【あの一言】
専門家が討論・外国人材・受け入れ拡大は
BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎 今回の外国人労働者受け入れは労働力不足解消に繋がるが、生産性の上昇や実質賃金の上昇には必ずしも繋がるかどうかはわからない。むしろロボットであるとか人工知能であるとか、そういった技術革新を遅らせる可能性もある。割安な賃金の労働が増えると、生産性上昇に向けた民間の取り組みがさらに後回しにされる。
2018/12/02 NHK総合[日曜討論]
昭和女子大学特命教授・八代尚宏 今までも入れてきていたが、ただそれは非常に歪んだ形で入れてきていた。母国に帰っても、日本で学んだ例えば造船業なんかはベトナムにはないわけだから本当に使えない。そういう矛盾したやり方を変えるためにも今回の新しい在留資格ができた。これが拙速だからやめろというのではなくて、これに何を足していくかということを積極的に議論する必要がある。
2018/12/02 NHK総合[日曜討論]
BNPパリバ証券チーフエコノミスト・河野龍太郎 現在の日本経済は確かに好調だが、経済が悪化すれば状況はがらりと変わる。例えばリーマンショック時に失業率が急激に高まった際、日本は日系ブラジル人に費用を一部渡して帰国してもらったことを忘れている。政府の今の政策は好調なマクロ経済が永続することを前提としている点が問題。さらに現在、特にデフレ脱却を目指して政府と日銀が積極的なマクロ政策を続けていて、人為的に人手不足を作り出している側面もある。賃金やインフレを高めるために人手不足を作り出していたのに、外国人労働の拡大で対応しているのでは整合性が取れない。
2018/12/02 NHK総合[日曜討論]
昭和女子大学特命教授・八代尚宏 今後さらに中度人材、ブルーカラーの熟練労働者の需要が大幅に増えると思う。日本の人口は2010年をピークにして減り始めている。高齢者が増え働き手の人口は700万人近く減っている。女性とか高齢者を活用することは当然大事だが、それだけでは対応できない凄まじい労働力不足が起きている。疑問なのは、入管庁と厚労省が二人三脚でやらなければならない法律なのになぜこの法案を議論する時に厚生労働省が全然出てこないのかということ。
2018/12/02 NHK総合[日曜討論]
筑波大学准教授・明石純一 この法案が通るか通らないかに関わらず、現行の仕組みでさえも外国人労働者は年10万、12万、ここ数年どんどん増えてきており、労働需要の拡大に追いついていない。五輪前に外国人労働者への依存が高まるというのは結構よくあること。それを踏まえて今後、日本が考えうるシナリオはいくつかあるが、極端に言えば外国人労働者には頼らないということ。それが現実的ではないのであれば、外国人労働者に一定程度、今後とも頼っていくしかない。後者が成功する前提としては、日本が他の国からの外国人にとってかなり魅力的な就労場所、目的地になるようにしていかないといけない。
2018/12/02 NHK総合[日曜討論]
弁護士・指宿昭一 外国人労働者の権利保障が十分に図られていない。特に悪質なブローカーが介在する。送り出し国においても日本においても。その両方に対する規制が決定的に不足している。このままでは第2の技能実習制度になりかねない。そういうことも含めて国会では慎重な議論が必要だが、あまりにも審議の時間が足りなさすぎる。もっと今後の少子高齢化の日本の将来を見据えて外国人労働者をどのように受け入れていくのか、共生社会をどう作っていくのかというグランドデザインが必要となっている。
2018/12/02 NHK総合[日曜討論]
日本総合研究所チェアマンエメリタス・高橋進 非常に深刻で、構造的とも言うべき人手不足状況になっている。有効求人倍率は業種によっては高止まりしており、雇用情勢を示す指数というよりは人手不足を示す指数のような状況になっている。企業は女性とか高齢者の受け入れを拡大したり設備投資をやって生産性を上げようと色んな努力をしているが、それでも現場で人が足りない状況。これが日に日に厳しくなっている。人手不足はこのままだと日本経済の成長の足かせになりかねない。日本は今、少子高齢化にありこれから先、将来的にも若者、働き手がさらに減少していくことが見込まれる。新たな制度で外国人を、相当程度の技能のある人を受け入れようという話。
2018/12/02 NHK総合[日曜討論]
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