欧州連合(EU)の欧州議会は12日、著作権法の改正案を可決した。米グーグルやフェイスブックのようなインターネット大手に対し、報道機関やレコード会社、映画会社といった伝統的なメディアの企業の著作権保護を強化する内容となっている。
欧州議会の議員らは、本問題については明確に賛否の意見が分かれ、両陣営が激しく対立して、かつてないほどの激しいロビー活動が繰り広げられた。欧州議会は12日、フランスのストラスブールで採決を行い、賛成438、反対226、棄権39で法案を可決した。
インターネット時代となって新聞やテレビ離れが進み、広告収入がオンラインプラットフォームに吸い上げられた新聞社や放送局などのメディアは、グーグルやフェイスブックなどの企業が、ニュースや収入源を奪っており、「民主主義への脅威」として、著作権法の改正案を支持してきた。...
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欧州議会の議員らは、本問題については明確に賛否の意見が分かれ、両陣営が激しく対立して、かつてないほどの激しいロビー活動が繰り広げられた。欧州議会は12日、フランスのストラスブールで採決を行い、賛成438、反対226、棄権39で法案を可決した。
インターネット時代となって新聞やテレビ離れが進み、広告収入がオンラインプラットフォームに吸い上げられた新聞社や放送局などのメディアは、グーグルやフェイスブックなどの企業が、ニュースや収入源を奪っており、「民主主義への脅威」として、著作権法の改正案を支持してきた。また、レコード会社や音楽家らも、ユーチューブなどについて、音楽ビデオなどのコンテンツ掲載にあたり、ライセンスを取得し、適正なロイヤルティーを支払うよう求める法改正を望んでいたため、法案の可決を歓迎している。
一方、法案に強く反対してきたインターネット大手や、ネット上での言論の自由を主張する活動家らは、今回の欧州委員会の採決について抗議し、対抗する構えだ。彼らは著作権に関連したコンテンツが共有されないよう自動フィルターを導入することで、それが政治的メッセージや他の形式の自由な表現を検閲するのに使われることも危惧している。
本法案は2016年に初めて提案され、今年7月に一旦否決されたが、その後内容を修正し、最終的に可決されたものである。主な改定の1つは、インターネット企業がニュースのリンクを貼る場合、報道機関などがこれに使用料を課金することができるようにしたことだが、数語であれば無料で使用可という文言を含める妥協案へと変更された。
また、ユーチューブやフェイスブックなどのプラットフォームに対し、著作権侵害の責任を負わせることとし、違反コンテンツを自動的に削除させる、いわゆるアップロード・フィルターの導入を求めることとしているが、これも小規模企業については免除とした。
今回の改正を提案したEUのアンドルス・アンシプ委員とマリヤ・ガブリエル委員は、欧州議会の採決は、「EU内の著作権のルールを近代化するという、我々の共通目的を達成することへの強力で前向きなシグナルであり、極めて重要な一歩だ。」と意義を強調した。
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