【タレコメ】
緊迫ウクライナ情勢・事態打開へ各国は
日本国際問題研究所理事長・佐々江賢一郎 G7欧州、さらに言えば、ドイツがロシアとのガス供給の問題について犠牲も覚悟するという挙に出た場合、日本にはロシアからの天然ガスの輸入があり、エネルギーひっ迫の問題もあるが、ここで「日本は別だ」という議論ができるのかどうか。それこそ同盟関係と対ロ関係の重要性をうまく計算しながら行動していく必要がある。多少の犠牲は覚悟しなくてはならないかもしれない。
2022/02/06 NHK総合・東京[日曜討論]
筑波大学准教授・東野篤子 日本政府はロシアに直接的にダメージを与えるというような制裁はできるだけ避けてきた。ところが、LNGの融通ということになるとロシアに対する制裁ではなく、欧州諸国に対する支援だという理屈付けができるため、日本にとっては比較的のみやすいのではないか。
2022/02/06 NHK総合・東京[日曜討論]
N&Rアソシエイツ代表・西谷公明 米国は自国でたくさんLNGを作っている。中東からの追加供給とか、アジアの主要消費国から緊急融通していく可能性を模索している。日本へのLNG融通要請はその中におけるひとつの動き。欧州向けのロシア産天然ガス供給は全体の40%であり、規模がものすごく大きい。各国からの融通で補えるような規模ではない。
2022/02/06 NHK総合・東京[日曜討論]
東京大学専任講師・小泉悠 2014年の(クリミア侵攻の)時、日本はお付き合い制裁にとどまった。米国とかEUはロシアのエネルギー部門に対して、資金とか技術の供与を厳しく禁止するということをやったが、日本の制裁はそういう制裁ではなかった。仮にロシアがウクライナに対し、軍事力行使を行った場合、2014年の時のように形だけの制裁をやった場合には、同盟の中身が問われてくるだろう。逆にアジア正面で何かあった場合には欧州からの支援がどのぐらい要求できるような正当性を持ちうるのかという話になる。次にロシアが大規模な軍事侵攻を行った場合、北極海のプロジェクトなども含めて、さらに厳しい経済制裁になる可能性があり、そうしたことを考慮する必要がある局面に入ってきている。
2022/02/06 NHK総合・東京[日曜討論]
N&Rアソシエイツ代表・西谷公明 今回、米国が日本にLNG緊急融通で協力を要請している背景には機微に触れる同盟の質、というか、同盟の中身を問うメッセージが込められている。日本の政府系や民間金融機関の融資を得て、北極海のLNG開発プロジェクトに日本企業が参画している。これはある意味では敵に塩を送る行為に近く、米国はここを突いてきている可能性がある。もしそうだとしても日本は動じる必要はなく、備蓄の余裕があれば積極的に協力をすべきであるし、事業は国策としてやっているわけなので進めていけばよいだけ。
2022/02/06 NHK総合・東京[日曜討論]
日本国際問題研究所理事長・佐々江賢一郎 より大きな次元でウクライナ問題を言えば、単に米ロ、あるいはロシアとウクライナの問題ではなく、より大きな国際的な権力闘争、ゲームも含んでいる。そういうことを含めて単に領土とかの問題でなく、「民主主義対権威主義」のある種の闘争のひとつの側面。インド太平洋戦略の中で、日本はどうやって米国など関係国とやっていくか、ロシアと中国にどう対峙していくかということの解があるかのように振舞うのは正直な態度とはいえない。
2022/02/06 NHK総合・東京[日曜討論]
東京大学専任講師・小泉悠 ロシアは中国と急接近している。最終的に中ロは2500億ドルまで貿易額を上げるとしている。この額はウクライナ危機前の欧州との貿易額を上回る。その意味でも中ロの接近というのは欧州で多少暴れても大丈夫かという風にロシアに思わせている。
2022/02/06 NHK総合・東京[日曜討論]
東京大学専任講師・小泉悠 現状、まだロシア軍の集結は続いている。ロシア軍の地上部隊の半分近くがウクライナ周辺に集まりつつある。今月10日から20日にかけてベラルーシで大規模演習を行う予定。これもロシアが公表している数字より多くの兵士が入っているという話も出ている。核部隊の大演習をやると言われ、ウクライナ側に対する軍事的威圧もしながら西側に対しても牽制している形。今月がひとつのエポックで、兵力の面でも軍事活動の激しさにおいてもピークに達することが予想される。蓋然性がどのくらいかわからないが、軍事行動に至ってしまった場合、NATOとしては力を使って止めるとは一言も言っていない。バイデン政権は事後的に制裁をするが、阻止はしないという姿勢をはっきりと打ち出している。
2022/02/06 NHK総合・東京[日曜討論]
|