【あの一言】
特集・日本のワクチン確保は
東京大学公共政策大学院教授・鈴木一人 日本はあらゆるところに誤算があって、完全に出遅れた。例えば米国の「オペレーションワープスピード作戦」は1月の段階で話が出ている。ただ開発するだけでなく製造、流通させるところまで国がお金を付けている。日本にはそういう動きは全くなかった。共同治験では日本人も含めて治験をやり、日本での承認プロセスを早くするという方法があったのに、欧米で承認されたワクチンでも日本人の特性に合わせて別途治験をやるなどして2か月ぐらい遅れてしまった。
2021/02/20 BSテレ東[日経プラス10サタデー]
衆議院議員・元厚生労働大臣・長妻昭 去年7月にファイザー社と、ことし6月末までに日本国民6000万人分のワクチン確保の基本合意をした。ただし基本合意にとどまり、包括契約や個別契約まで進めることができなかった。もう少し危機感を持ち、オールジャパンでやっていたなら ペナルティ付きの契約をそこで確保することができたかもしれなかった。仮にワクチンを押さえて余った場合にはいろいろな批判を受けた可能性があったので、そこで政治判断する必要があった。今は残念ながら今年の夏までの6000万人分については反故になって、年内までに7200万人分来るとしている。厚労省に理屈では12月に7200万人分来るのかと確認すると、「常識ではありえないが理屈では有り得る」との説明だった。毎回、神経を遣いながらワクチンをくれと言い続けていくしかない状況になっている。
2021/02/20 BSテレ東[日経プラス10サタデー]
医師・ジャーナリスト・村中璃子 日本は最初からワクチン獲得競争のスタート地点に立っていなかったことが出遅れた主要な原因。EUの話というのは後付けに過ぎない。ワクチン獲得競争はワクチンができてから始まったものではなく、開発に着手する前から既に始まっている。例えばファイザーとドイツのビオンテックは最初にワクチンを作ると表明したのが3月上旬。この時点でドイツ政府はいくつかの有力な企業に対し、研究費や助成金をつけることをアナウンスしている。お金を払い、育てて、投資して回収することについて最初から努力している。
2021/02/20 BSテレ東[日経プラス10サタデー]
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