで売却することを決めるなど、安全保障面で台湾への関与を強めている。
トランプ政権としては経済面でも台湾との関係を深めることで双方の関係強化に反対する中国をけん制するねらいがあると見られる。
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米国の台湾への武器売却・中国が対抗措置・示唆(10月28日)
米国・トランプ政権は台湾への武器売却を相次いで決めており、先週は戦闘機から発射する地上攻撃型のミサイルなど、26日には対艦ミサイルなどの売却を決め議会に通知した。
中国外務省・汪文斌報道官は強く反発した上で、対抗措置をとる可能性を示唆した。
中国政府は、トランプ政権が台湾への武器売却を決めたことに対し、売却に関わる米国企業などへの制裁の実施をおととい明らかにしたばかりで、米中の対立が激しさを増している。...
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米国・トランプ政権は台湾への武器売却を相次いで決めており、先週は戦闘機から発射する地上攻撃型のミサイルなど、26日には対艦ミサイルなどの売却を決め議会に通知した。
中国外務省・汪文斌報道官は強く反発した上で、対抗措置をとる可能性を示唆した。
中国政府は、トランプ政権が台湾への武器売却を決めたことに対し、売却に関わる米国企業などへの制裁の実施をおととい明らかにしたばかりで、米中の対立が激しさを増している。
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台湾・李登輝元総統の告別式(9月19日)
台湾の民主化に尽力しことし7月に亡くなった李登輝元総統の告別式がきょう行われた。
李登輝元総統は台湾で初めての直接投票による総統選挙を実現させるなど民主化に尽力しことし7月、多臓器不全などのため97歳で亡くなった。
告別式はキリスト教系の大学の礼拝堂で行われ、蔡英文総統や政権の幹部らに加えて海外からは米国のクラック国務次官や森元総理大臣が参列した。
蔡英文総統は「私たちは成果を継承し台湾の主体性を引き続き確立して民主主義と自由を深めていく責任がある」と述べた。...
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台湾の民主化に尽力しことし7月に亡くなった李登輝元総統の告別式がきょう行われた。
李登輝元総統は台湾で初めての直接投票による総統選挙を実現させるなど民主化に尽力しことし7月、多臓器不全などのため97歳で亡くなった。
告別式はキリスト教系の大学の礼拝堂で行われ、蔡英文総統や政権の幹部らに加えて海外からは米国のクラック国務次官や森元総理大臣が参列した。
蔡英文総統は「私たちは成果を継承し台湾の主体性を引き続き確立して民主主義と自由を深めていく責任がある」と述べた。
李元総統は来月上旬、台湾北部にある軍の墓地に埋葬される。
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李元総統の告別式に参列・米国国務次官・台湾訪問へ・中国をけん制か(9月17日)
米国のトランプ政権は7月に亡くなった台湾の李登輝元総統の告別式に参列するため、国務次官が台湾を訪れると発表した。
断交以来、国務省の高官としては最も高いレベルの訪問となり、台湾への圧力を強める中国をけん制するねらいがあるものと見られる。
米国国務省は、あさって行われる台湾の李登輝元総統の告別式に参列するため経済やエネルギー政策を担当するクラック国務次官が台湾を訪れると発表した。
国務省は台湾との強い絆を保ち政治的、経済的価値観を共有することで李元総統の遺産に敬意を示すとしている。...
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米国のトランプ政権は7月に亡くなった台湾の李登輝元総統の告別式に参列するため、国務次官が台湾を訪れると発表した。
断交以来、国務省の高官としては最も高いレベルの訪問となり、台湾への圧力を強める中国をけん制するねらいがあるものと見られる。
米国国務省は、あさって行われる台湾の李登輝元総統の告別式に参列するため経済やエネルギー政策を担当するクラック国務次官が台湾を訪れると発表した。
国務省は台湾との強い絆を保ち政治的、経済的価値観を共有することで李元総統の遺産に敬意を示すとしている。
今回の訪問では半導体や医療、エネルギー分野などの協力強化に向けた新たな経済対話の枠組み設置についても台湾当局と協議するものと見られる。
台湾の外交部によるとクラック次官は日本時間のきょう午後、台湾に到着しあさってまで滞在する。米国国務省の高官では断交以来、最も高いレベルの台湾訪問になるということでトランプ政権としては、統一に向けた台湾への圧力を強める中国をけん制するねらいがあるものと見られる。
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台湾“中国軍機が「防空識別圏」進入”(9月11日)
台湾当局は「中国軍がきのうまでの2日間台湾の近海で軍事演習を行い、戦闘機などが防空識別圏に進入した」と発表し、台湾に対する軍事的圧力だという見方を示した。
台湾の国防部によると、演習は中国の空軍と海軍が合同で行ったもので、進入した中国軍機は台湾からおよそ160キロ離れた空域を飛行していた。
中国軍機による防空識別圏への進入はたびたび起きていて、周辺で活動する米軍を警戒するにあたって通過するケースが多いとみられていた。...
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台湾当局は「中国軍がきのうまでの2日間台湾の近海で軍事演習を行い、戦闘機などが防空識別圏に進入した」と発表し、台湾に対する軍事的圧力だという見方を示した。
台湾の国防部によると、演習は中国の空軍と海軍が合同で行ったもので、進入した中国軍機は台湾からおよそ160キロ離れた空域を飛行していた。
中国軍機による防空識別圏への進入はたびたび起きていて、周辺で活動する米軍を警戒するにあたって通過するケースが多いとみられていた。
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チェコ上院議員の台湾支持めぐり・対抗措置示唆の中国にヨーロッパ反発(9月4日)
チェコの上院議長が台湾を訪れて台湾を支持する姿勢を示したことへの対抗措置を示唆している中国に対し、ヨーロッパでは「脅迫は受け入れられない」と反発が広がっている。
ドイツ・マース外相は「我々は国際的なパートナーに敬意をもって接する相手にも同じことを期待する脅迫はふさわしくない」、スロバキア・チャプトバ大統領は「脅迫は相互関係の本質に反するもので、受け入れられない」とコメントした。
フランス外務省も同様の立場だ。...
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チェコの上院議長が台湾を訪れて台湾を支持する姿勢を示したことへの対抗措置を示唆している中国に対し、ヨーロッパでは「脅迫は受け入れられない」と反発が広がっている。
ドイツ・マース外相は「我々は国際的なパートナーに敬意をもって接する相手にも同じことを期待する脅迫はふさわしくない」、スロバキア・チャプトバ大統領は「脅迫は相互関係の本質に反するもので、受け入れられない」とコメントした。
フランス外務省も同様の立場だ。
中国としては、王外相や政治局委員が相次いでヨーロッパを訪れて、新型コロナウイルスへの対応や香港問題などをめぐる各国の警戒感を和らげたい考えだ。
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台湾支持の姿勢に・中国外相“チェコ議長一線越えた”(9月2日)
中国・王毅外相は1日、ドイツ・マース外相と会談した。
中国外務省によると会談では、新型コロナウイルスで打撃を受けている世界経済の活性化を図ることや、トランプ政権を念頭に「新冷戦」つくりだすことに反対し、多国間主義を重視することなどをめぐって意見が交わされたという。
会談後の記者会見で王毅外相は、台湾を訪れているチェコの上院議長が台湾の議会で行った演説で中国から圧力を受けている台湾を支持する姿勢を示したことについて、「議長は公然と台湾独立勢力の肩を持ったばかりでなく、他国を扇動し挑発した。...
