トランプ米政権で国家安全保障問題を担当するジョン・ボルトン大統領補佐官は10日、国際刑事裁判所(ICC)による不当な訴追から米国や同盟国の市民を守るためとして、米国は制裁を含む必要な限りの措置を取ると警告した。これに対しICCは11日に声明を出し、ひるまずに仕事を続けていくと応じた。
ボルトン大統領補佐官は10日、首都ワシントンで講演し、ICCがアフガニスタンでの米軍や中央情報局(CIA)による戦争犯罪の可能性について捜査をしようとしていることを非難し、米軍などの関係者を捜査すれば、米国法が認める範囲内で、ICCの判事や検察官らの入国禁止や資産凍結などの制裁を含む必要な限りの対抗措置を取ると警告している。
ボルトン補佐官は講演の中で、ICCについて、「非効率、無責任」で「徹底的に危険」「米国の理念に反する」などと切り捨て、米国関係者に関するいかなる捜査も「全く根拠なく、正当性がない」と厳しく批判した。...
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ボルトン大統領補佐官は10日、首都ワシントンで講演し、ICCがアフガニスタンでの米軍や中央情報局(CIA)による戦争犯罪の可能性について捜査をしようとしていることを非難し、米軍などの関係者を捜査すれば、米国法が認める範囲内で、ICCの判事や検察官らの入国禁止や資産凍結などの制裁を含む必要な限りの対抗措置を取ると警告している。
ボルトン補佐官は講演の中で、ICCについて、「非効率、無責任」で「徹底的に危険」「米国の理念に反する」などと切り捨て、米国関係者に関するいかなる捜査も「全く根拠なく、正当性がない」と厳しく批判した。
そしてボルトン氏は、「もし裁判所が米国やイスラエル、他の同盟国を追及するのであれば、我々はじっと黙ってはいない。」と述べ、「米国人に対する裁判手続を行えば、裁判所当局者らに対する経済制裁や刑事訴追などの用意がある。」と具体的な措置を挙げた。
措置の対象には、米国民に対するICCの捜査に協力した企業や国家も含まれると説明した。ボルトン氏は、米国はそうした国を記録し、各国への支援や軍事援助、情報共有の程度などを決定する際の物差しにするとしている。さらに国連の安全保障理事会を通じ、米国が認めないICCの裁判管轄権を制限することも検討する意向を示した。
ICCはオランダのハーグに本部を置き、大量虐殺、戦争犯罪、反人道的な犯罪などの凶悪な国際犯罪を捜査し、訴追する裁判管轄権を有している。個人を裁き、将来の同様の犯罪を防止することが目的であるが、容疑者の拘束については、加盟各国の協力を仰いでいる。米国はICCに加盟していない。
ICCはボルトン氏の発言に対する声明で、「ICCは法律を守る裁判所として、法の支配の原則などに従って、ひるむことなく仕事を続けていく。」と述べた。また、自らを「独立した偏見のない司法機関」と称し、各国が捜査や訴追をしない、あるいはそれができない場合に、ICCはそれを行うだけであると強調した。
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