国連のラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は8日、米国のキューバに対する「不公正」な禁輸制裁措置により、キューバはこれまでの約60年にわたり1,300億ドルもの経済損失を受けているとの試算結果を発表した。
国連の中南米・カリブ諸国の地域経済委員会、ECLACのアリシア・バルセナ事務局長は8日、キューバの首都ハバナで行われた37回目となる同委員会の隔年の会合で、「我々は毎年、金融と貿易の通商禁止措置による損害を経済委員会として評価し、措置が現在価値で1,300億ドル以上の損失をキューバ国民にもたらし、同国の経済構造に拭い去れない傷を残していることを知っている。」「キューバ国民の80%が制裁の下で一生を過ごしてきた。...
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国連の中南米・カリブ諸国の地域経済委員会、ECLACのアリシア・バルセナ事務局長は8日、キューバの首都ハバナで行われた37回目となる同委員会の隔年の会合で、「我々は毎年、金融と貿易の通商禁止措置による損害を経済委員会として評価し、措置が現在価値で1,300億ドル以上の損失をキューバ国民にもたらし、同国の経済構造に拭い去れない傷を残していることを知っている。」「キューバ国民の80%が制裁の下で一生を過ごしてきた。」と説明した。しかし、委員会の試算方法の詳細については明らかにされていない。
国連は1992年以来毎年、禁輸制裁措置の解除を求める拘束力のない決議案を採択している。キューバも昨年の決議案の投票に先立ち、禁輸措置により被った損失の合計金額について、1,300億ドルと見積もる報告書を明らかにしていた。
多くの米国の同盟国は米国に同調し、キューバの一党独裁と反体制派の弾圧を批判しているが、米国はソ連の崩壊以来の禁輸制裁措置に対する国際的な支持をほぼ失っている。
2014年の米国とキューバの歴史的な国交回復の後、オバマ前米大統領は、1962年から完全実施されていた禁輸制裁措置を緩和した。しかし、昨年トランプ大統領が、渡航制限と貿易制限を再び強化しており、全面的な解除のためには、米国議会の承認が必要だ。
キューバのミゲル・ディアス=カネル国家評議会議長は、国連のアントニオ・グテーレス事務総長も参加したECLAC会合の開会の式典で演説し、「キューバ経済が直面している困難にも係わらず、我々は設定された成長目標に注力していく。」と述べた。
キューバのソビエト様式の中央集権型経済は、過去10年間、平均2.4%の成長しか遂げられなかった。政府が発展のために必要としている年間7%の成長には遠く及ばない。過去10年の間に導入された市場改革が成長を後押しすると期待されたが、与党共産党も今年初め、想定以上に困難な道であったことを認めた。バルセナ氏は、ECLACはキューバの改革プログラムを支援していくと語っている。
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