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中国・王毅外相は1日、ドイツ・マース外相と会談した。
中国外務省によると会談では、新型コロナウイルスで打撃を受けている世界経済の活性化を図ることや、トランプ政権を念頭に「新冷戦」つくりだすことに反対し、多国間主義を重視することなどをめぐって意見が交わされたという。
会談後の記者会見で王毅外相は、台湾を訪れているチェコの上院議長が台湾の議会で行った演説で中国から圧力を受けている台湾を支持する姿勢を示したことについて、「議長は公然と台湾独立勢力の肩を持ったばかりでなく、他国を扇動し挑発した。一線を越えた」と述べ厳しく非難した。
マース外相は「われわれは国際的なパートナーに敬意をもって接する。その逆も同じことを期待する。脅迫はふさわしくない」と述べた。
中国は今回の欧州訪問で、新型コロナ対応などをめぐる各国の警戒感を和らげたい考えだったが、懸念や批判が相次いだ。
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台湾めぐり・米国・厚生長官・中国・WHOの対応批判(8月11日)
台湾を訪問している米国のアザー厚生長官が台湾がWHOへの参加を求めていることについてオブザーバーとしての参加資格を復活させようと働きかけたが中国共産党とWHOが阻止したと述べ、中国とWHOの対応を批判した。
アザー長官は米国と41年前に断交して以来台湾を訪問する最高位の高官で昨日は蔡英文総統に続き新型コロナウイルス対策の陣頭指揮を執る陳時中衛生福利部長と会談した。
台湾は2009年からWHOの総会にオブザーバーとして参加していたが、中国が独立志向が強いとみなす民進党政権に交代した翌年の2017年以降招待されていない。...
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台湾を訪問している米国のアザー厚生長官が台湾がWHOへの参加を求めていることについてオブザーバーとしての参加資格を復活させようと働きかけたが中国共産党とWHOが阻止したと述べ、中国とWHOの対応を批判した。
アザー長官は米国と41年前に断交して以来台湾を訪問する最高位の高官で昨日は蔡英文総統に続き新型コロナウイルス対策の陣頭指揮を執る陳時中衛生福利部長と会談した。
台湾は2009年からWHOの総会にオブザーバーとして参加していたが、中国が独立志向が強いとみなす民進党政権に交代した翌年の2017年以降招待されていない。
これについて台湾の蔡英文総統は米国の働きかけを中国が阻止するのは誠に遺憾だと述べた。
一方米国はWHOが中国寄りだとして、来年7月に脱退することを国連に通知している。
アザー長官はWHOから脱退した後について台湾と引き続き連携していく考えを示した。
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台湾・李登輝元総統死去・台湾民主化に尽力(7月31日)
台湾の民主化を進めた、李登輝元総統が昨夜、敗血症ショックと多臓器不全のため死去したことが明らかになった。97歳だった。
1988年に台湾の総統に就任、1996年に住民による総統直接選挙を実現させ、国民党の独裁が続いていた台湾の民主化を進めた。
また、中国との関係で経済交流などを活発化させ、「特殊な国と国の関係だ」などと台湾独立を意識した発言を繰り返した。
親日家としても知られていた。
JCCテレビすべて|
movienews(2015/07/23 元台湾総統 李登輝の会見)
台湾・蔡英文総統・中国の圧力に警戒感(7月19日)
台湾・与党民進党は、台湾・台北で党大会を開いた。
1月の総選挙で再選され再び問うトップの主席に就任した台湾・蔡英文総統が演説し「台湾は民主的な体制のもとで新型コロナウイルスの危機を乗り越えられたが、今後数年は台湾の民主主義は外部からの厳しい挑戦に直面するだろう」と述べ、中国からの圧力が台湾で増すことへの警戒感を示した。
蔡総統は「隣の香港では自由と人権が強い打撃を受けている。民進党は与党として、台湾の民主主義などの価値を守る責任があり、権威や脅しに屈しない」と述べ、台湾統一を目指して圧力をかける中国に屈しない姿勢を改めて強調。...
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台湾・与党民進党は、台湾・台北で党大会を開いた。
1月の総選挙で再選され再び問うトップの主席に就任した台湾・蔡英文総統が演説し「台湾は民主的な体制のもとで新型コロナウイルスの危機を乗り越えられたが、今後数年は台湾の民主主義は外部からの厳しい挑戦に直面するだろう」と述べ、中国からの圧力が台湾で増すことへの警戒感を示した。
蔡総統は「隣の香港では自由と人権が強い打撃を受けている。民進党は与党として、台湾の民主主義などの価値を守る責任があり、権威や脅しに屈しない」と述べ、台湾統一を目指して圧力をかける中国に屈しない姿勢を改めて強調。
台湾テレビ局の世論調査(5月)で蔡英文総統の対中国政策の満足度は、この3年で最高の52%。
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台湾・高雄市長リコールで国民党に打撃(6月7日)
台湾で中国に融和的な立場をとってきた最大野党・国民党の韓国瑜(高雄市長)は、2020年1月に行われた総統選挙に立候補したが、香港での抗議活動を受けて中国への反発が広がる中、現職の蔡英文総統に大差で敗れた。
韓はその後も高雄市長を続けていたが、総統選挙に立候補して市長の職務を放棄したなどとして市民団体からリコール(解職請求)が提出され、6日に住民投票が行われた。
開票の結果、賛成票が93万9090票とリコール成立に必要な数を上回り、韓は罷免されることになった。...
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台湾で中国に融和的な立場をとってきた最大野党・国民党の韓国瑜(高雄市長)は、2020年1月に行われた総統選挙に立候補したが、香港での抗議活動を受けて中国への反発が広がる中、現職の蔡英文総統に大差で敗れた。
韓はその後も高雄市長を続けていたが、総統選挙に立候補して市長の職務を放棄したなどとして市民団体からリコール(解職請求)が提出され、6日に住民投票が行われた。
開票の結果、賛成票が93万9090票とリコール成立に必要な数を上回り、韓は罷免されることになった。
国民党では中国寄りのイメージの払拭を訴える江啓臣が主席に就任して党の立て直しを進めているが、支持率は低迷したままで今回のリコール成立はさらなる打撃となっている。
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台湾・蔡総統・きょうから2期目・中国との関係は(5月20日)
今年1月の総統選挙で中国への対抗姿勢を示し、過去最多の票を獲得して再選された台湾の蔡英文総統は、きょう午前中に行われる就任式で今後4年間の基本方針について演説する予定である。
蔡政権の新型コロナウイルスの感染対策に市民の評価は高く、地元のテレビ局の世論調査によると、蔡総統の最新の支持率は61%と過去最高を更新している。
蔡総統は「1つの中国」の原則を受け入れず、演説では圧力を強める中国との関係や経済政策について、どのような発言をするのか注目される。...
