英保健省のイングランド公衆衛生庁(PHE)は20日、今後5年間でイングランドの喫煙者は10人に1人にまで減少し、この傾向が続けば、英国は2030年までに喫煙者の割合が5%を切る「スモークフリー(煙ゼロ)」社会になる可能性もあるとの予測を発表した。
英国家統計局によれば、昨年イングランドでは40万人が煙草をやめ、喫煙者の数は610万人となった。2014年からは100万人以上減っている。2017年の人口対比での喫煙者の割合は14.9%であり、11年の19.8%、16年の15.5%から減少傾向にある。ちなみに日本人の昨年の成人喫煙率は、男性が28.2%、女性が9.0%だった(JT調査)。
PHEは、もし現在の傾向が継続すれば、2023年には喫煙者の割合は8.5%~11.7%に低下すると試算している。...
全部読む
英国家統計局によれば、昨年イングランドでは40万人が煙草をやめ、喫煙者の数は610万人となった。2014年からは100万人以上減っている。2017年の人口対比での喫煙者の割合は14.9%であり、11年の19.8%、16年の15.5%から減少傾向にある。ちなみに日本人の昨年の成人喫煙率は、男性が28.2%、女性が9.0%だった(JT調査)。
PHEは、もし現在の傾向が継続すれば、2023年には喫煙者の割合は8.5%~11.7%に低下すると試算している。PHE最高責任者のダンカン・セルビー氏は今月、英国の国営医療事業である国民保健サービス(NHS)に対し、2030年までに英国の喫煙者が人口の5%未満となる事実上の「スモークフリー(煙ゼロ)」とすることを目標に掲げるよう促した。喫煙者の減少傾向を見れば、目標の達成は不可能なことではない。
一方でPHEは、禁煙しようとする人々の大半が、地元の禁煙サービスや各種ツールの利用などによる最も効果的な方法を用いていないと警告した。10人に6人の喫煙者が禁煙を考えているが、意思の力のみに頼ってきっぱり止めようとしているだけの人が多く、それは最も効果的でないやり方だという。PHEは「ストップトーバー」キャンペーンを20日に立ち上げた。10月に28日以上禁煙するよう喫煙者に奨励し、支援していく運動だ。
NHSによると、イングランドでは、直近の統計のある2016年に、喫煙に関連して死亡した人の数は、7万7,900人と前年比2%減少した。これも喫煙者の総数が急速に減少していることが背景にあるが、政府が2030年までに真にスモークフリーな社会というビジョンを達成するためには、さらに多くの対策の実行が必要であると専門家は指摘する。
喫煙率は確かに全体としては下がっているが、PHEの統計では、管理職や専門職の職種の人々の間では喫煙者は10人に1人に止まるのに対し、現場で定型作業や手作業に従事している人々については4人に1人に上っており、バラツキがある。
最貧困層や社会的に恵まれない立場の喫煙者らには、健康対策などの支援が行き届かず、目標達成のためには、こうした人々を対象とした財政支出を求める声が上がっている。世界で最も利益を得ている業界の1つの煙草メーカーに負担をさせる案も出ているという。
閉じる