既報どおり、ジム・マティス国防長官が、来年2月末を以て辞任することを発表した。これまでも、米同盟国との共同歩調を主張する同長官と、あくまで米国の利益が最優先だとするドナルド・トランプ大統領と意見の食い違いがあったが、直近の、同大統領による一方的なシリア撤退方針表明が直接の引き金になった模様である。早速、欧州や豪州等の米同盟国からは動揺の声が上がり、一方、ロシアは、タフな同長官とは言え、現実的な交渉ができたが、誰が後任になるかによって米ロ関係が更に毀損されることを懸念している。なお、同長官が“戦略的競争国”と呼んで最も厳しく当った中国は、今のところ静観の構えをみせている。
12月22日付
『USAトゥデイ』紙:「ジム・マティス米国防長官の辞任に欧州からアジアまでが動揺」
ジム・マティス米国防長官の突然の辞任表明に、欧州同胞は動揺、ロシアは懐疑的、そして中国は静観している。
スウェーデンの元首相で、現在は欧州外交評議会代表を務めるカール・ビルト氏は、マティス長官が、米政権と欧州間関係を強く繋ぎ止めた唯一の人物であり、他幹部は全く信頼性に疑問があることから、同長官辞任のニュースは欧州にとって大変な事態となる、とコメントした。...
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12月22日付
『USAトゥデイ』紙:「ジム・マティス米国防長官の辞任に欧州からアジアまでが動揺」
ジム・マティス米国防長官の突然の辞任表明に、欧州同胞は動揺、ロシアは懐疑的、そして中国は静観している。
スウェーデンの元首相で、現在は欧州外交評議会代表を務めるカール・ビルト氏は、マティス長官が、米政権と欧州間関係を強く繋ぎ止めた唯一の人物であり、他幹部は全く信頼性に疑問があることから、同長官辞任のニュースは欧州にとって大変な事態となる、とコメントした。
また、元フランス政府顧問で現在はジュネーブ安全保障政策研究所代表のフランソワ・ヘスブルク氏は、機能不全の米政権を安定化させ、かつ、西側諸国の同盟関係を維持することに力を発揮してきた同長官がいなくなることで、特に米同盟国はあらゆる選択肢を検討せねばならないと語った。
一方、ロシア議会外交委員会のアレクセー・プシュコフ委員長は、同長官は“タフ”であったが“現実的対応”ができる人であったので、次に誰が後任となり、それがロシアにとって良いことになるのか疑問であるとした。何故なら、レックス・ティラーソン前国務長官の時には米ロ間交渉がうまく運んでいたが、現在のマイク・ポンペオ長官は反ロシアに凝り固まっており、米ロ関係を最悪なものにしてしまっているからである、と付言した。
また、ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官も、米ロ関係を更に“不安、かつ、問題化”させるだけだとコメントしている。
更に、豪州においては、元豪州軍少将で現在は政治家のジム・モラン氏が地元紙のインタビューに答えて、同長官はトランプ政権の中で唯一大人と認められる人であったが、彼が去った後、ホワイトハウスは、世界中の米同盟国に影響を及ぼすことになる外交政策をどのように決めていけるのか、と疑問を呈した。
朝鮮半島の問題で米国頼みの韓国からは、同長官の辞任についてコメントは出てきていない。
しかし、日本の岩屋毅防衛相は『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューに答えて、日米防衛関係に大変尽くしてくれた同長官が辞任することは驚きだとした上で、後任の長官にも日米関係堅持を切望したいとコメントした。
一方、同長官から“戦略的競争国”と呼ばれて敵視されてきた中国は、目下のところ静観の構えをみせている。
なお、同長官の辞任のニュースが悲観的に流されていることを受けて、トランプ大統領は12月21日、早速ツイッターで噛み付いた。
すなわち、“マティス長官辞任で米外交が弱体化するとのフェイク・ニュースは看過できない”とした上で、“歴代大統領の中で、自分ほど対中国、対ロシア外交で強く当っている大統領はいない”と吠えている。
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