【あの一言】
バイデンに政権移行へ・米国は?国際社会は?
ジェトロアジア経済研究所副主任研究員・江藤名保子 中国が一帯一路に関して重視しているのはデジタルシルクロードとヘルスシルクロードという二本立ての内容。ヘルスシルクロードについては中国のコロナに対する対応が非常に良かったということで、各国からも歓迎されている部分がある。それに加えて政治的思惑、いわゆるマスク外交と言われるような対応があった。より複雑な問題をはらんでいるのがデジタルシルクロードの方で、ルールがない上に中国側としては中国標準を世界標準化していきたいという思惑がこの中にある。デジタルの様々なサービスや機器を提供することによって、多くの国が使うことになり、その結果、中国標準というものが一般化していく非常に大きな戦略的な目標がある。
2020/11/15 NHK総合[日曜討論]
北海道大学教授・吉田徹 日本はリベラルな国際秩序の担い手。基本的に自由貿易のみならず、基本的人権や民主主義、グローバルな体制ということで、そのためいかにルールベースみたいなものをこのアジアで日本が作れるのかどうか。かって大平首相の発案でAPECという枠組みを作ったようにRCEPというものもアジア太平洋に広げることができ、複層的な多国間主義的かつ制度的な受け皿を作ることを世界から期待されている。
2020/11/15 NHK総合[日曜討論]
経済同友会副代表幹事・サントリーホールディングス社長・新浪剛史 日本は安倍晋三前総理を踏襲しながらやっていくべき。米国、中国に対してTPP、RCEPでもサステナビリティを中心につながりを作っていく。EUともそうで特に中国はルール作りのところでヘゲモニーの方に来ている。そういった意味で現実的には日本が一番対応しやすい状況にある。日本が世界とつないでいくリーダーシップができることを経済界として期待している。
2020/11/15 NHK総合[日曜討論]
経済同友会副代表幹事・サントリーホールディングス社長・新浪剛史 新型コロナウイルス対策で中国がますます力をつけていくのは間違いない。長期的に米中は厳しい状況になっていく。懸念していることは中国は日本にとって一番重要なトレーディングパートナーであり経済的に切っても切れない関係にあること。
2020/11/15 NHK総合[日曜討論]
北海道大学教授・吉田徹 かってキッシンジャーが米国の外交というのは梱包外交か宣教師外交の2つしかないと言ったが、バイデン政権というのはおそらく宣教師外交。つまり人権中心に外交姿勢を作る。今までは経済・通商分野だったのが、これが他のところに波及していく。香港、ウイグル自治区の問題に波及していく可能性もある。そう考えるとバイデン政権というのは国内では分断を乗り越えようという姿勢だが、世界情勢で見ると逆に分断を深めてしまう可能性もある。
2020/11/15 NHK総 合[日曜討論]
東京大学准教授・佐橋亮 (トランプ政権と)大枠は変わらないが、やり方が変わる。米国の中では中国が今世紀最大の競争相手というのが党派を超えたコンセンサスであり、この部分は変わらない。ハイテク、機微技術の管理、輸出管理は全く変わらない。変わるのは人権分野。2つ目は関税。対中関税は民主党員の中では評判が悪いがすぐにはやめることにはならない。関税を下げてやるので経済改革をしろという圧力をかけるのではないかというのがワシントンでの主流の見方。最初の段階では中国に厳しく出るが、しばらくすると中国とどこかの分野、例えば気候変動、コロナ対策で協調し、経済の市場開放を迫るようなアプローチが同時に出てくるのが来年度の展開となる。
2020/11/15 NHK総合[日曜討論]
北海道大学教授・吉田徹 WHOの新型コロナウイルスワクチンを世界で共有しようという枠組み「COVAXファシリティ」に米国は不参加を決めている。EU、中国も不参加という意思表明をしている。そうすると先進国が供給枠の半分を独占しているという状況になる。そういう不正を日本を含めてどう是正していくかというのも大きな論点のひとつ。
2020/11/15 NHK総合[日曜討論]
ジェトロアジア経済研究所副主任研究員・江藤名保子 もしバイデン氏になって環境問題・気候変動問題に積極的に米国がなるようであれば中国はそれを他国と協調路線をとり米国の復帰を迎え入れるような、米国の主導ではなく中国も主導するようなパートナーシップを結ぶ形に持って行こうと心がけている。他方でトランプ政権が継続するようであれば牽制球になったという考えで9月にこれを提起し、11月12日のパリ平和フォーラムでもこの点、欧州との協調ということを言っている。習近平国家主席は子の問題に関しては国際戦略の一環として重視している。
2020/11/15 NHK総合[日曜討論]
東京大学准教授・佐橋亮 議会の政治状況、左派的なエネルギー政策をやったとき、パリ協定復帰という言葉以上のことはできないのではないか。国内対策をかなりしなくてはならないし、(バイデンの)動ける幅は少ない。外交では中国、EUと協調するポーズをやってくる。
2020/11/15 NHK総合[日曜討論]
経済同友会副代表幹事・サントリーホールディングス社長・新浪剛史 環境政策は成長産業で大きな柱となってくる。重要なのはルール作り。ヨーロッパがルールを作り中国がのっていこうとしている。産業界もルール作りに参加し成長産業にしていくべき。米国はパリ協定には入るがバイデンが本当にできるかは疑問符がつく。
2020/11/15 NHK総合[日曜討論]
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