4月10日付
『ロスアンゼルス・タイムズ』紙:「新型コロナウィルス感染流行中でも止まらないもの、それは中国による南シナ海制海権拡充」
中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は、新型コロナウィルス感染問題を“人類の戦争”だと称して、率先して戦いを挑む姿勢を表しているが、それと同時進行で、中国の軍艦等を南シナ海に派遣して同海域の制海権拡充を着々と進めている。
具体例を挙げると以下のとおりである;
●先月下旬、中国人民解放軍(PLA)は南シナ海において、駆逐艦、潜水艦、戦闘機等を大動員して実弾訓練を実施。...
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4月10日付
『ロスアンゼルス・タイムズ』紙:「新型コロナウィルス感染流行中でも止まらないもの、それは中国による南シナ海制海権拡充」
中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は、新型コロナウィルス感染問題を“人類の戦争”だと称して、率先して戦いを挑む姿勢を表しているが、それと同時進行で、中国の軍艦等を南シナ海に派遣して同海域の制海権拡充を着々と進めている。
具体例を挙げると以下のとおりである;
●先月下旬、中国人民解放軍(PLA)は南シナ海において、駆逐艦、潜水艦、戦闘機等を大動員して実弾訓練を実施。中国側は、先月に米軍艦が3度も南シナ海の中国主権領海内に無断進入したことに対抗して、主権擁護のための訓練だと主張。
●同海域周辺国の天然資源探査活動や漁船操業を妨害すべく、数多くの中国海警艦や武装漁船を派遣。4月初めには、パラセル諸島(西沙諸島、中国実効支配)内で操業中のベトナム漁船が海警艦と衝突して沈没。
●マレーシア国営企業のペトロナスが、スプラトリー諸島(南沙諸島)内で天然ガス・石油掘削を行っている海域に中国軍艦が何か月も張り付き、無言の圧力。一方で、ウィルス禍に喘ぐ同国に、医療用N95マスク、防護服及び人工呼吸器200台を進呈し、同国を懐柔。
●3月20日、中国国営メディアが一斉に、イタリア・エチオピア・韓国等向けに医療品・検査キット・防護服を進呈したと挙って報道。しかし、同日に、南シナ海の人工島ファイアリークロス礁及びスビ礁(既に滑走路・ミサイル発射台・レーダー塔・兵舎設営済み)に、同海域の環境調査用民間研究所設営と報道。しかし、多分に同海域天然資源調査用であることは明らか。
以上の中国活動に関し、シンガポールの南洋理工大学(1981年設立の国立大学)海洋安全保障問題専門家のコリン・コー氏は、“新型コロナウィルス感染問題など無関係で、PLAにしても中国海警艦にしても、南シナ海における活動は通常どおり”だと分析している。
また、米民間シンクタンク戦略国際問題研究所アジア海洋問題透明性調査部門責任者のグレゴリー・ポーリング氏は、トランプ政権が目下、新型コロナウィルス感染問題で手一杯でアジアに注力できない状況下、“中国が米国に代わってウィルス禍対応救済の手を差し伸べていることから、アジアの米同盟国もその他の国々も、中国支援を断れない状況となっている”とコメントしている。
更に、別の保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート主任研究員のザック・クーパー氏は、“マレーシアの例のように、領有権問題でささやかな睨み合いをする一方、遥かに膨大な経済・外交支援を行うことで南シナ海周辺国を懐柔するという長期的戦略を講じている”とし、“米国からの強力な後ろ盾がなければ、かかる弱小国は中国とまともに対峙することは不可能だ”としている。
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