米司法省は5日、大手IT企業に対し、競争の阻害と政治的偏向をめぐり、法的規制を行う可能性があると警告する声明を出した。ツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディア大手の幹部らは同日、米議会の公聴会で、外国の影響力行使や運営の透明性などについて自社の方針を説明したばかりであり、声明は衝撃的なものとなった。
同声明によると、ジェフ・セッションズ司法長官が、「これらの企業が競争を阻害し、そのプラットフォーム上で意図的に自由な意見交換を抑制しているという高まる懸念について議論するために」各州の司法長官の会合を25日に開催する予定であるという。
トランプ大統領は、自身に否定的なニュースばかりが表示されるように、IT企業は検索結果を操作しているなどとして、保守派への偏見があるとの批判を何度も行っており、司法省の声明は、トランプ政権とシリコンバレーとの対立を激化させるものとみられている。...
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同声明によると、ジェフ・セッションズ司法長官が、「これらの企業が競争を阻害し、そのプラットフォーム上で意図的に自由な意見交換を抑制しているという高まる懸念について議論するために」各州の司法長官の会合を25日に開催する予定であるという。
トランプ大統領は、自身に否定的なニュースばかりが表示されるように、IT企業は検索結果を操作しているなどとして、保守派への偏見があるとの批判を何度も行っており、司法省の声明は、トランプ政権とシリコンバレーとの対立を激化させるものとみられている。
5日午前に行われた上院・情報委員会の公聴会で、ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)、フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)が証言し、外国のソーシャルメディアでの世論工作や、運営の透明性に関する自社の改善方針を説明し、政治的偏向を否定した。グーグルのサンダー・ピチャイCEO或は親会社アルファベットのラリー・ペイジCEOも招請されたが、グーグルはケント・ウォーカー最高法務責任者(CLO)の代理出席を打診し、これが認められずに欠席となった。
ツイッターのドーシーCEOは、5日午後の下院・エネルギーおよび商業対策委員会の公聴会にも出席し、政治的偏向などにつき否定した。同氏は保守派に対する偏見も、リベラル派を支持することもないとして、意図的なシステムの操作は行われていないと主張した。
このように上下両院で公聴会が開催されたため、IT業界の観測筋も、今回の司法省による法的措置あるいは規制の示唆については、驚きをもって受け止めている。
法律の専門家らは、合衆国憲法修正第1条で保障された言論の自由のため、政治的偏向があることが証明された場合でも、政府はそれに対して殆ど取り得る手段がないと指摘している。グーグルやフェイスブックに対しては、反トラスト法(独禁法)上の問題がある可能性があるが、同法を根拠に言論を規制することは困難であり、新たな法的規制も検閲に繋がり、修正第1条の趣旨が損なわれるとの懸念も持たれている。
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