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スペシャル あの一言
2024年04月27日(土)
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【あの一言】
米中覇権争い・宇宙でも
解説委員・津屋尚
日本による宇宙利用はかつて安全保障の議論とは切り離されていたが、政府は今、安全保障の観点をより重視するようになっている。去年暮れに改められた防衛計画の大綱は、中国やロシアなどの軍拡を念頭に宇宙の安定的な利用が妨げられるリスクが増大しているとの認識を示している。その上で、自衛隊による宇宙空間の監視体制を強化するだけでなく、電波妨害などによって相手の指揮通信システムをも妨げる能力をも併せて持たせる方針。こうした任務を見据えて、宇宙専門の部隊を新設し米軍と密に連携して活動させる計画。宇宙で軍事衝突が起きるという最悪の事態を回避するためには、人工衛星への攻撃の禁止など、今の安全保障環境にあった新たな国際ルールを議論するときにきている。さまざまな形で宇宙の恩恵を受ける日本が、宇宙空間の平和を実現する新たなルール作りをリードしていくことは一つの責任といえる。
2019/05/31 NHK総合[時論公論]

解説委員・津屋尚
着実に宇宙での存在感を高めている中国に対して、トランプ政権は宇宙での覇権を奪われかねないと危機感を強めている。中国が月の裏側への着陸を成功させて間もないことし3月、ペンス副大統領は当初の計画を大幅に前倒し、5年以内に米国の宇宙飛行士を再び月に送り込むと表明した。また今週、東京で行われた日米首脳会談でも、トランプ大統領が日本と協力して米国の宇宙飛行士を月と火星に送る考えを強調。ただ、そのために必要となるばく大な予算をどのように工面するのかなど、計画どおりの実現を疑問視する声もある。トランプ政権はまた、米国が宇宙を支配し続けなければならないとして、宇宙軍を創設すると発表した。そのための予算案も議会に提出。宇宙軍は、陸海空軍などと同格の軍事組織で、宇宙の監視や衛星の防護、攻撃など宇宙空間でのあらゆる作戦を担うことになる。ただ、同じような機能を持つ組織は空軍内にすでにあり、新たな宇宙軍は必要ないと議会内には反対論も多く、実現するかどうかは不透明。
2019/05/31 NHK総合[時論公論]

解説委員・津屋尚
宇宙分野で世界をリードしてきた米国を急速に追い上げる習近平政権は、宇宙強国を国家の戦略目標に掲げている。中国が目指すのは、米軍の衛星を無力化する能力だけではなく、みずからも米国に匹敵するハイテク戦争能力を身につけ、軍事的な優勢を確保すること。それを実現するため、巨額の予算を投じて宇宙開発にまい進している。このため中国の宇宙開発の多くは軍事と一体と見られている。去年暮れには、中国版GPS「北斗」の運用を全世界でスタート。世界規模で中国軍が活動することをも視野に入れているものと見られる。同じく去年暮れ、史上初めて月の裏側に探査機を着陸させた。月の裏側は、地球から直接信号が届かないため極めて難しいミッションだが、月の探査で中国は米国を一歩リードした形。その目的は、月面での資源探査のほか、誰からも見えない月の裏側に事実上の軍事基地を建設し、衛星の監視や攻撃に使えるようにすることではないかと指摘する専門家もいる。2022年には、中国独自の宇宙ステーションの完成も目指している。今の国際宇宙ステーションは2024年以降の運用の見通しは立っていない。将来は中国の宇宙ステーションだけになる可能性が高まっている。
2019/05/31 NHK総合[時論公論]

解説委員・津屋尚
世界で最も宇宙と人工衛星に依存しているのが世界最強の軍事力を持つ米国。米軍は、世界のどこに展開していても、現場の部隊と司令部が通信衛星などを介した軍事用のネットワークでつながっている。また、偵察衛星によって他国の軍や兵器の動きを日頃からつぶさに監視。実際の軍事作戦では、こうした人工衛星が米軍の目となり耳となって、衛星によって特定した攻撃目標に対して正確なピンポイント攻撃を繰り出しており、人工衛星の存在が、最新鋭兵器を駆使する米国のハイテク兵器を可能にしている。
2019/05/31 NHK総合[時論公論]

解説委員・津屋尚
人工衛星が使えなくなれば、米軍のハイテク兵器は機能しなくなる。この弱点をつこうと、ロシアや中国が開発しているのが衛星攻撃兵器。中国は2007年、地上から発射したミサイルで人工衛星を破壊する実験を行った。この実験に対しては、宇宙空間に無数の破片がまき散らされ、多くの衛星にとっても脅威になると国際的な非難が集まった。中国はさらに衛星攻撃用の衛星も開発しているといわれている。これはほかの衛星に向けて妨害電波を出して、衛星の機能をまひさせるというもの。万一、大国間の軍事衝突が起きてしまうとするなら、第一撃は宇宙空間での攻撃から始まる過去の戦争とは違ったものになるといわれている。
2019/05/31 NHK総合[時論公論]

解説委員・津屋尚
米国と中国は、軍事力の強化でもしのぎを削り、その競争は今や宇宙空間にも及んでいる。宇宙には軍事活動を支える人工衛星が数多く存在し、宇宙で覇権を握ることは軍事的優位を決定づける要因にもなる。宇宙は本来、平和利用が原則の国際公共財。1967年に発効し、米中を含む10か国以上が批准している宇宙条約には、宇宙空間の平和利用が全人類共通の利益だと明記されている。しかし現実には宇宙の軍事利用が進んでおり、宇宙は今や、陸海空に続く第4の戦場ともいわれ、サイバー空間とともに戦闘の鍵を握る新たな領域と見なされている。なぜ宇宙が軍事的に重視されるのか。それは人工衛星の利用拡大に伴い宇宙への依存が進んでいるからで、現在稼働中の人工衛星は軍事用、通信用、偵察用、早期警戒用、測位衛星用(GPS)など1400以上もある。どれも国家や社会にとって欠かすことのできない重要なインフラ。万一、衛星が機能不全に陥れば、国家や軍の活動だけではなく、都市機能も大きな打撃を受けることになる。
2019/05/31 NHK総合[時論公論]

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