経済協力開発機構(OECD)が先週27日に公表した報告書によれば、トランプ米大統領の税制改革による減税が、世界的な投資フローを大きく阻害する要因となっており、米国は今年の第1四半期、2005年以降で初めて、国内に還流する資金が海外への投資を上回ったことが判明した。
今回のOECD報告は、トランプ政権の税制改革による海外直接投資(FDI)への影響を初めてまとめたものであり、これによると、今年の第1四半期の世界の海外直接投資額は1,360億ドル(約15兆円)で、前四半期の2,420億ドル(約27兆円)から44%減と大きく落ち込んだ。
これには米国の海外投資の減少が大きく影響しており、米企業は第1四半期、海外への投資額より多額の資金を国内に還流させている。...
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今回のOECD報告は、トランプ政権の税制改革による海外直接投資(FDI)への影響を初めてまとめたものであり、これによると、今年の第1四半期の世界の海外直接投資額は1,360億ドル(約15兆円)で、前四半期の2,420億ドル(約27兆円)から44%減と大きく落ち込んだ。
これには米国の海外投資の減少が大きく影響しており、米企業は第1四半期、海外への投資額より多額の資金を国内に還流させている。OECD投資部門のマリア・ボルガ氏はロイター通信の取材に対し、「米国は通常世界最大の海外投資国だ。それゆえ米国の投資がマイナスとなれば、世界の投資フローに大きな影響をもたらす。」と説明した。
昨年12月に米議会を通過した税制改革法は、雇用を創出して米国の経済成長を促進し、外国企業との競争条件を公平にするものとされている。法人税を35%から21%に引き下げ、多国籍企業が海外で得た利益に対しては、米国に還流させた場合、優遇税制が1回適用される。
これにより多くの米企業が、海外子会社に利益を国内に送還させることとなり、同期の米海外直接投資額はマイナス1,450億ドルと、2005年第4四半期以降で初のマイナスを記録した。米国の海外投資が大きく落ち込んだことにより、日本が同期に世界第1位の海外投資国になったという。
OECDのボルガ氏は、米企業の還流資金は、現時点では現金の保有や金融資産にあてられ、おそらく雇用や海外事業の付加価値という観点では、すぐに影響はないだろう。」との見通しを述べた。
同氏はさらに、長期的な影響の予測は難しいが、重大で長い間継続するものになることもあり得ると指摘し、「例えば税率の引き下げにより、海外投資先としての魅力がさらに増すことになれば、より多くの投資が米国に向かう可能性もある。」との見方を示した。
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