米政府はフィリピン空軍に対し13日、偵察用ドローン(小型無人機)「スキャンイーグル」による監視システムを供与した。両国はイスラム過激派戦闘員との戦いにおいて協力関係を強化しており、フィリピン軍にとっては初めてのドローンシステムの導入となる。
昨年、イスラム国(IS)系の武装勢力が、南部ミンダナオ島の都市マラウィの一部を5カ月にわたって占拠して以来、米政府はフィリピンのイスラム過激派対策への支援を強化している。今回供与した監視システムは6機のドローンを備え、1,300万ドル超の価値があるが、昨年の偵察機2機に続き、米国のフィリピン軍に対する新たな軍事協力として引き渡された。
米国のソン・キム駐フィリピン大使は、マニラ空軍基地でのセレモニーで、「スキャンイーグルのような資産は、テロリストの活動、海賊行為、領土侵略等を検知するフィリピン軍の能力を大いに向上させるだろう。...
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昨年、イスラム国(IS)系の武装勢力が、南部ミンダナオ島の都市マラウィの一部を5カ月にわたって占拠して以来、米政府はフィリピンのイスラム過激派対策への支援を強化している。今回供与した監視システムは6機のドローンを備え、1,300万ドル超の価値があるが、昨年の偵察機2機に続き、米国のフィリピン軍に対する新たな軍事協力として引き渡された。
米国のソン・キム駐フィリピン大使は、マニラ空軍基地でのセレモニーで、「スキャンイーグルのような資産は、テロリストの活動、海賊行為、領土侵略等を検知するフィリピン軍の能力を大いに向上させるだろう。」と記者団に語っている。
ミンダナオ島は、昨年5月にマラウィを攻撃した一派など、IS系の過激派武装グループの本拠となっている。マラウィの戦いでは、1,100人が犠牲になり、同市の大部分が瓦礫と化した。
フィリピンのデルフィン・ロレンザーナ国防相は、24時間飛行可能な機体とカメラを備えたドローンによる偵察システムは、南部のイスラム過激派戦士との戦いを支援するだろうと期待感を示した。新しいドローンは、防衛における偵察の任務、人道主義的な援助、地震や台風などの大災害への対応に用いられる。同国防相はさらに「今日わが国が直面する多くの安全保障上の問題に鑑み、軍事力を強化していく必要がある。」と述べた。
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、自身の麻薬撲滅戦争に関し、米国などから人権問題を懸念する声が上がっていることなどを受けて、中国やロシアに接近し、70年に及ぶ米国との同盟関係を解消しようと試みた。麻薬戦争においては、フィリピン警察が数千人の国民を殺害し、国際刑事裁判所が予備調査に着手する事態に発展している。
かつて麻薬戦争を評価するとしたトランプ米大統領の政権下で、両国の関係は改善したものの、ドゥテルテ大統領は軍隊を強化しようと、ますます中国やロシア寄りの立場を取っている。
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