【あの一言】
最新分析・アフガニスタン・香港・北朝鮮
元外務事務次官・立命館大学客員教授・薮中三十二 今、中国は日本に寄ってきている。その時に中国を捕まえて、こういう風に東アジアはやっていこうとか、ルールはちゃんと守ってくれとか言える。相手はちょっと今弱い状況にあるからこそ日本が外交力を発揮できる。来年の春には習近平国家主席の訪日も言われている。日本からむしろリードしていくと。そのぐらいのチャンスがあると思った方がいい。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
日本国際問題研究所研究員・舟津奈緒子 米国では、中国の国際秩序への挑戦とか中国の統治モデルそのものへの反発というものに対しては、超党派でのコンセンサスが取れている。特にトランプ政権はペンス副大統領の演説に表れているように、中国を明確に修正主義国家と認定して競争相手であると認定している。戦略的競争については超党派でコンセンサスが取れているが、どのように競争に勝っていくかというような具体的な方法論について米国の中でも議論が本当に割れている。そんな中でトランプ大統領、トランプ政権にとっては、議会の方からは価値の方でプレッシャーが強くきていて、不透明で難しい状況になってきている。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
早稲田大学大学院教授・李鍾元 香港、ウイグル、台湾もどちらかというと米国の援助をひきつけたいということがある。より局地的に緊張が高まるようなことになれば、例えば96年に台湾の当時の李登輝総統がより自主的な外交を展開しようとした際に、中国が軍事力で押さえ込もうとして第三次台湾海峡危機ということになったような事態になっていきかねず非常に注目しなければならない。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
前統合幕僚長・河野克俊 INF条約を廃止したのはロシアが守っていないからだというのが米国の理屈だが、中国のINFを野放図にさせたということが大きい。中国は空母キラーというような形でINFを配備している。これに対して米国は対抗措置として、アジアのどこかの国にINFを配備したい。軍事面でも米中対立が、安全保障面でアジアを巻き込んだ状況になりつつある。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
立教大学教授・倉田徹 統制一辺倒で進んできた中国の体制のコストは高い。香港の問題では引き渡し条例という1つの法案を撤回する、しないで話がここまで大きくなってしまった。これは結局のところ上から押さえつける政策をずっと進めてきた結果。その過程でどんどん不満をため込んでしまって爆発させてしまった。同じことはひょっとしたら中国国内でもあり得る話。ウイグル族や宗教関係者、弁護士、そういった様々な社会の人々に対して中国は圧力を加えそれを国家の安全のためと言ってきた。それが今後、仮に高度成長ができない場合、どうやって維持をしていくのか。非常に大きな岐路に立っている。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
防衛大学校長・国分良成 中国にはウイグルの問題があるからアフガニスタンがどうなるかということを中国は非常に気にしている。だからそれを徹底的にやっている。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
防衛大学校長・国分良成 今、中国は一帯一路とはほとんど言わなくなってきている。結局、過剰投資でやりすぎてしまった。あるいは税制も結局ほとんど不備で、相続税もないし固定資産税もない。結局、財政の配分をどうするのか。軍事に行きすぎていて社会保障をどうするのかとか、その辺のバランスが全然取れていない。いずれにしても経済が上手くいかないと権力を保持している側の説得力がなくなってしまう。だから押さえざるを得ないというのが、中国の現実。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
元外務事務次官・立命館大学客員教授・薮中三十二 大統領選挙を睨み、トランプ大統領は中国に厳しくあたらなければいけない。だがあまりやりすぎると景気に悪影響がある。そこのバランスが難しい。短期的には12月15日というのがあって、この時に、もしまとまっていなかったら1600億ドルの輸入品に関税をかけると言っている。これを避けなければいけない。トランプ大統領はその際に中国に農産物を買ってくれと要求している。中国は今までかけた関税をちょっとは下げてくれないとそれはできないとしている。このあたりが上手くいっていない。12月15日が先延ばしになる可能性もある。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
日本国際問題研究所研究員・舟津奈緒子 来年の大統領選挙で再選を目指しているトランプ大統領にとっては、特に接戦州である農業州の票を固めることが優先順位が高い。そのためにも中国との貿易交渉をできるだけ有利に妥結したいという思いは、トランプ大統領には強い。ただ今回、香港の人権法案というものが成立して、議会から人権に対するプレッシャーが大きくきていて、トランプ大統領は本当に今、難しい舵取りを迫られている。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
立教大学教授・倉田徹 人権民主法案というのは表面上は人権民主主義ということを言っているが、中身を読んでみるとかなり中国の国家戦略に対する牽制の意思が見える。例えば、香港を通じてハイテクであるとか軍事転用可能な技術が中国大陸に輸出されていないかどうかを監視するとか。香港の様々な形での再輸出、北朝鮮やイランに対する制裁を香港がちゃんと履行しているかどうかをチェックするとかも実は米国政府の監視の範囲に入っている。そういう意味では単純に人権民主主義というだけではなくて、貿易戦争、あるいは新冷戦と言われる状況を踏まえた上での米国の中国との対抗の一環として使われている。
2019/12/08 NHK総合[日曜討論]
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