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今年1月の総統選挙で中国への対抗姿勢を示し、過去最多の票を獲得して再選された台湾の蔡英文総統は、きょう午前中に行われる就任式で今後4年間の基本方針について演説する予定である。
蔡政権の新型コロナウイルスの感染対策に市民の評価は高く、地元のテレビ局の世論調査によると、蔡総統の最新の支持率は61%と過去最高を更新している。
蔡総統は「1つの中国」の原則を受け入れず、演説では圧力を強める中国との関係や経済政策について、どのような発言をするのか注目される。
これに先立って米国のポンペイオ国務長官は、「蔡総統のもとで米国と台湾のパートナーシップは繁栄し続けると確信している」などとする蔡総統の2期目のスタートを祝う声明を発表した。
新型コロナウイルスへの対応をめぐって対立する中国をけん制するねらいがあるものとみられる。
台湾の外交部によると、米国の国務長官が総統の就任式に合わせて声明を発表するのは初めてだとしていて、中国の反発が予想される。
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米中、台湾問題でも鋭く対立(5月17日)
コロナウィルスの発生源や貿易をはじめとする経済問題で対立を激化させている米中であるが、古くからある台湾問題でも新たに対立を深めている。5月16日の「環球時報」は「米国は必死に『台湾カード』を振り回しているが、今回は効果がないのはなぜか」という5000字に近い長文を掲載し、米国への反撃を行っている。
5月18日から開催されるWHOの総会に台湾をオブザーバー参加させるように米国が強く主張している。...
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コロナウィルスの発生源や貿易をはじめとする経済問題で対立を激化させている米中であるが、古くからある台湾問題でも新たに対立を深めている。5月16日の「環球時報」は「米国は必死に『台湾カード』を振り回しているが、今回は効果がないのはなぜか」という5000字に近い長文を掲載し、米国への反撃を行っている。
5月18日から開催されるWHOの総会に台湾をオブザーバー参加させるように米国が強く主張している。5月6日にはポンペオ国務長官が欧州諸国に台湾のオブザーバー参加を支持するようによびかけ、8日には米国の保健福祉長官が台湾の衛生福利部長に総会参加を支持すると電話をかけ、11日には米国上院が「台湾のWHOでのオブザーバー資格を回復させる法案」を通過させている。さらには日本、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダに対し、台湾支持を要請している、として非難。
中国は、WHOが国連の機関であるということを持ち出して、1971年に国連は中華人民共和国が中国の唯一の合法政府としている、ということさえ主張し、台湾にWHO総会の参加資格がないことを主張している。
さらには、同記事のなかで、(オーストラリアが、コロナウィルスの発生源に関して中国を調査すべきと主張していることに対し)オーストラリアの4社に対し、対中牛肉輸出を禁じると5月12日には通達したことも書いている。もっともこれは両国の管理部門が共同で決定したもので、決して報復ではないと中国は述べている。
中国が強力な国家となり、台湾統一ができる能力を持てるようになればなるほど、米国が「台湾カード」を振りかざし、中国に打撃を与えようとしているとして、中国はこのような米国をはじめとする西側諸国の根拠なき暴言に対し、誠実に対処していく、と述べているのである。
台湾は2003年のSARSの感染拡大を教訓に、コロナウィルスの防疫体制をしき、いち早く抑え込みに成功している。米国としてはこの実績をもとに中国寄りとされるWHOに対し、牽制球を投げ続け、中国非難を行っていることになる。もっとも16日現在、18日から開催される総会への招請状を台湾は受け取っていないことから、台湾のオブザーバー参加は実現しそうにない。
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台湾企業・中国から回帰の動き(2月13日)
台湾企業の動きをビジネスチャンスと捉える日本企業も出てきている。台湾で産業用ロボットを販売するメーカーの玉井武志副社長。台湾企業の間から、中国から移した生産ラインで人件費を抑えるためロボットを導入したいという問い合わせが相次いでいる。
米中貿易摩擦の先行きが見通せない中、台湾企業の回帰は当分続くとみて、売り込みを強めている。
総統選挙後の動き(1月18日)
台湾総統選挙では予想通り、蔡英文現総統が勝利を収めた。選挙期間中は中国に対し強硬姿勢を示していたが、当選後はこうした姿勢を軟化させるのではないかとみられていた。ところが実際には中国に対する強硬姿勢を継続させており、14日、中国を念頭にBBCのインタビューに答えた蔡英文総統は「我々は既に独立しており、あえて独立国家だと主張する必要もない。我々は自らを中華民国、台湾と呼んでいる。もし台湾を侵略するようなことがあれば非常に大きな代償を払うことになるだろう」と発言した。...
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台湾総統選挙では予想通り、蔡英文現総統が勝利を収めた。選挙期間中は中国に対し強硬姿勢を示していたが、当選後はこうした姿勢を軟化させるのではないかとみられていた。ところが実際には中国に対する強硬姿勢を継続させており、14日、中国を念頭にBBCのインタビューに答えた蔡英文総統は「我々は既に独立しており、あえて独立国家だと主張する必要もない。我々は自らを中華民国、台湾と呼んでいる。もし台湾を侵略するようなことがあれば非常に大きな代償を払うことになるだろう」と発言した。これに対し中国政府報道官は16日、「台湾はこれまでもずっと国家ではなかったし、分割が不可能である中国の一部分である」と猛反発した。この同じタイミングで今度は、「米軍の艦艇1隻が台湾海峡を北上した」と台湾国防省が発表した。これはトランプ政権が蔡英文総統を援護する意思表示であることは間違いない。台湾の軍事力は世界第22位で、兵員は推定で189万人、戦闘機の数は286機、軍事予算は107億2500万ドルである。これに対し14億人の人口を持つ中国は世界第3位の軍事力を持ち、兵員は269万人、戦闘機の数1222機、軍事予算2240億円で台湾1国ではとても太刀打ちできない。昨年8月にトランプ政権が台湾にF16戦闘機売却を決め、中国が猛反発したことは記憶に新しいが、世界ナンバー1の軍事大国・米国の後ろ盾があってはじめて台湾は中国に対し強い姿勢を示すことができる。また米国にとっては対中国政策における切り札的位置を占めることになるかも知れない。
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台湾総統選・蔡英文総裁“圧勝”・新聞各紙“習近平指導部に反対の民意が示された”(1月12日)
きのう投票が行われた台湾の総統選挙では、中国への対抗姿勢を示す現職の与党民進党・蔡英文総統が直接投票による総統選挙が行われて以来、最も多い800万を超える票を獲得し再選された。
一夜明けたきょう、台湾の新聞各紙は1面で「蔡総統の圧勝」などという見出しとともに支持者の声援に応える蔡総統の写真を掲載した。
このうち民進党に近い立場を取る自由時報は「中国共産党が最大の敗者であり、台湾の人々は投票で強権的な圧力に強い反対を示した」として、台湾への圧力を強める習近平指導部の姿勢に反対する民意が示されたと論評した。...
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きのう投票が行われた台湾の総統選挙では、中国への対抗姿勢を示す現職の与党民進党・蔡英文総統が直接投票による総統選挙が行われて以来、最も多い800万を超える票を獲得し再選された。
一夜明けたきょう、台湾の新聞各紙は1面で「蔡総統の圧勝」などという見出しとともに支持者の声援に応える蔡総統の写真を掲載した。
このうち民進党に近い立場を取る自由時報は「中国共産党が最大の敗者であり、台湾の人々は投票で強権的な圧力に強い反対を示した」として、台湾への圧力を強める習近平指導部の姿勢に反対する民意が示されたと論評した。
台湾では総統選挙と同じ日に行われた議会にあたる立法院の選挙も民進党が過半数を維持した。
今回の選挙で示された結果を受けて今後、中国とどのように向き合っていくかが焦点となる。
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間もなく判明する台湾の選挙結果(1月11日)
まもなく台湾総統選挙の投票が開始される。この選挙は米中代理戦争ともいえ、東アジアの安全保障関係にも大きく影響を与えるものといっても過言ではない。世論調査以上の接戦になるとの見方が一部にあるが、現地メディアの世論調査によれば、大きく蔡英文総統がリードしているとの見方が優勢である。蔡英文総統の追い風となったのは、台湾市民が、実際に自分達の目で、中国にバックアップされた香港当局が香港市民を弾圧する場面をテレビで目撃してしまったことが大きい。...
