米航空宇宙局(NASA)は3日、ソニックブームと呼ばれる衝撃波による爆発的な大音響を発生させずに、超音速で飛行できる次世代の航空機用の実験機、Xプレーンの開発契約を、米ロッキード・マーチン社と締結したことを発表した。
NASAによれば、開発費用は約3年半で2億4,750万ドル(約270億円)、契約は航空機の設計、製造、試験飛行などを対象としており、2021年に最初の試験飛行を行うことを目指している。
同実験機は5万5,000フィート(16,764メートル)とかなり高い高度を飛行し、巡航速度は約940マイル(1,513キロ)に達するという。超音速機特有の爆発音であるソニックブームを抑え、騒音を車のドアを閉める位の音である75デシベル(PLdB)程度にすると、NASAは声明で説明している。...
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NASAによれば、開発費用は約3年半で2億4,750万ドル(約270億円)、契約は航空機の設計、製造、試験飛行などを対象としており、2021年に最初の試験飛行を行うことを目指している。
同実験機は5万5,000フィート(16,764メートル)とかなり高い高度を飛行し、巡航速度は約940マイル(1,513キロ)に達するという。超音速機特有の爆発音であるソニックブームを抑え、騒音を車のドアを閉める位の音である75デシベル(PLdB)程度にすると、NASAは声明で説明している。
2022年の半ば以降、NASAはXプレーンを米国のいずれかの都市で飛行させる計画で、飛行データや周辺地域の住民の反応についての情報を集めたいとしている。NASAはその目的を、より静かな超音速飛行を実現し、「超音速航空機での移動による新たな商用貨物・旅客機の市場」を作り出すことであるとした。
先月、トランプ米大統領は、次世代の航空機が、「米国企業がより高速の商用機を製造するための新しい市場を開き、雇用を創出し、国内各都市間の飛行時間を半分に短縮する。」との期待感を示し、同プロジェクトの資金を全額拠出する連邦予算案に署名した。
しかしながら、ロッキード・マーチンが取り掛かっているプロジェクトには、まだ乗客の座席は設けられていない。同社は先ず初めに、静かな超音速機を飛行させることが可能であることを示さなければならない。爆発音を抑えるには、機体外部のデザインが鍵となる。そして現在、米国では民間会社による国内での超音速飛行は騒音のために禁じられているが、これを定めた米連邦航空局(FAA)の規則を変更しなければならない。
超音速ジェット旅客機には、過去英仏が共同開発した「コンコルド」があったが、騒音や燃費の悪さから2003年に引退した。今後数年の間に超音速機を飛ばそうとしている他の会社としては、ヴァージングループで宇宙旅行ビジネスを行うヴァージン・ギャラクティック、航空宇宙工学コンサルティング企業のスパイク・エアロスペースなどがある。
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