世界経済は、今年は3.1%と昨年時の事前予測3.0%からやや加速する見通しだ。投資や貿易の回復、資金調達条件の緩和等により、広範囲の分野にわたる世界的な景気回復の流れが持続していることによる。
世銀は、世界経済の成長率は今後数年間維持されると見ており、2019年には3.0%、20年も2.9%との見通しを示した。商品輸出国を中心とした新興国が成長に大きく寄与し、新興国全体の成長率見通しは、18年は4.5%、19年と20年は4.7%となっている。...
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世界経済は、今年は3.1%と昨年時の事前予測3.0%からやや加速する見通しだ。投資や貿易の回復、資金調達条件の緩和等により、広範囲の分野にわたる世界的な景気回復の流れが持続していることによる。
世銀は、世界経済の成長率は今後数年間維持されると見ており、2019年には3.0%、20年も2.9%との見通しを示した。商品輸出国を中心とした新興国が成長に大きく寄与し、新興国全体の成長率見通しは、18年は4.5%、19年と20年は4.7%となっている。世銀のジム・ヨン・キム総裁は、「世界経済の幅広い回復は喜ばしいことだが、現状に満足すべきではなく、各国が人的・物的資本に投資する良い機会と捉えるべきである。」と述べた。
世界経済の成長の下振れリスクが依然として残るとされており、資金調達条件の急激な厳格化や、米国の金融引き締めの実施、保護主義の高まり、トランプ米大統領の「米国第一主義」の貿易政策、北朝鮮や中東を巡る「地政学的な緊張の高まり」等が挙げられた。
米国経済は2018年には2.5%成長すると予測されており、昨年時の見込み2.3%を上回ったが、トランプ政権による大幅な減税を伴う税制改革の実施によるものである。但し、その後景気刺激策の効果が次第に弱まり、19年には2.2%、20年は2.0%と減速していく。
中国の成長率は引き締め政策により、2018年には6.4%、19年は6.3%で、17年の6.8%から減速するとされている。主要な下振れリスクとしては、金融業界の脆弱さ、先進国の保護主義の政策の導入の可能性、北朝鮮の地政学的リスク等がある。
欧州については、域内の需要がやや陰りを見せ、金融刺激策も徐々に講じられなくなることから、2018年には2.1%、19年には1.7%と、17年の2.4%から減速するという。
日本の経済成長率は、2018年は1.3%と予測されており、財政面での金融刺激策が取られなくなること、輸出の伸びが鈍化すること等により、17年の1.7%から減速する。19年にはさらに減速して0.8%に、同年10月に予定される消費税の10%への増税により、20年には0.5%となる。高齢化や労働力不足等が成長の足かせとなると見られている。
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