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まもなく台湾総統選挙の投票が開始される。この選挙は米中代理戦争ともいえ、東アジアの安全保障関係にも大きく影響を与えるものといっても過言ではない。世論調査以上の接戦になるとの見方が一部にあるが、現地メディアの世論調査によれば、大きく蔡英文総統がリードしているとの見方が優勢である。蔡英文総統の追い風となったのは、台湾市民が、実際に自分達の目で、中国にバックアップされた香港当局が香港市民を弾圧する場面をテレビで目撃してしまったことが大きい。蔡英文総統がスローガンとしてきた「今日の香港の混乱は、あすの台湾の姿だ」という言葉を裏うちする証拠として目に飛び込んできた格好となった。さらに野党・国民党・韓国瑜候補は「中国と手を組んで経済を発展させる」というスローガンを掲げてきたが、米中貿易戦争による影響を中国と歩調を合わせてきた台湾企業がもろに受けてしまったことも追い風になった。ただし、蔡英文総統が再選された場合でも中国との関係を断ってしまうということにはならない。蔡英文総統としては米国の同盟国であり近隣国である日本に頼りたいところでもあるが、その日本にすら中国は接近を図っている。今春、日本は習近平国家主席を国賓として招待することになっている。今後、中国はあらゆる手段を総動員して台湾の取り込みを図ってくるものとみられる。例えば資金力を背景に中国政府は、北京から台湾までをつなぐ鉄道構想に多額の資金を投じている。さらには台湾から平潭島に移住してきた人に30%の家賃補助が付いた家具付きの家を用意するなど巨額の投資で民衆の中国離れを防ごうとしてくるだろう。総裁選と同時に開催される立法委員選挙では国民党優勢が伝えられている。国民党が勝てば蔡英文総統は議会とのねじれ運営を迫られることになり、蔡英文総統がどういう距離感をもって中国と付き合っていくのか、よりむずかしいかじ取りを迫られる。
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あすは台湾総統選・争点は中国との距離(1月10日)
台湾の総統選挙があす行われる。最大の焦点は中国との距離の取り方である。
再選を目指す民進党・蔡英文総統は、昨夜大規模な集会を開いた。蔡英文は“中国と距離を置き主権を守る”と訴えた。対する国民党・韓国瑜は、中国に融和的な立場をとり、関係改善を訴えている。
焦点は中国との距離感。今回は中国にとって逆風。香港情勢と米中貿易摩擦の影響している。台湾ではいま、中国への警戒感が広がっている。先月も香港に連帯を示す抗議活動が行われた。...
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台湾の総統選挙があす行われる。最大の焦点は中国との距離の取り方である。
再選を目指す民進党・蔡英文総統は、昨夜大規模な集会を開いた。蔡英文は“中国と距離を置き主権を守る”と訴えた。対する国民党・韓国瑜は、中国に融和的な立場をとり、関係改善を訴えている。
焦点は中国との距離感。今回は中国にとって逆風。香港情勢と米中貿易摩擦の影響している。台湾ではいま、中国への警戒感が広がっている。先月も香港に連帯を示す抗議活動が行われた。
きっかけは去年1月に中国・習近平国家主席が打ち出した台湾への政策。「「一国二制度」の実施が国会統一の最良の策。台湾は中国の一部だ」として「一国二制度」を通じて台湾との統一を目指す姿勢を示した。ところが一国二制度が実施されている香港では抗議デモに警察が取り締まりを強化し、台湾の人にも衝撃を与え“きょうの香港はあすの台湾”などと危機感が高まった。
蔡英文総統は中国を批判し選挙戦でも追い風にしようと訴えている。さらに経済力で台湾の人を取り込もうとした中国の政策に行き詰まりも見られる。
原因が米中貿易摩擦。福建省・平タン島では「台湾との経済交流を活発化の前線基地」として中国は4兆円以上投資。将来的に海底トンネルで台湾との鉄道をつなぐ構想まだあった。
台湾企業の間では米中貿易摩擦による関税の影響で経営環境が悪化すると台湾に戻る動きがでている。こうした状況に中国国政の助言機関の委員でさえ「効果的な政策はとれない」と危機感を示している。
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台湾総統選まであと1週間(1月4日)
台湾総統選まであと1週間となった。現在、蔡英文総統が優勢を維持したままラストスパートをかけている。「一国二制度により中台統一を目指す中国の脅威に対抗すべき」と主張する蔡総統は昨年12月29日の段階での各種世論調査で対立候補である最大野党・国民党の韓国瑜・高雄市長を最大30ポイント以上引き離しているという。蔡総統は新年の演説で中国が提案する「一国二制度」は香港で失敗したと述べ、受け入れを拒否する考えを示しており、蔡総統再選後に中国が、台湾への圧力を強めていくことが間違いない。...
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台湾総統選まであと1週間となった。現在、蔡英文総統が優勢を維持したままラストスパートをかけている。「一国二制度により中台統一を目指す中国の脅威に対抗すべき」と主張する蔡総統は昨年12月29日の段階での各種世論調査で対立候補である最大野党・国民党の韓国瑜・高雄市長を最大30ポイント以上引き離しているという。蔡総統は新年の演説で中国が提案する「一国二制度」は香港で失敗したと述べ、受け入れを拒否する考えを示しており、蔡総統再選後に中国が、台湾への圧力を強めていくことが間違いない。武力行使も辞さないと強硬姿勢を見せている中国だが、短期的に中国が台湾に対してかけてくる圧力として最も考えられるのは台湾との外交関係を持つ国を限りなく減らしていき、台湾の孤立化の動きを促進させていくことである。今春の習近平国家主席の国賓としての訪日の際、中国は日本に台湾との交流を抑える様に要請してくることも考えられる。米国では台湾支持がここ数年強まっているため、日本は基本的にこの流れに歩調を合わせていくため、こうした中国の要請をどのようにかわしていくのかを考えておく必要がある。
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台湾総統選挙・蔡総統“台湾を次の香港にしない”(12月30日)
来月行われる台湾総統選挙の候補者によるテレビ討論会が行われ、再選を目指す蔡英文総統は、「台湾の主権を守ることが最優先で、台湾を次の香港にしない」と述べて支持を訴えた。
選挙は、再選を目指す与党・民進党の蔡英文総統と、南部の都市・高雄市長で最大野党・国民党の韓国瑜の事実上の一騎打ちになっている。
最新の世論調査によると、中国への警戒感を追い風に蔡総統がリードしていて、民進党はあすにも中国を念頭に海外勢力の政治介入を防ぐ法案を議会で可決させ、さらに支持を固める方針である。
台湾総統選(12月28日)
(台湾総統選・ほぼ確実視されている蔡英文当選)
2020年1月11日の台湾総統選まであと2週間となった。米国の支援や、香港情勢、ウィグル族人権弾圧などを追い風にして民進党・蔡英文総統の当選がほぼ確実視されている。中国が支援する国民党の韓国瑜・高雄市長は「蔡英文総統は強権的だ」などと個人攻撃する以外に、これといった打開策を打ち出すことができていない。中国は蔡英文総統を貶めるフェイクニュースを発信したり、中国初の国産空母「山東」と複数の護衛艦を台湾海峡に航行させたりして蔡英文総統に脅しをかけたが効果は出なかった。...
