【あの一言】
6.12シンガポールで・米朝首脳会談の行方は
マサチューセッツ工科大学シニアフェロー・岡本行夫 今までの動きで明らかになってきていることは、米国としては北朝鮮から満足のいく回答を引き出せないとしても、軍事行動を取れる余地というのが政治的に非常に少なくなってきているということ。韓国が米国を後ろから羽交い締めにするだろうし、そういう中で日本にだけ拉致問題が存在しているわけで、日本独自の考え方を貫いていくべき。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
静岡県立大学准教授・奥薗秀樹 北朝鮮は経済建設に総力を注ぎ込むんだということを打ち出している。北朝鮮から見た時の日本との関係の最大のインセンティブは、国交正常化に伴って堂々と経済支援を受けられるということであり、日本にとっては必ず出番が回ってくる。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
マサチューセッツ工科大学シニアフェロー・岡本行夫 各国はポジション取りに一生懸命で、その中での影響力を誇示したいと思っている。だからこそ、習近平国家主席が金正恩委員長を呼びつけたり、さらにもう1回大連でやったり、北朝鮮を本当に動かしているのは中国だということを世界中にPRしている。トランプ大統領は自分の中間選挙が大事。いかにして米国国民にアピールをし、日本をいかに怒らせないで合意を成功と呼べるようなものにするかを考えていて、韓国は北朝鮮との和平、平和というものを千載一遇のチャンスだとみている。その中で日本が拉致問題も含めてどういう風に対応していくのかという、非常に難しい局面にこれから立つ可能性がある。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
マサチューセッツ工科大学シニアフェロー・岡本行夫 これから中国との関係は圧倒的に大事。歴史問題と領土問題はあるが、特に習近平政権とは対話可能だと思う。これから日中韓という輪の中で1番強化する必要があるのは中国との関係。中国の方も習近平政権になっての経済が、主席に再任された去年の暮れをめがけて(金融を)緩めてそれを懸念した各国の投資が減ってきているし、日本のことが大事になってきていると思う。米国の保護主義に対して日中で協調しなければいけないという意識もあった。日中関係を改善する大きなチャンス。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
防衛大学校長・国分良成 中国を見てきた人間からすると共同声明の部分で、大きな変化があった。これまで『歴史をきちんと直視し』『歴史を鑑とし』という言葉がよく入っていたが、今回は『悠久の歴史』という風に入っていて、中国語で『過去の歴史』と書いてある。英語版は『ever lasting history(悠久の歴史)』と書いてあり、中国がそこまでして妥協したことは驚き。もう1つは胡錦濤が日本に来た時に約束したものの10年間全く沈黙していた東シナ海の共同開発を今回認めたこと。3、4年前から習近平の対日外交は変わってきているが、国内の権力闘争で反日だった江沢民を倒した瞬間から急に変わってきた。もう1つは日米同盟が非常に強いこと。元々は米国とさえ関係が良くなれば日本はそれについてくるというのが中国の議論だったが今、日本は外交を活発にやっている。日本ともちゃんと(外交を)やらなければいけないという気持ちが出てきている。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
防衛大学校長・国分良成 中国と韓国の関係がTHAADをめぐってものすごい対決になった。韓流をストップするとか、ロッテデパートも閉鎖に追い込まれるとかいう形で中韓関係が非常に酷かった。これが特に米朝首脳会談が決まった瞬間から中国が一挙に動き出した。中韓が話ができるような関係になった。それくらい中国は焦っている。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
慶應義塾大学准教授・礒崎敦仁 この3月頃から北朝鮮は社会主義を連呼していて、体制の引き締めに完全にかかっている。金正恩政権、金正恩体制をこれから何十年も永続的に温存させたいが、その体制を守る手段、抑止力として考えてきた核が今になって重荷になってきている可能性もある。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
マサチューセッツ工科大学シニアフェロー・岡本行夫 金正恩委員長が本気かどうかは3つ位の点にかかっている。完全な形での検証に合意するかどうか。ミサイル開発計画の恒久的な放棄では現状を固定化して認めることになってしまうので意味がない。火星15とか今までに作ったいろいろな長距離ミサイルを解体する所まで進むかどうかが重要で、核についても既存の核兵器を廃棄するかどうかということ。おそらく金正恩はそこまではやらないのではないか。トランプ大統領に譲ったように見せないために、譲歩できる所は全て北朝鮮人民の前で明らかにしてきているが、ここから先譲る分に関しては、在韓米軍の縮小とかの反対給付を要求する可能性がある。交渉は一筋縄ではいかない。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
慶應義塾大学准教授・礒崎敦仁 北朝鮮が4月20日に並進路線を取り下げたことに注目している。5年前から掲げていた経済建設と核武力建設を両建てでやるという路線を突然、この段階で勝利宣言を出して取り下げ、今後は経済に集中するとしている。これだけをもって北朝鮮が完全な核放棄を用意しているとは断言できないが、米朝首脳会談で大きな取引を用意して、その取引が成り立つなら北朝鮮が交渉によって応じたものではなく、自ら動かしたものなんだというポーズをすでに作りつつある。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
マサチューセッツ工科大学シニアフェロー・岡本行夫 今世紀最大の政治ショー。うまくいくことを祈る。ここまで持ってきたのはトランプ大統領の予測不可能性。一番驚いたのは金正恩委員長その人。両者とも「この会談は成功だった」と言わざるを得ない。トランプ大統領は自分のパフォーマンスを最大限に見せる場面設定の天才的なうまさがある。金正恩委員長は米国からの軍事攻撃を避けるために場面設定を変える必要があった。両者の思惑が一致した。
2018/05/13 NHK総合[日曜討論]
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