スウェーデン・ストックホルム大学の研究グループは23日、平日の睡眠不足は週末の朝寝坊で補うことができ、死亡率を下げる可能性があるとの研究結果を医学会誌「Journal of Sleep Research」に公開した。
ストックホルム大学の研究グループは、スウェーデンで4万3,880人の成人の平日と休日の睡眠習慣に関するデータを収集し、対象者を最長13年にわたり追跡調査した。同グループは、性別、BMI(肥満度を示す体格指数)、喫煙の習慣など、健康リスクにつながる要素を勘案し、睡眠時間による死亡率の違いを分析している。
睡眠不足は脳卒中や心臓病、高血圧、肥満、うつ病などの原因となることが分かっており、それらは全て死亡のリスクを高めるものである。...
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ストックホルム大学の研究グループは、スウェーデンで4万3,880人の成人の平日と休日の睡眠習慣に関するデータを収集し、対象者を最長13年にわたり追跡調査した。同グループは、性別、BMI(肥満度を示す体格指数)、喫煙の習慣など、健康リスクにつながる要素を勘案し、睡眠時間による死亡率の違いを分析している。
睡眠不足は脳卒中や心臓病、高血圧、肥満、うつ病などの原因となることが分かっており、それらは全て死亡のリスクを高めるものである。一方で過剰な睡眠もまた、健康に有害であるとされるが、その関係性についてはよくわかっていない。もともと表面には現れない健康上の問題が潜んでいて、それが寝過ぎを招くのかも知れない。
今回の研究でも、過去の研究と同様に、睡眠時間と死亡率との関係はU字型となった。すなわち、睡眠時間が5時間以下の人と同様に、8時間以上の睡眠を取る人は、6~7時間の人より死亡率が高い傾向にあった。
睡眠時間が常に5時間以下の人は、6~7時間の人より65%死亡率が高かったが、今回注目すべきなのは、平日は5時間以下でも、休日に8時間以上の長い睡眠を取る人は、6~7時間の人と比べて死亡率が変わらなかった点である。この結果が意味するところは、平日の睡眠不足は、週末の朝寝坊で埋め合わせが可能かも知れないということだ。
睡眠不足と死亡リスクの関係を調査した以前の研究では、しばしば調査対象者に「普段の」睡眠時間を訪ねており、それは一般に平日の睡眠時間と解釈されていた。しかし、今回の研究論文の筆頭執筆者であるストックホルム大学のトールビョルン・オーカスタット教授は、「我々はそれでは全ての説明がつかないと思った。」と述べている。今回の調査では、対象者に平日と休日の睡眠時間を分けて訪ねた。
今回の研究はまた、そうした睡眠習慣と死亡リスクとの関連性が見られるのは65歳までとしている。65歳超の高齢者になると必要な睡眠時間は減り、また退職する人が多くなって、平日も休日も変わらずに短めの睡眠時間を取る傾向にあるという。
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