【タレコメ】
どうなる経済・社会保障・雇用
大和総研チーフエコノミスト・熊谷亮丸 基本的に世の中の価値観が多様化してくるので自由な働き方が出来るようにしなくてはならない。今回の労働市場改革は数百年の資本主義の歴史の文脈の中で位置づける必要がある。極めて単純化すると資本主義はお金が大事か、人が大事かという事で左右に動いてきた。これから資本主義は4.0と言われて第4期に入り、人が付加価値の源泉となる新たなステージへ入っていく。例えばなでしこ銘柄・女性が活躍している会社、健康系銘柄・社員が健康な会社などは非常に業績もよく、株価が高いという傾向がある。今までは株主と労働者が対立の関係にあり、労働者にお金を出すのは後ろ向きなコストだったが、これからはむしろ前向きな投資になり、働きやすい環境を作ることが経済全体にとってプラスに働く。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
淑徳大学教授・結城康博 社会保障の財源を考えた場合、標準報酬月額で考えるとこのまま派遣社員や契約社員がかなりの割合を占めると、税収や保険料収入も見込めなくなる。子育てや結婚も雇用の流動化によって中々難しくなる。昭和の時期はある程度終身雇用制度で企業が社会保障の一躍を担っていた。社会保障全体を考えた場合、もう1度終身雇用制度のメリットを考え直すべき。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
マーケティング評論家・牛窪恵 働き方改革で、政府は今2020年に向けてテレワークを進めている。ITを駆使して自宅や近くで働けるようにしている。背景には子育てや介護をしながら働きやすい社会を目指すという事があるが、テレワークでも格差が生まれる懸念がある。500人以上の大企業では既に25%位テレワークを導入しているが、中小企業ではまだ数%しか導入されていない。しかも業種によっては工場勤務やサービス業はテレワークの恩恵にはあずかれない人たちがいる。そういう人たちの働き方をどうするのか。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎 現役世代も高齢世代もフォーカスしないといけないという事になった。財源が限られており対象の拡大は慎重でなければならない。唯一の解決策は社会保障の原点に戻って困窮している人をサポートするということ。それが現役世代であっても困窮している人はサポートされるし、ゆとりのある人は高齢者でもサポートする側に回ればよい。従来のように現役世代が高齢者を支えるという事は難しくなるので、世代間の社会保障・所得の移転というのは緩めていく必要があるが、一方で同じ世代の中でゆとりのある人がゆとりの無い人をサポートしていくという様な、世代内の再分配を強化していく事であれば、皆が言っている方向性に合致するのではないか。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
マーケティング評論家・牛窪恵 今の40代団塊ジュニアは4人に1人が未婚で、共働きが前提なので働きながら親を介護していくという問題が出てくる。費用もそうだが人的負担も働き方も含めて考えていかなければならない。またそういう人達が幸せそうにしていないと、今の若い人たちは人生100年時代と言われても長生きしたくない、上の世代を見ても幸せそうに見えないという事を言い出している。これを変えていかないと消費も伸びないし、色々な意味で働くモチベーションも上がっていかない。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
京都大学准教授・柴田悠 OECDによる報告書が出ているが、脳の敏感さは0~4歳が最も敏感である。最も教育的投資効果が高い幼児教育、あるいはその親への支援は大事。特に保育の質の問題では保育士の経験年数が高い保育園ほど子どもの発達が良いという調査結果も出ているので経験年数が長く保てるように保育士の賃金の改善をして、保育の質を確保するのが大事。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
淑徳大学教授・結城康博 全世代型といった場合には、高齢者の政策をさらに拡充しないといけない。なぜなら今、晩産化、晩婚化により50代くらいの人が高等教育の子どもを養育しているから。教育費の中で今大学の費用や専門学校の費用は非常に高くなっている。その時期、50代の親は自分の親の介護も支え非常に厳しい状況が考えられる。高齢者で介護や医療が公的サービスで拡充していないと、最終的には孫世代に高等教育の教育費が工面できないとかがある。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
経済財政諮問会議議員・高橋進 今回の対策としては軽減税率が入ることは間違いない。消費の4分の1を占める食費に軽減税率を入れる是非はあるが、政府としてはやる方針。それが高齢者の消費を支えるとかに貢献するし、一石三鳥という事で中小企業者の負担を軽減し、駆け込みと反動の波を小さくしたい、キャッシュレスを普及させたいなど色々な目的を同時に達成したい為にこういう政策が浮上している。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎 軽減税率が適用されると、線引きが曖昧で不要な混乱ばかり引き起こすので反対。導入している諸外国に行くと皆やらないほうが良かったと後悔している。日本は他国の失敗を学ぶべきで給付付きの税額控除や低所得者向けに現金給付を拡充するなどの対応が望ましい。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
大和総研チーフエコノミスト・熊谷亮丸 1兆円位のコストがかかるので、一定程度の下支え効果はあるが、線引きが難しい。本当の低所得者対策にはならない可能性もある。ゼロベースで制度設計するのであれば給付付き税控除できめ細かく一人ひとりの所得を見て場合によっては給付をしていく仕組みの方が望ましい。ただあえて軽減税率の良いところを1つ言うとすれば、現実の世界は理論の世界とは若干違う可能性がある。軽減税率はリアルにプラス面が実感できるので一定程度評価出来る。だから諸外国は歴史的にこの制度を取ってきたという事を踏まえる必要がある。
2018/10/21 NHK総合[日曜討論]
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