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(台湾総統選・ほぼ確実視されている蔡英文当選)
2020年1月11日の台湾総統選まであと2週間となった。米国の支援や、香港情勢、ウィグル族人権弾圧などを追い風にして民進党・蔡英文総統の当選がほぼ確実視されている。中国が支援する国民党の韓国瑜・高雄市長は「蔡英文総統は強権的だ」などと個人攻撃する以外に、これといった打開策を打ち出すことができていない。中国は蔡英文総統を貶めるフェイクニュースを発信したり、中国初の国産空母「山東」と複数の護衛艦を台湾海峡に航行させたりして蔡英文総統に脅しをかけたが効果は出なかった。
(当選後を見据えた行動に軸を移す蔡英文総統)
すでに蔡英文総統は当選後を見据えた行動に軸を移している。当然のことながら今後、中国は圧倒的な資金力を背景にして、中国の息のかかった人物を蔡英文政権の内部に送り込み、内側からの突き崩しを図ってくることが予想される。蔡英文総統はこれを念頭に置き、「台湾社会は中国の浸透に恐怖を抱いている。政府が具体的な対策を講じるには法的根拠が必要だ」として31日に民進党が過半数を占める現立法院で台湾に対する中国の浸透工作を防止する「反浸透法」を成立させる方針である。この法案は敵対勢力の指示や委託、資金援助を受けての政治献金や各種選挙での宣伝活動を禁じている。罰則規定があり、違反すれば最高5年の懲役、日本円にして約1800万円の罰金が科される。
(中国の強硬姿勢も予想)
台湾総統選挙が終わったら中国は台湾に対し再び強硬姿勢に立ち返るのか、それとも柔軟路線を維持するのかは不透明であるが、強硬姿勢になる可能性は高いといえる。その理由は、中国にとって台湾は海洋の進出のための足場であると同時に第一列島線の突破口であり、台湾を取り込むことができない場合は中国の海洋進出戦略に影響を与えることになるからである。今年1月に習近平国家主席は中台統一のためには武力行使も辞さないとのスタンスを鮮明にしている。
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台湾総統選挙の行方(12月21日)
(香港デモ、ウィグル問題が蔡英文への援護射撃となっている)
台湾総統選挙まで残すところ3週間あまりとなり、熾烈な選挙戦が展開されている。現時点では民進党・蔡英文現総統がリードしている模様である。国民党・韓国瑜・高雄市長は中国の代理人というイメージがあまりに強すぎるため、「中国政府の立場を代弁する人物に台湾の将来は託せられない」と台湾人から突き放された見方をされ、苦戦している。現在起きている香港情勢や新疆ウィグル族への人権弾圧問題も「香港やウィグルで今、起きていることは近いうちに台湾でも起こりうる」という台湾人の中国への危機意識を呼び覚ます結果となっており、蔡英文への援護射撃となっている。...
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(香港デモ、ウィグル問題が蔡英文への援護射撃となっている)
台湾総統選挙まで残すところ3週間あまりとなり、熾烈な選挙戦が展開されている。現時点では民進党・蔡英文現総統がリードしている模様である。国民党・韓国瑜・高雄市長は中国の代理人というイメージがあまりに強すぎるため、「中国政府の立場を代弁する人物に台湾の将来は託せられない」と台湾人から突き放された見方をされ、苦戦している。現在起きている香港情勢や新疆ウィグル族への人権弾圧問題も「香港やウィグルで今、起きていることは近いうちに台湾でも起こりうる」という台湾人の中国への危機意識を呼び覚ます結果となっており、蔡英文への援護射撃となっている。一番大きな要素は台湾の中国に対する反発心が芽生えたことで、そのきっかけとなったのは今年1月に習近平国家主席が「台湾統一のためには台湾への武力行使も放棄しない」という演説をしたことである。この演説を機に蔡英文は支持を集め始めた。
(中国がなりふり構わない行動に出る可能性)
投票日まで、このまま中国が黙ってこの情勢を看過していることは考えにくい。国民党を勝たせるために中国がなりふり構わない行動に出る可能性があり、注意が必要である。まずはSNSでのフェイクニュース発信や民進党支持者のPCへのサイバー攻撃などが考えられる。さらには中国軍機が中台の中間線を越えてきたり、空母が台湾周辺を航行することなども考えられる。民進党支持派デモに国民党支持派を潜り込ませてかく乱したり、支持者を買収したりするというようなことも可能性として十分考えられる、ただしやり過ぎた場合にはさらに民進党の支持につながってしまう事態も考えられるのでそこは慎重に行うかもしれない。一方、台湾の陳水扁元総統は習近平国家主席について「香港や新疆ウィグルで起こっていることをみてみれば歴代国家主席に比べ性格は陰険であり手口もあくどい」とし、暴走する可能性を危惧している。
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台湾総統選挙・きょう始まる(12月14日)
来月行われる台湾の蔡英文総統の任期満了に伴う総統選挙は、今日から正式に選挙戦に入った。中国との距離の取り方を最大の争点に、与野党の論戦がさらに激しくなる見通しである。
正式な選挙期間は今日から28日間で、与党民進党の蔡が再選を目指している他、国民党の韓国ユ、親民党の宋楚ユの3人が立候補している。
3年前に蔡政権が発足して以降、中国政府は「1つの中国」の原則を受け入れない蔡政権との対話を停止し、外交や軍事面で圧力を強めている。...
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来月行われる台湾の蔡英文総統の任期満了に伴う総統選挙は、今日から正式に選挙戦に入った。中国との距離の取り方を最大の争点に、与野党の論戦がさらに激しくなる見通しである。
正式な選挙期間は今日から28日間で、与党民進党の蔡が再選を目指している他、国民党の韓国ユ、親民党の宋楚ユの3人が立候補している。
3年前に蔡政権が発足して以降、中国政府は「1つの中国」の原則を受け入れない蔡政権との対話を停止し、外交や軍事面で圧力を強めている。
有権者の中には中国の圧力に警戒感を強め、香港での抗議活動に共感する人が少なくないという。
最新の世論調査では、民進党の蔡が51%、国民党の韓が29%、親民党の宋が7%となっている。
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中国初の国産空母・台湾海峡を通過(11月18日)
台湾国防部は中国初の国産空母が台湾海峡を初めて通過し、台湾軍のほか米国や日本の艦艇も動向を監視していると発表した。
台湾海峡ではこれまで中国がウクライナから購入した空母が通過した事があるが、国産空母の通過は初めて。この空母は近く任務に就くと見られていて、今回の航行は試験的なものと見られている。
台湾では来年1月の総統選挙の立候補の届け出が始まる事から、独立志向が強いとされる民進党・蔡英文総統に圧力を加える狙いがあると見られている。...
