国連のゼイド・ラアド・アル・フセイン人権高等弁務官は29日、米フェイスブックなどのソーシャルメディアは、さらに先手を打ったヘイトスピーチ対策を講じるべきであると述べた。同氏は一方で、過度の規制についても危険ありとして、逆方向に振れ過ぎることについても警鐘を鳴らした。
フェイスブックに対しては、ミャンマーでイスラム教徒の少数民族ロヒンギャに対するヘイトスピーチを拡散し、暴力を煽ることにシステムが利用されているとして、批判が高まっていた。同社は27日、国連の調査により、ロヒンギャに対する「ジェノサイド(大量虐殺)」に関わった可能性があると指摘されたミャンマー国軍のミン・アウン・フライン最高司令官や他の軍の幹部らの利用を禁じ、アカウントを削除すると発表した。
ミャンマーでは、フェイスブックは、多くの人がニュースなどの情報を得る主要な手段であるが、軍や仏教徒の強硬派が、ロヒンギャ他の少数派に対するヘイトスピーチを拡散する基盤にもなってきた。...
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フェイスブックに対しては、ミャンマーでイスラム教徒の少数民族ロヒンギャに対するヘイトスピーチを拡散し、暴力を煽ることにシステムが利用されているとして、批判が高まっていた。同社は27日、国連の調査により、ロヒンギャに対する「ジェノサイド(大量虐殺)」に関わった可能性があると指摘されたミャンマー国軍のミン・アウン・フライン最高司令官や他の軍の幹部らの利用を禁じ、アカウントを削除すると発表した。
ミャンマーでは、フェイスブックは、多くの人がニュースなどの情報を得る主要な手段であるが、軍や仏教徒の強硬派が、ロヒンギャ他の少数派に対するヘイトスピーチを拡散する基盤にもなってきた。
ゼイド氏はジュネーブで記者団に対し、「フェイスブックが主要なメディアである国で、人権状況が悪化し、その役割が問われる」ケースが他に出てくることも十分にあり得ると指摘した。そして同社に対し、最悪の犯罪者を裁く訴訟に共に召喚されるリスクもあるため、自社の置かれる立場や、依って立つ法的な面などにも注意深くあるよう警告した。
その上で同氏は、フェイスブックに対し、ヘイトスピーチによる危機が深刻化するまで待つことなく、またメディアや人権団体が取り上げた問題に反応するだけでなく、「どのような手段を講じるかについて、先手を打って考えるべきだ。」と積極的な対応を求めた。
ゼイド氏は一方で、「規制の行き過ぎという別の危険性もある。」として、表現の自由などの基本的な権利を侵害するような、逆の方向に流れ過ぎることについても警告を発した。トランプ米大統領は最近、フェイスブック、グーグル、ツイッターなどの大手IT企業が、自分に偏見を持っており、検索結果などを不正に操作していると非難しており、政府が何らかの規制を検討する可能性を示唆するホワイトハウス関係者もいるという。
これに関し、ゼイド氏は、フェイスブックの各種の対応は、政府の規制強化ではなく、国際人権法によって規制されるべきであると主張している。
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