【あの一言】
相次ぐ発射・北朝鮮のねらいは・各国の連携は
東京大学教授・小原雅博 日本と韓国関係の悪化の中で、日米韓の連携は安全保障では特に大事だが、ここがちょっと心配な状況になってきた。特に軍事情報の包括保全協定の見直しをしたり。あるいは米国自身が、トランプ大統領は米国ファーストだが、在韓米軍の駐留経費を倍にすると要求するなんていう報道もあったりした。日米韓の連携がちょっと不安になってきている中で、中ロの連携が緊密になってきている。中ロの北東アジアでの合同軍事演習がより頻繁に、より大胆に、より攻撃的に行われる可能性があって、日本を取り巻く安全保障関係は非常に厳しくなってきている。そういう中で日米韓の連携をしっかり保っていく必要がある。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
元駐米大使・中曽根平和研究所理事長・藤崎一郎 米国は短距離ならばいいと言ったが中距離についてはあまりはっきりしていない。ここは日本にとって1番影響がある。これはダメということを早めにきちんと念を押していくことが大事。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
龍谷大学教授・李相哲 今、米国が国際戦略として進めているのはインド太平洋構想。アジアと同盟国を結んで中国の一帯一路に対抗するという戦略。それをうまく進めるには、日韓の関係が悪くなると戦略が乱れてしまう。中国との貿易紛争で日韓は米国に協力してほしいと。しかしこの3つの問題に関して韓国は及び腰。日本は非常に協力的。今回の3者があったのは、韓国はおそらく仲介を希望したと思うが、この3か国が連携を強めようということでは非常に意味があったと思う。一方で、北朝鮮はロシアと中国との連携を強めていて、日米韓が乱れてしまうと北東アジアの秩序が米国に不利なので、非常に大事な場面で3者があったと見ていた。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
早稲田大学教授・中林美恵子 トランプ大統領が相手と会いたいといった時には、びっくりするような妥協の言葉が出てくる。金正恩委員長がミサイルの発射などを色々仕掛けてきて、トランプ大統領は12月までに何とかしたい。北朝鮮の方も12月までと言っておりまさに米国の大統領選挙のカレンダーを睨んだ戦略。向こうが仕掛けてきてトランプ大統領が会いたいとなった時に、本当に核の凍結とかフリーズ、あるいは小出しの経済制裁緩和などと言う可能性もある。日本としては非常に由々しき問題になる。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
早稲田大学教授・中林美恵子 次回のトップ会談ではトランプ大統領はもう失敗はできない。それをもう1度やってしまったらさすがのトランプ政権も持たない。ここはやはり実務者協議でしっかり中身を詰めていくことになる。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
元駐米大使・中曽根平和研究所理事長・藤崎一郎 1番ビックリしたのはボルトン大統領補佐官の対応が全然違って、5月の時は国連決議違反だと言っていたが、全然それを言わなくなってしまったこと。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
慶應義塾大学教授・西野純也 経済問題について食料事情が良くないというのが、はまず言える。それから製造業がかなり生産が停滞していると言われているので、国内的な状況が厳しいというのは間違いない。他方で6月20日に習近平国家主席の平壌訪問という出来事に象徴されるように、中朝関係は必ずしも悪くない。トランプ大統領とは有効な関係を築いている。ある意味で余裕すらある中でこういった形での挑発行動をして、有利な状況に自分を持ち込もうとしている。韓国についても米韓合同軍事演習は朝鮮半島の軍事的な緊張緩和に逆行する動きではないかと。軍事的な緩和というのは文在寅政権が最も重視していた政策の1つではないか。どういうことなんだというような問いかけをしている。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
龍谷大学教授・李相哲 経済的には北朝鮮は苦しいと言われている。北朝鮮から亡命している高官の証言では、すでに金正恩の外貨は枯渇しているのではないかという見方がある。地方に目を向けると、電気が1日30分もこない場合が多い。水道の水もこないと言っている。じわじわと地方から疲弊していって大変難しい状況。このまま続くと政権の脅威になるので、早く米国と話をしたい。技術を誇示しながら米国に話し合いを迫っているという状況。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
東京大学教授・小原雅博 今回、ミサイルの発射でも固体燃料が使われたという情報がある。ロケット砲の話もあるが、軍事境界線に沿って長距離砲とロケット砲を配備しているわけだが、ソウルを射程内におさめている。ミサイル、通常兵器といったものを着実に強化してきている。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
早稲田大学教授・中林美恵子 (北朝鮮の核ミサイル開発は)明らかに進んでいる。一方で米国からトランプ政権の核拡散をどのように止めるのかという戦略自体にも、北朝鮮がこういう動きをすることによって果実が得られるのかという疑問符がついてくる。本来であれば核を完全に廃棄させることが目的だが、実際、時間がかかっている。大統領選挙があるので、その先まで深い交渉は待たなければいけない。トランプ大統領にとって選挙のためには今の状態が続いていくことでもいいので、大きな反発は今でもしていない。水面下では核兵器だけではなく様々な武器の開発が進んでしまう。
2019/08/04 NHK総合[日曜討論]
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