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台湾国防部は中国初の国産空母が台湾海峡を初めて通過し、台湾軍のほか米国や日本の艦艇も動向を監視していると発表した。
台湾海峡ではこれまで中国がウクライナから購入した空母が通過した事があるが、国産空母の通過は初めて。この空母は近く任務に就くと見られていて、今回の航行は試験的なものと見られている。
台湾では来年1月の総統選挙の立候補の届け出が始まる事から、独立志向が強いとされる民進党・蔡英文総統に圧力を加える狙いがあると見られている。
総統府はコメントを発表し「北京当局は両岸と周辺地域の平和と安定を大事にすべきで、域内の安全と福祉への貢献こそが両岸の人々や国際社会が期待すること」などと批判した。
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中国の台湾戦略(9月28日)
中国は5月に発表した「新時代の中国の国防」の中で「台湾を中国から分裂させる者がいれば、中国の軍隊は一切の代価を惜しまずにこれを打ち砕き、国家の統一を守る」と威嚇し、台湾独立の動きに対して武力行使をも辞さない姿勢を改めて鮮明にした。10月1日の中国の国慶節と10月10日の台湾の建国記念日が近いこの時期をあえて選び、ソロモン諸島やキリバスに対する断交工作を中国は仕掛け、18か国あった台湾と国交のある国を15か国に減らしてみせた。...
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中国は5月に発表した「新時代の中国の国防」の中で「台湾を中国から分裂させる者がいれば、中国の軍隊は一切の代価を惜しまずにこれを打ち砕き、国家の統一を守る」と威嚇し、台湾独立の動きに対して武力行使をも辞さない姿勢を改めて鮮明にした。10月1日の中国の国慶節と10月10日の台湾の建国記念日が近いこの時期をあえて選び、ソロモン諸島やキリバスに対する断交工作を中国は仕掛け、18か国あった台湾と国交のある国を15か国に減らしてみせた。再選を目指す蔡英文総統に対するプレッシャーをかけるためである。これだけではない。中国は台湾総統選で「(仮に)蔡英文が再選された場合、(台湾は)外交関係を維持している15の国との関係を失うことになろう」とさらなる脅しをかけてきている。蔡英文が再選された場合、中国は、共産党結党100年を迎える2021年までに台湾併合を実現させるために、2020年にも軍事行動を起こす可能性はゼロではない。習近平国家主席は自らが政権の座にあるうちに台湾統一を成し遂げて歴史に名を刻みたいという強い思いを持っている。さらに不穏な動きがある。最近、2人の台湾人が中国で相次いで行方不明となっている。行方不明者のひとりは香港との境界付近に集結した中国の人民武装警察の写真を撮っていたという噂も出ている。台湾人にとって、中国や香港への旅行はもはや安全ではなくなっているようだ。台湾の将来は、隣国日本及び東アジア地域全体の平和と繁栄に影響を与えるだけに日本にとっても他人事ではない。
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台湾総統選挙を見据え台湾を追い込む中国(9月23日)
(台湾総統選挙を見据え台湾を追い込む中国)
キリバスやソロモン諸島など南太平洋の国々が次々と台湾に断交を通告し、台湾が追い込まれている。こうした国々は中国の強い影響下にあり、中国との国交を樹立するものとみられている。これによって現時点で台湾を国として認める国はツバル、マーシャル諸島、パラオ、ナウル、バチカン、グアテマラ、パラグアイ、ホンジュラス、ハイチ、ベリーズ、セントビンセント・グレナディーン、セントクリストファー・ネイビス、ニカラグア、セントルシア、スワジランドなど、わずか15か国となった。...
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(台湾総統選挙を見据え台湾を追い込む中国)
キリバスやソロモン諸島など南太平洋の国々が次々と台湾に断交を通告し、台湾が追い込まれている。こうした国々は中国の強い影響下にあり、中国との国交を樹立するものとみられている。これによって現時点で台湾を国として認める国はツバル、マーシャル諸島、パラオ、ナウル、バチカン、グアテマラ、パラグアイ、ホンジュラス、ハイチ、ベリーズ、セントビンセント・グレナディーン、セントクリストファー・ネイビス、ニカラグア、セントルシア、スワジランドなど、わずか15か国となった。インド太平洋戦略を打ち出し南太平洋の島嶼国との関係強化を図ってきた米豪は2か国が立て続けに台湾との外交関係を見直した動きに警戒感を強めている。
(蔡英文追い落としを狙う中国)
南太平洋で中国が存在感と強めてきている背景には2020年1月の台湾総統選挙で親中派の韓国瑜を側面支援し、親米派の蔡英文を追い落としたいという狙いが隠れている。これについては蔡英文総統も当然認識しており、「来年1月の総統選への影響を狙った悪辣な圧力であると認識している」として中国への猛批判を展開している。
(南太平洋に、安全保障上の拠点を構築したい中国)
もうひとつ、中国の南太平洋諸国への影響力拡大強化は「インド太平洋戦略」を推し進めたい米国にプレッシャーを与えたいという別の思惑もある。中国は南太平洋に自国の艦艇が寄港できるようにし、安全保障上の独自の足場を築きたいと考えている。この地は日本人にとってはガダルカナル島として馴染みが深い太平洋戦争における日米の旧激戦地でもある。そうしたエリアに拠点を構えることに中国は地理的な戦略も感じさせている。オーストラリア、ニュージーランドに安全保障上のグリップを利かせたいというのが中国の狙いである。こうした中国の思惑を察した米国はソロモン諸島が台湾との関係を維持できるようにこれまで粘り強く働きかけてきたが、結局不発に終わってしまった。今後、米国は香港デモを突破口としつつ台湾・蔡英文を側面支援したい考えであり、米中間の熾烈な勢力争いが水面下で続いていきそうだ。
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台湾・ホンハイ郭台銘・総統選立候補せず (9月17日)
シャープを買収した台湾の鴻海精密工業の創業者で来年1月の総統選挙で有力候補の一人になるとみられていた郭台銘が一転して立候補しない考えを示した。
総統選挙には与党民進党の蔡英文総統と最大野党国民党の韓国瑜高雄市長が立候補する予定で無所属で出る場合は今日までに当局に届け出なければならない。
郭台銘が所属する国民党に離党届を提出していて立候補するとの見方が強まっていたが、一転して立候補しない考えを示した。
理由について台湾の経済のために頑張りたいというのが当初の志だったが怨みや対立などがあおられてしまったとし、自分への支持が思うように集まらなかかったことを示唆している。
台湾総統選・郭台銘・無所属立候補か(9月12日)
来年1月に行われる台湾の総統選挙には、与党民進党からは現職の蔡英文総統、最大野党国民党からは韓国瑜高雄市長が立候補する予定で、シャープを傘下に置くホンハイ精密工業の創業者で国民党に所属する郭台銘も立候補に強い意欲を示してきた。
こうした中、国民党の重鎮30人余りが郭の立候補をけん制する声明をきょう付けの新聞に掲載した。
郭は事務所を通じて、党より自分たちの利益を優先させていると批判した。...
