米財務省は4日、イラン企業5社に対し、同国の弾道ミサイル開発に関与したとして、制裁を科すことを決定したと発表した。また米国は同日、イラン国内で20人以上が死亡した反政府デモに関する問題について、国連の安全保障理事会に対し、5日に緊急会合を開催するよう要請した。
米財務省はイラン企業5社への制裁を発表したが、制裁の対象となったのは、いずれもイラン国防省系の企業グループであるシャヒード・バーゲリー・インダストリアル・グループ傘下の工業関連企業や研究センターなどである。シャヒード社自体は既に米国の制裁対象であるが、今回実際に関与した子会社も対象に加えた。
本制裁の措置によって、対象企業が米国内で所有している全ての資産が凍結されるとともに、米国民とこれらの企業との取引が禁止される。...
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米財務省はイラン企業5社への制裁を発表したが、制裁の対象となったのは、いずれもイラン国防省系の企業グループであるシャヒード・バーゲリー・インダストリアル・グループ傘下の工業関連企業や研究センターなどである。シャヒード社自体は既に米国の制裁対象であるが、今回実際に関与した子会社も対象に加えた。
本制裁の措置によって、対象企業が米国内で所有している全ての資産が凍結されるとともに、米国民とこれらの企業との取引が禁止される。
スティーブン・ムニューシン財務長官は声明で、「制裁はイランの弾道ミサイル開発計画に主に関わった企業を対象としている。イランの体制は、同国民の経済的な福祉より、弾道ミサイル開発を優先している。」と述べ、「イランの人々が苦しんでいるのに、政府やイラン革命防衛隊(IRGC)は、外国の軍隊やテロ組織に資金を供給し、人権を蹂躙している。」と厳しく批判した。
米国の要請により、国連の安全保障理事会は5日に緊急会合を開催し、イランの反政府デモを巡る問題を議論することとしている。安保理・理事国のイランでの反政府デモや同国政府のデモへの対応に関する見解は必ずしも一致していないため、緊急会合での議論の展開や、どのような結論が出されるのかについては不透明だ。会合の必要性について疑問視する国もあり、イランと緊密な関係を維持しているロシアの国連代表団は、イランの国内問題として、過度な干渉について警告している。
イラン内務省の発表によれば、反政府デモに最大4万2,000人が参加し、少なくとも21人が死亡、数百人が拘束された。死亡者数は23人とも報道されている。一方で3日には、政府を支持する数万人の人々がデモに反対する活動に参加したという。イラン政府は、トランプ米大統領の反政府デモを支持するツイートを批判し、CIAなど米国の当局が反政府デモを扇動していると強く反発した。一方米国側は、反政府デモはイラン国民の自主的な活動として反論している。
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