EU(欧州連合)・欧州委員会は19日、猛威を振るうサイバー攻撃への対応や予防のため、既存の組織を増強した専門機関であるサイバーセキュリティ庁の設置等、サイバーセキュリティを強化する各種の対策を発表した。
サイバーセキュリティ庁は、既存の機関の権限を強化・変更したもので、ランサムウェアによる身代金目当ての犯罪や、国家の関与が疑われる大規模な攻撃に対し、被害を最小限にするために、加盟国が協調して対応する態勢を整える。脅威に関する情報や知見の共有を図り、加盟国をまたがる大規模なサイバー攻撃を想定した、迅速な、統一された対応を行うための計画を策定し、定期的な訓練を実施する。
EUではさらに、サイバーセキュリティに関する各種の情報ネットワークを構築し、デジタル空間での動向を集中して監視していく。...
全部読む
サイバーセキュリティ庁は、既存の機関の権限を強化・変更したもので、ランサムウェアによる身代金目当ての犯罪や、国家の関与が疑われる大規模な攻撃に対し、被害を最小限にするために、加盟国が協調して対応する態勢を整える。脅威に関する情報や知見の共有を図り、加盟国をまたがる大規模なサイバー攻撃を想定した、迅速な、統一された対応を行うための計画を策定し、定期的な訓練を実施する。
EUではさらに、サイバーセキュリティに関する各種の情報ネットワークを構築し、デジタル空間での動向を集中して監視していく。また委員会指令を通じ、加盟国を狙ったサイバー攻撃の犯罪者を裁くための刑事法体系につき、罰則の定義や共通基準等を提案することによって、各国を支援する。
サイバー攻撃の脅威は現実のものとなり、増大している。欧州ではランサムウェアによる攻撃は2015年から300%増となり、毎日4,000件以上の攻撃がある。サイバー犯罪の経済的影響は2013年から17年の間に5倍に増加し、2019年までにさらに4倍にもなり得ると言われる。約8割の企業が少なくとも1回の攻撃の犠牲になったと報告している。
対策を発表したアンドルス・アンシプ欧州委員会副委員長兼デジタル単一市場担当委員は、「企業は二分されている。攻撃されたと思っている会社と、攻撃されたことに気がついていない会社だ。」と警告した。
デジタル単一市場の関連では、エネルギーや輸送ネットワークから自動車等の消費財に至るまで、IoT(モノのインターネット)に関する数多くの製品が安全であることを保証するための、EU全域での認証制度が検討されている。
委員会はまた、個人情報以外のデータについて、EU域内での自由な流通を認める計画があることを明らかにした。これにより、データの保管場所の重複がなくなってコスト削減につながり、小国の企業でもEU全体のデータにアクセスすることができる。これにより、EUのGDPを90億ユーロほど押し上げる効果が見込めるという。
閉じる