【あの一言】
中国“膨張”の矛盾と歪み・米中「情報通信覇権戦争」の核心
日本国際問題研究所客員研究員・津上俊哉 踏み絵を迫られて米国側につくのは5アイズと言われる諜報機関同士と日本だけ。残りの国がつくかどうかはわからない。踏み絵を踏ましたら数えるほどのメンバーしかおらず、残りは全部中国という話にもなりかねない。ドイツ、フランスは乗らないかも知れない。米国が主導すれば5Gの通信網整備のコストは大幅に上がることになる。結果的には中国が国内の5Gの整備を終わる頃に米国はまだ2割、3割の整備しかできないかもしれない。そんなことになった場合は米国はコネクティビティ競争で自ら負ける原因を作ったことになる。日本にとっては中国との取引をやっていたら何億ドルの罰金をとるみたいな体制に組み込まれることになり、他の国から見ればなにがうれしくてそんなにメリットがあるとは思われない厳しい制度に加わるのかというふうに見えてしまう。
2018/12/27 BSフジ[プライムニュース]
日本国際問題研究所客員研究員・津上俊哉 エリクソンやノキアの製品にも中国製の部品がいっぱい使われている。1996年にWTOでIT協定というのを作り、基本的にITの分野では関税をゼロにしようということで自由貿易を20年間推進してきた。これによってチップは米国、画面は韓国、コンデンサーは村田製作所で最後の組み立ては中国でというようなグローバルサプライチェーンが発展していった。おかげで30年前の何百万円もするコンピューターより性能のいいスマートホンが1000ドルで買えるという時代が来た。ところがITを自由貿易の適用対象外にし、(中国製品が組み込まれた)ITの製品を使ってはいけないなどという制度をこれから導入して踏み絵を踏ませるというのは自由貿易を揺るがすことになる。本当に米国はそこまでわかっている人達が話を進めているのかという話。
2018/12/27 BSフジ[プライムニュース]
日本国際問題研究所客員研究員・津上俊哉 国防権限法もそうだが、米国では輸出管理を強化するという切り口で色々な法規制を強化する動きがある。誰が推進しているかというと議員の立法スタッフや実体経済のほとんど知識のない人たちが暴走している。むしろ国防総省の専門家などがこんなことやって大丈夫かと不安に思っている。特に第2段階をやると日本のIT産業は大打撃を受ける可能性がある。中国との取引をする中国カンパニーと米国向けとは会社も別にして分社化したら大丈夫と思っている人がいるが、米国はそんなに甘くない。お前はどっちなんだと踏み絵を迫られる。(米国を選んだ場合に)日本はIT産業を捨てなければならなくなるかもしれない。それぐらいのインパクトがありうる話。
2018/12/27 BSフジ[プライムニュース]
防衛大学校名誉教授・東京国際大学教授・村井友秀 ファーウェイのシステムを採用するかどうかは米国の陣営につくか、中国の陣営につくかということにもつながってくる。このシステムが軍事力の帰趨を決める大きな影響を与える。西欧型の民主主義的な構造か、中国型の独裁的な構造のどちらを選ぶのかという問題に直結している。もし日本が民主主義的な構造を基本システムにしたいと思うならば、米国の主張の方向に進むのが日本が進むべき道。
2018/12/27 BSフジ[プライムニュース]
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