既報どおり、ドナルド・トランプ大統領の来日がいよいよ明日に迫った。日本側は、安倍晋三首相を中心に歓迎ムード満載である。しかし、いつも突拍子もない行動をとる同大統領のこと故、日本車への追加関税賦課等突然言い出さないよう、滞日中はゴルフ、大相撲観戦、ヘリコプター搭載護衛艦視察等の行事で埋め尽くされている。ある野党政治家が、今回の来日は“外交”ではなく“社交”に過ぎないと巧妙な皮肉を述べていたが、安倍首相としては、7月の選挙前にとにかく米国と波風立てないよう無事に乗り切ることが最重要と考えているとみられる。
5月23日付
『ザ・タイム』誌:「ステーキ、大相撲、戦闘機視察等、トランプ大統領訪日中は行事目白押し」
明日来日するドナルド・トランプ大統領は、新天皇に謁見する初めての国賓となる。
しかし、“重鎮としての貴重な時間”は十分取れない模様である。
何故なら、日本側が同大統領歓迎のために準備しているのは、安倍晋三首相とのゴルフであり、大相撲千秋楽を観戦してそこで優勝力士に“トランプ杯”を授与してもらうことであり、更に、米ロッキード・マーチン社製の最新鋭F-35B戦闘機が将来着艦できるよう改造されると期待される、ヘリコプター搭載護衛艦“かが”の視察も含まれるからである。...
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5月23日付
『ザ・タイム』誌:「ステーキ、大相撲、戦闘機視察等、トランプ大統領訪日中は行事目白押し」
明日来日するドナルド・トランプ大統領は、新天皇に謁見する初めての国賓となる。
しかし、“重鎮としての貴重な時間”は十分取れない模様である。
何故なら、日本側が同大統領歓迎のために準備しているのは、安倍晋三首相とのゴルフであり、大相撲千秋楽を観戦してそこで優勝力士に“トランプ杯”を授与してもらうことであり、更に、米ロッキード・マーチン社製の最新鋭F-35B戦闘機が将来着艦できるよう改造されると期待される、ヘリコプター搭載護衛艦“かが”の視察も含まれるからである。
そして、夕食は、客の目の前でステーキを焼く炉端焼きで予定されている。
すなわち、かかる行事の数々は、日本特有のおもてなしの精神からのものであろうが、その背景には、安倍首相として、かつて3,755ドル(約41万円)もする金メッキのドライバーを進呈したように、米大統領との緊密な関係作りの意図に他ならない。
スタンフォード大のダニエル・スナイダー教授(同大アジア太平洋研究センター副主幹)は、“今回は外交の伴わない、ただの週末の遠足”だと酷評している。
もちろん、日米間に重要な協議事項がない訳ではなく、北朝鮮問題、日本車・部品への関税賦課問題、米農産品への門戸開放、更には、5万人の在日米軍の費用負担増と、米側にとって重要な問題が未解決である。
しかし、どの国もかかる問題の先送りを望んでおり、日本も例外ではない。
特に、安倍首相としては、7月に予定される選挙(編注;米メディアは両院選挙と言及)の直前に、米大統領から、貿易、安全保障等で日本側が不利になるような一方的な通告がなされないよう必死になっているとみられる。
ただ、米シンクタンク戦略国際問題研究所のニコラス・セーチェニー氏(日本部副部長)は、両首脳が視察するヘリコプター搭載護衛艦“かが”は、最新鋭ステルス戦闘機F-35Bが着艦できる空母に改造される計画ゆえ、日本側が現有の旧式F-2戦闘機を同新型機に入れ替えを促進することになれば、日本が米製武器の最重要需要家になることを意味するため、米国にとって良い話であるとする。
また、日本にとっても、中国の最新鋭戦闘機J-20が米製高性能ステルス戦闘機F-22に近似していることから、防衛上同機の後継機であるF-35への入れ替えが急務となっているとみられるからである。
なお、今回のトランプ大統領訪日について、同大統領としばしば衝突している米同盟国のドイツやカナダ首脳にとっても参考となろう。
何故なら、どんな困難な時期であっても、やり方次第で、友好関係構築の行事で乗り切ることができる可能性があるからである。
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