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来年1月に行われる台湾の総統選挙には、与党民進党からは現職の蔡英文総統、最大野党国民党からは韓国瑜高雄市長が立候補する予定で、シャープを傘下に置くホンハイ精密工業の創業者で国民党に所属する郭台銘も立候補に強い意欲を示してきた。
こうした中、国民党の重鎮30人余りが郭の立候補をけん制する声明をきょう付けの新聞に掲載した。
郭は事務所を通じて、党より自分たちの利益を優先させていると批判した。
国民党を離党する考えを明らかにし、無所属で立候補する意向を近く表明するのではないかという見方が強まっている。
郭が無所属で立候補するには、あすから今月17日までに届け出をしたうえで有権者およそ28万人の署名を集める必要がある。
立候補すれば国民党の支持層だけでなく、蔡総統を支持する無党派層の一部も取り込むと見られ、郭の動向に注目が集まっている。
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習近平政権は台湾を武力で併合するつもりか(8月7日)
昨年3月、2期目の習近平政権が発足した。時を同じくして憲法が改正され、2期までという任期制限が撤廃された。海外ではこの権力強化の動きに対する批判が強かった。中国国内でさえ、不満の空気が漂い、特に中流階級の間では理解に苦しむばかりの憲法改正となった。しかし、ある「ロジック」が巷に流れてから、世間の心証を変え始めたという。
ある「ロジック」とは、あそこまで憲法改正の強行に至った理由を正当化した理論武装のことで、つまり、「習近平主席の任期中に台湾問題を解決する中国共産党の決意」というものだ。...
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昨年3月、2期目の習近平政権が発足した。時を同じくして憲法が改正され、2期までという任期制限が撤廃された。海外ではこの権力強化の動きに対する批判が強かった。中国国内でさえ、不満の空気が漂い、特に中流階級の間では理解に苦しむばかりの憲法改正となった。しかし、ある「ロジック」が巷に流れてから、世間の心証を変え始めたという。
ある「ロジック」とは、あそこまで憲法改正の強行に至った理由を正当化した理論武装のことで、つまり、「習近平主席の任期中に台湾問題を解決する中国共産党の決意」というものだ。これは相当に乱暴な解説のようだが、残念ながら、中国では納得力がある動機づけとなる。まず、台湾を武力で解放することが人民解放軍の最大の使命だと、70年も言い続けてきた軍人または軍人上がり達は、その夢が実現できていないことへの苛立ちが募っている。また、一般の人々は、純粋の愛国心に駆られて、「国連常任理事国の5か国で分裂しているのは中国だけ」と悔しがっている層も相当いる。そして、中国のエリート層では、最近、「台湾問題の解決を中国の安全保障上の最大の利益とすべき」という論調が主流となりつつある。
要するに、時間は中国大陸側にあるという従来の仮説が真逆の方向に向かっている推移を見て焦りだした中国は、習近平氏の任期中でしか台湾問題を解決する見込みがないと見方を変えたのだ。
中国が台湾問題を平和的に解決出来ないと認めた場合、武力で解決する選択肢しか残っていないことになる。その時の最高指導者が習氏である必要があると、ある中国の軍事評論家が分析する。言い換えれば、習氏は他の人が持っていない格好な条件が揃っている。
1.父親の習仲勲が人民解放軍の一期生で、中国解放戦争に巨大な貢献をしている。
2.自身が人民解放軍の経歴を持つ。
3.人民解放軍をはじめ、国全体に及ぶカリスマ性がある
問題は武力で解決する選択肢を取る時期なのだが、5年から10年以内というのが一つの有力な観測のようだ。その前兆として捉えられている最近起きた幾つかの出来事を例に挙げると、
7月31日、中国文化観光省が47都市から出発する個人の台湾観光を中断することを公告した。
8月1日付『環球時報』は「人民解放軍と呼ばれるその故を知らないと言わせない」と題する記事を発表した。その記事の「補一刀」(中国語で「とどめを刺す」との意)というペンネームを使っているのに目が引かれる。
8月7日、中国映画局が台北金馬映画祭への中国、香港不参加決定を発表した。
中国の対台湾攻勢がこれで終わるわけがなく、今後更なる強硬措置が打ち出されているものと思われる。その意味では、人民解放軍が台湾を武力で解放する最初の狼煙が昨年3月の憲法改正で既に上がっているといっても過言ではないかもしれない。
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最も高い潜在的危険(7月27日)
25日、台湾の独立に向けた動きを察知した中国防衛省の報道官が「仮に台湾が本土からの独立を宣言するようなことがあれば、武力攻撃も躊躇しない」と発言した。実は中国側がこうした発言を行うのは今回がはじめてではない。ただ香港デモの拡大で中国本土に警戒感が強まっている時期での発言であり、これまでの発言とは重みが違うのは確かだ。この同じ日にこの発言をあざ笑うかのように米海軍第7艦隊の「アンティータム」が台湾海峡を航行したと発表した。...
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25日、台湾の独立に向けた動きを察知した中国防衛省の報道官が「仮に台湾が本土からの独立を宣言するようなことがあれば、武力攻撃も躊躇しない」と発言した。実は中国側がこうした発言を行うのは今回がはじめてではない。ただ香港デモの拡大で中国本土に警戒感が強まっている時期での発言であり、これまでの発言とは重みが違うのは確かだ。この同じ日にこの発言をあざ笑うかのように米海軍第7艦隊の「アンティータム」が台湾海峡を航行したと発表した。台湾の蔡英文総統は、中国が台湾を外交的に孤立させ、経済を弱体化させ軍事的圧力をかけていくというキャンペーンに対抗するために、台湾の軍隊を強化させるということを政権の中心的なミッションに据えてきた。中国は、ひとつの中国をスローガンに掲げ台湾を自国の領土の一部とみなし、必要に応じて強制的に台湾を支配下に置くことも辞さない構えをみせている。中国は米国による台湾への武器売買は内政問題への介入であり「ひとつの中国を認めた」はずの米国に対する信頼を損なうものであると非難している。一方、蔡英文総統は香港デモの一部の参加者の台湾への受け入れを検討する姿勢を見せている。
米中貿易戦争は例えば南シナ海での米中間の安全保障上の緊張と連動し始めた。中国はいくつかの地域でその軍事的プレゼンスを間違いなく最高度に高めており、いつどこで米中がぶつかってもおかしくない状況にある。中でも台湾海峡で米中の紛争が起きる可能性が最も高い。さらに民進党、特に蔡英文総統周辺には中国からの独立を強く望む人々が存在しているということもある。米国にとっても台湾という島は旧ソ連時代から今に至るまで数十年にわたって米国の戦略上の要衝であり、米国にとってこの島を失うことは許されない上、台湾人パイロットへの訓練を含む台湾への武器への売り上げも米国にとっては大きい。
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台湾総統選の行方(7月20日)
(郭台銘敗北の理由)
台湾総統選挙は当初は米国が支援する民進党・蔡英文に対して中国が支援する鴻海精密工業の郭台銘会長による“米中の代理戦争”となるかのように見られていたが、国民党の出馬争いで高雄市市長の韓国瑜が郭台銘を追い落とした。台湾では総統選の候補者は世論の支持率で決まることになるが、大方の予想を覆し韓国瑜が44.6%の支持率を獲得し国民党の候補者となった。韓国瑜は個人的な人気が高く、国民党というより韓国瑜個人の人気で勝利したとみられている。...
