15日に米ニューヨークで競売にかけられる予定だった、画家パブロ・ピカソの自画像が、誤って損傷を受けたことにより出品が見送られたと競売会社クリスティーズが明らかにした。同作品の価値は7,000万ドル(約77億円)と見積もられているという。
出品予定だったのは、ピカソの1943年の傑作である「水夫(Le Marin / The Sailor)」で、今月12~15日に行われるクリスティーズの印象派とモダンアートのセールの目玉作品と考えられ、15日に競売が行われる筈だった。同社は、損傷は11日に「準備の最終段階」で発生したと説明している。
クリスティーズは「2社の修復業者に確認したところ、絵画を正しく修復するよう勧められた。...
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出品予定だったのは、ピカソの1943年の傑作である「水夫(Le Marin / The Sailor)」で、今月12~15日に行われるクリスティーズの印象派とモダンアートのセールの目玉作品と考えられ、15日に競売が行われる筈だった。同社は、損傷は11日に「準備の最終段階」で発生したと説明している。
クリスティーズは「2社の修復業者に確認したところ、絵画を正しく修復するよう勧められた。」「本日委託者に相談した結果、同絵画は修復作業を開始するため、当社の15日のオークションから取り下げられる。」と発表したが、事故や損傷の程度などの詳細に関しては、明らかにしなかった。
競売に向けた事前の宣伝の中で、クリスティーズは同作品の意義と市場での重要性を熱心に伝えている。「これは基本的に私が長い間得ようとしてきた非常に特別なピカソだ。」と同社で戦後・現代美術を専門に担当するロイック・グゼール氏は語っていた。
同作品の持ち主の名前は伏せられているが、米メディアの報道によれば、ラスベガスの元ホテル・カジノ王のスティーブ・ウィン氏とされている。ウィン氏は2006年に、所有していたピカソの1932年の作品「夢」を自分の客人に見せようとしたとき、うっかり肘をついて損傷したことがある。その絵は修復され、2013年に1億5,500万ドル(当時のレートで約147億円)で売却された。
ウィン氏はトランプ米大統領の政治上の盟友でもあり、今年の1月に、複数の女性従業員への長年にわたるセクハラ疑惑を米紙ウォールストリートジャーナルに報じられ、ウィン・リゾーツの会長兼最高経営責任者(CEO)の職を辞任している。
クリスティーズは、ウィン氏所有のアンディ・ウォーホルの1963年の作品「ダブルエルビス」(見積もりは3,000万ドル)は、予定通り競売にかけられると述べた。同社は先週8日には、ロックフェラー家が所有していたピカソの1905年の作品「Fillette a la corbeille fleurie」(花かごを持つ少女)を1億1,500万ドル(約125億円)で売却している。
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