インドネシアは、南シナ海において中国と直接的な領有権争いはない。しかし、南シナ海南端のインドネシア沖のナトゥーナ諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)に出没する中国漁船の大群に手を焼いている。そこで、中国が南シナ海の一方的な領有権主張に基づき、中国漁船による傍若無人な活動に対抗するため、2018年12月に同諸島に軍事基地を開設した上で、空・海の両方から警戒に当っている。
1月4日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「インドネシア、中国漁船団警戒のため海上パトロールを強化」
インドネシア国軍は1月初め、ナトゥーナ諸島海域での中国漁船出没頻度増を警戒して、空と海からの監視活動を強化した。
同諸島の北側のEEZには豊富な天然ガスが賦存しているが、南シナ海のほとんどを自国領海と主張する中国が、既成事実化の布石とするためか、中国漁船団をしばしば派遣しており、両国間の対立が続いていた。...
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1月4日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「インドネシア、中国漁船団警戒のため海上パトロールを強化」
インドネシア国軍は1月初め、ナトゥーナ諸島海域での中国漁船出没頻度増を警戒して、空と海からの監視活動を強化した。
同諸島の北側のEEZには豊富な天然ガスが賦存しているが、南シナ海のほとんどを自国領海と主張する中国が、既成事実化の布石とするためか、中国漁船団をしばしば派遣しており、両国間の対立が続いていた。
そして、インドネシア国軍の地域防衛司令部のユド・マルゴノ司令官は、中国漁船団の不法侵入に対抗するため、同諸島海域に3隻の軍艦と2機の空軍機を派遣したとした上で、追加の軍艦2隻も現地に向かわせていると表明した。
これに先立って、インドネシアのルトノ・マルスディ外相は、中国は1982年国連海洋法条約(UNCLOS、1994年発効の海の憲法)に従うべきこと、及び、インドネシアは中国が主張する九段線(南シナ海の9割を占める中国領海線)を受け入れていないことを改めて表明した。
更に同外相は、中国の外交部(省に相当)宛てに、中国船が同諸島周辺のインドネシアEEZ内に無断侵入していることに断固反対する対応を取る旨記載した外交文書を送付したことを明らかにしている。
1月3日付インドネシア『ジャカルタ・ポスト』紙:「インドネシア国軍、中国船団が北ナトゥーナ海域に不法侵入したことから厳戒態勢」
インドネシア国軍は1月3日、中国船団が北ナトゥーナのEEZ内に不法侵入したことから、厳戒態勢を敷いたことを明らかにした。
国軍報道官のシスリアディ少将は、海軍と空軍部隊を同海域に派遣して厳戒態勢を敷いたこと、及び、これ以上中国船が不法侵入しないよう、哨戒機も配備したと表明した。
外務省は先週、中国漁船及び海警船の一団が無断で同諸島海域に侵入したと発表していた。
ルトノ外相は1月2日に開かれた安全保障担当閣僚会議後、同諸島海域はUNCLOSに基づきインドネシアEEZと認められているとした上で、同海洋法を批准している中国はこれを遵守すべきであると強調した。
更に同外相は、インドネシアは中国が主張する九段線について、何ら法的根拠がないことから、これを一切認めていないとも付言した。
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