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(郭台銘敗北の理由)
台湾総統選挙は当初は米国が支援する民進党・蔡英文に対して中国が支援する鴻海精密工業の郭台銘会長による“米中の代理戦争”となるかのように見られていたが、国民党の出馬争いで高雄市市長の韓国瑜が郭台銘を追い落とした。台湾では総統選の候補者は世論の支持率で決まることになるが、大方の予想を覆し韓国瑜が44.6%の支持率を獲得し国民党の候補者となった。韓国瑜は個人的な人気が高く、国民党というより韓国瑜個人の人気で勝利したとみられている。韓国瑜には韓国瑜だから投票しに行くという熱烈な支持者がついているもようだ。一方、郭台銘会長は27.7%の支持率で韓国瑜に大差をつけられて敗北した。郭台銘は中国共産党の強い要望を受け、今回総統選に立候補したが、中国共産党の影があまりにも強く見えすぎて、有権者だけでなく国民党員からも敬遠されてしまった可能性がある。特に出馬レース直前にあった香港のデモ鎮圧映像を見せられ、中国の言う「一国二制度」の危うさを目の当たりにさせられたことで、台湾人の中国に対する警戒心が強まったことが人気の失速に直結したといえる。郭台銘は香港の反中デモの影響をもろに受けたと言っても過言ではない。現時点では米国が支援する蔡英文が有利というのが下馬評であるが、韓国瑜の動きにも注意が必要である。
(韓国瑜の動きに注目)
今後、中国は韓国瑜をコントロールしようといろいろな動きをみせてくる可能性がある。韓国瑜は郭台銘ほどではないが今年3月に香港の中央政府駐香港連絡弁公室を台湾地方首長として初めて訪問するなど親中派であることに変わりはない。中国が韓国瑜に対し全面的な支援を申し出てくる可能性は高いが、韓国瑜はポピュリストと言われており、中国の思惑より台湾世論の風向きに敏感であるため、中国の思い通りに動かない可能性もあるという。過去、韓国瑜は「国家安全は米国に頼り、市場は中国に頼り、技術は日本に頼る」という方針をあえて表明していることからもそのことは感じ取れる。韓国瑜が今後どのような動きを見せるのかは日本としても大いに注目して見ていく必要がある。
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台湾総統選・鴻海の郭台銘敗れる(7月16日)
来年1月の台湾の総統選挙をめぐる最大野党国民党の予備選で鴻海精密工業の前董事長・郭台銘が敗れた。
郭は高雄市長の韓国瑜に敗れた事を受け韓の勝利を祝福するとの声明を出した。
郭は敗北すれば離党して無所属から出馬するとの観測が出ていたが今後の出方については今のところ明らかにしていない。
台湾への脅しを矢継ぎ早に展開する中国(7月13日)
(内部崩壊を気にする中国共産党)
習主席は武力行使もありうるというスタンスで中国が建国100年を迎える2049年までに台湾を併合することに強い決意を示している。「祖国統一」の大義名分の下で台湾併合を進めていくことによって、習主席は党内と国内における自らの強固な基盤を維持していきたい考えである。一番避けたいのは内部からの分裂・崩壊であり、そのためにもチベット族やウィグル族反政府勢力、反乱分子の監視、弾圧、洗脳にはことさら力を入れている。...
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(内部崩壊を気にする中国共産党)
習主席は武力行使もありうるというスタンスで中国が建国100年を迎える2049年までに台湾を併合することに強い決意を示している。「祖国統一」の大義名分の下で台湾併合を進めていくことによって、習主席は党内と国内における自らの強固な基盤を維持していきたい考えである。一番避けたいのは内部からの分裂・崩壊であり、そのためにもチベット族やウィグル族反政府勢力、反乱分子の監視、弾圧、洗脳にはことさら力を入れている。香港デモで中国本土に対する反乱の種をいち早く見て取った共産党指導部が台湾を念頭に早い段階でデモ鎮圧に乗り出したのはこうした今の中国の危機感を如実に表したものと言える。
(台湾への脅しを矢継ぎ早に展開する中国)
台湾のトップの蔡英文が中米カリブ海諸国を経由して米国ニューヨークに立ち寄り、台湾と外交関係のある国々の国連大使と面会させるなどして厚遇していることに対し、中国外務省は「中国は米台間の公的な交流に断固反対する」と猛反発している。米国政府は8日、台湾に対し戦車108台22億ドル(約2400億円)相当売却し、さらには来年1月の台湾総統選挙での支援を約束した。中国は9日、売却を「直ちに中止する」よう米国に要求したが、米側はこれに取り合わず、「移転される軍備はアジアの平和と安定に寄与するものだ」と応じた。中国は「中国の主権と国家の安全保障を脅かすものだ」と米国を猛批判し、トランプ政権が仮に台湾に武器を売却した場合には関与した米企業に制裁を発動すると発表した。ただしどのような制裁を行うかについては明らかにしていない。さらに10日、台湾を念頭に中国軍が民間船舶を利用する大規模な海上輸送訓練を公開した。加えて12日、中国共産党系の「環球時報」は「中国は台湾や南シナ海の島々に上陸する訓練を行っている」との物騒な記事を掲載するなど台湾に対する脅しを矢継ぎ早に展開している。中国は、台湾に対して硬軟両様の戦術を講じており、例えば中国でビジネスを行う台湾人に対しては「31項目の台湾優遇措置」といった懐柔策も打ち出している。中国は来年1月の台湾総統選では中国は自らの息がかかったホンハイ元会長・カクタイメイを台湾総統選に担ぎだす動きを見せており、米国をバックにした蔡英文との一騎打ちも予想され、米中覇権代理戦争となりそうな雲行きを見せている。
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カクタイメイがホンハイ会長を退任・総統選挙へ(6月22日)
ホンハイ・カクタイメイ(テリーゴウ)会長が「今日の台湾経済の問題は政治にある。過去40年間に培った資源を今後4年間、台湾のために私はささげる」と語り、台湾総統選挙に立候補するためホンハイ会長を退任した。
香港で反中国の大規模デモが発生したことを念頭に入れてか「北京は中華民国の存在を正視すべきだ」と台湾への忠誠心をことさら強調してみせている。カクタイメイは親中国という見方を一掃するためにトランプ大統領などにもたびたび接近しているものの、実際のところ、習近平国家主席の親友であり、筋金入りの大中華主義者とみられている。...
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ホンハイ・カクタイメイ(テリーゴウ)会長が「今日の台湾経済の問題は政治にある。過去40年間に培った資源を今後4年間、台湾のために私はささげる」と語り、台湾総統選挙に立候補するためホンハイ会長を退任した。
香港で反中国の大規模デモが発生したことを念頭に入れてか「北京は中華民国の存在を正視すべきだ」と台湾への忠誠心をことさら強調してみせている。カクタイメイは親中国という見方を一掃するためにトランプ大統領などにもたびたび接近しているものの、実際のところ、習近平国家主席の親友であり、筋金入りの大中華主義者とみられている。5月の訪米中には、同行記者団に「台湾は中国の不可分の一部で、同じ中華民族に属している」と述べたことも記憶に新しい。日本人記者が「一国二制度」の見方を質問したところ「日本人がそんなことを聞くのはおかしい」と回答を避けたという。中国にとっては台湾を中国本土に統合する上でも「中国製造2025」を成功させるためにも必要な人材であることは間違いない。
台湾で5月10日に公表された世論調査では、国民党においてカクタイメイ20%、1位のカンコクユが35%で引き離された観があるが、これはホンハイの製造拠点の多くが中国に置かれていることが一時的に批判にさらされているためで、このままカクタイメイが2位に甘んじているとは思えない。今後も注視していく必要がありそうだ。
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