米国では1992年に、既にスポーツ賭博の市場が確立していたネバダ、デラウェア、モンタナ、オレゴンの4州以外の州では、プロスポーツや大学スポーツに関する賭博行為を禁止する連邦法が成立していた。賭博はスポーツイベントの清廉さを脅かすとの理由で、プロバスケットボールチームのニューヨーク・ニックスの元スター選手、ビル・ブラッドリー民主党上院議員が強く推した法律である。
これに対し、カジノホテルなどが林立するアトランティックシティーを州内に抱える東部ニュージャージー州は、スポーツ賭博を行う権利を求めてロビー活動などを行ってきた。...
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米国では1992年に、既にスポーツ賭博の市場が確立していたネバダ、デラウェア、モンタナ、オレゴンの4州以外の州では、プロスポーツや大学スポーツに関する賭博行為を禁止する連邦法が成立していた。賭博はスポーツイベントの清廉さを脅かすとの理由で、プロバスケットボールチームのニューヨーク・ニックスの元スター選手、ビル・ブラッドリー民主党上院議員が強く推した法律である。
これに対し、カジノホテルなどが林立するアトランティックシティーを州内に抱える東部ニュージャージー州は、スポーツ賭博を行う権利を求めてロビー活動などを行ってきた。トランプ米大統領も、かつてアトランティックシティーにあった自身のホテルやカジノが経営難となり、その立て直しのためにスポーツ賭博の解禁を求めたことがある。
連邦最高裁は14日、判事9名が賛成6、反対3で同州の主張を認め、92年の連邦法は違憲であるとの判断を下した。最高裁は意見書において、米議会はスポーツ賭博を直接規制する権利を留保しているものの、各州が取る措置の自由を阻むことはできないと述べた。
最高裁の判断を受けて、今後各州で税収増や経済の活性化のために、スポーツ賭博の合法化の動きが相次ぐものと予想される。また、早速スポーツ賭博に新たに参入することを表明した会社も現れた。ファンデュエルとドラフトキングスのファンタジースポーツ企業2社が、すぐに参入の計画を明らかにした他、既にネバダ州でスポーツ賭博事業を行っている英国のブックメーカー、ウィリアム・ヒルも、他州への事業展開に意欲を示している。
一方、メジャーリーグベースボール(MLB)は他のプロスポーツリーグとともに、賭博の解禁に反対してきた。今回の最高裁の判断は、重大な影響があるとして懸念を示しており、「我々の最優先事項は試合の清廉さを守ることだ。」との声明を発表した。
MLBでは、シカゴ・ホワイトソックスの8選手が、賭博師らから賄賂を受領し、故意にワールドシリーズで敗れたとして刑事告訴・追放された1919年の「ブラックソックス事件」があった。また最多安打記録を持つ元名選手ピート・ローズ氏が、シンシナティ・レッズの監督在任中の野球賭博で永久追放されており、賭博による激震を経験してきた。
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