【タレコメ】
電気代は?危ういLNG調達
エネルギー経済社会研究所代表・松尾豪 日本が長期契約をこれから結ぶといった時に2050年を超えることを心配する声もあろうかと思われるが、フランスのトタールや英国のシェル、イタリアのエニはカタールと2026年から27年間の契約を結んでいて、この契約は2050年を超えている。こうした契約を欧州勢が結んだことは重大なことであり、政府が取る行動と事業者が取る行動が欧州では乖離している。掲げたカーボンニュートラルの目標がなかなか撤去できない中で事業者はかなり堅実な政策を取り始めている。
2024/03/30 BSテレ東[石川和男の危機のカナリア]
エネルギー経済社会研究所代表・松尾豪 電力自由化で自分達が発電した電気が販売できるのかという不安もあり、なかなか長期契約が締結できない状況になってきている。特に今回のエネルギー危機で課題になったのは短期的なスポット取引の価格がものすごく暴騰したことで非常に大きな影響があり、英国やイタリアは2倍3倍の価格で買っている。ドイツでは化学産業が工場を閉鎖したり欧州においては化学鉄鋼業界が事業を継続していくことが難しい状況になっている。
2024/03/30 BSテレ東[石川和男の危機のカナリア]
エネルギー経済社会研究所代表・松尾豪 欧州は4割は域内で天然ガスを生産している。中国は6割生産しており、足らない部分をLNGで輸入している。欧州と中国の自給率はかなり高いのに対し日本はLNGは全部輸入してくるしかない。
2024/03/30 BSテレ東[石川和男の危機のカナリア]
国際環境経済研究所理事・U3イノベーションズ共同代表・竹内純子 産油国は転売禁止を織り込んでくる。そうした縛りが厳しいのは確かだが、欧州や中国はそこを突破し転売している。ここには仕入れのボリューム的な交渉力がある。日本こそそういった交渉を検討するべき。
2024/03/30 BSテレ東[石川和男の危機のカナリア]
国際環境経済研究所理事・U3イノベーションズ共同代表・竹内純子 平事は有事に備える期間と考えた方がよい。エネルギー政策はリスク管理が肝となる。損得のレベルで収まる話であれば別だが、致命的になるほどの価格高騰などのリスクに遭わないように知恵を絞るのがエネルギー政策の基本。ただし、2050年のカーボンニュートラル、2030年の2013年比で46%のCO2削減を前提にすれば、使う化石燃料の量というのは限られてくる。そっちを前提として計画を立てると、現実とはかなり乖離し、長期契約などは結ばない方向にいくことになる。そうなるといくつかの複数シナリオを示された時に民間事業者の方は何を持って判断すればよいかがわからなくなる。
2024/03/09 BSテレ東[石川和男の危機のカナリア]
エネルギー経済社会研究所代表・松尾豪 日本勢として今から長期契約を結ぶといった時には2050年を超えるのではないかという議論も当然出てくるが、例えばフランスのトタルエネジーズとか英国のシェル、イタリアのエニの3社はカタールと2026年から27年の契約を結んでいる。2050年を超える契約を欧州勢が結んだというのは結構、重大なことで、欧州では政府の目標と事業者の目標が乖離していると言われている。事業者側は転売をにおわせているが、グラスゴーで国際社会が掲げたカーボンニュートラル目標が撤回できない状況の中、事業者の方がかなり堅実な政策を取り始めているのも確か。
2024/03/09 BSテレ東[石川和男の危機のカナリア]
エネルギー経済社会研究所代表・松尾豪 欧州の場合はそもそも自分たちの需要に充てる前提でLNGを買っておらず転売して儲けるという発想がある。中国も同じような傾向があり、1億トン近くまで長期契約を伸ばしているが、中国のLNG需要は7000万トンぐらい。欧州は4割自国内で天然ガスを生産している。中国は6割。足らない部分をLNGで輸入している。欧州と中国は自給率がかなり高いのに対し日本は全部輸入に頼っている。
2024/03/09 BSテレ東[石川和男の危機のカナリア]
政策アナリスト・元経済産業省・石川和男 LNGはすべて輸入品。つまり日本の電力会社やガス会社が世界中に行き、運んでこないといけない。ただ天然ガスやLNGを必要としている国は日本だけではない。そこで奪い合いになる。ロシアは天然ガスをたくさん供給できるが、そこで日本が制裁だなどと言ってしまうと持ってこれなくなる。他国から持ってこようとすると当然値段は上がってしまう。そうしたことが日本の電気料金やガス料金に反映されている。長期的に見ると2011年の原発事故で原発を止めてしまったことと、2012年の再エネ普及FIT制度が始まったことが(電気代が上昇した)要因。
2024/03/09 BSテレ東[石川和男の危機のカナリア]
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