【Globali】
トランプ米大統領、ベネズエラへの制裁を強化する大統領令に署名(2017/08/26)
トランプ米大統領は25日、米国の金融機関に対し、ベネズエラ国債とベネズエラの国営石油会社PDVSAの債権や株式の取引を禁じる大統領令に署名した。ベネズエラに対する制裁を強化し、独裁色を強めるマドゥロ政権の資金源を断って圧力をかける狙いがある。多くの米メディアが報じた。
米国政府はこれまで、マドゥロ大統領や政府高官、軍の幹部ら約30人を対象に、米国内の資産を凍結し、米国との経済取引を禁じる制裁を科してきた。トランプ大統領は先月、マドゥロ大統領が自派の議員のみで構成される制憲会議を招集すれば、制裁を強化すると警告したが、マドゥロ政権がこれを強行し、野党が多数を占めていた国会を廃止して反対派を弾圧するなどの動きを見せたため、署名に踏み切ったものである。
ホワイトハウスで記者会見したムニューシン財務長官は、新たな制裁は「マドゥロ大統領に近い人物や政権の支持者を利することを防止し、現体制に破滅的な道を放棄させるために圧力をかけるためのもの」として、同国の政権交代を目指すのでなく、米国の債券や株式市場へのアクセスを制限することに重点を置いたことを説明し、制裁の対象はベネズエラ国民ではなく、マドゥロ大統領と政権関係者であることを強調している。...
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米国政府はこれまで、マドゥロ大統領や政府高官、軍の幹部ら約30人を対象に、米国内の資産を凍結し、米国との経済取引を禁じる制裁を科してきた。トランプ大統領は先月、マドゥロ大統領が自派の議員のみで構成される制憲会議を招集すれば、制裁を強化すると警告したが、マドゥロ政権がこれを強行し、野党が多数を占めていた国会を廃止して反対派を弾圧するなどの動きを見せたため、署名に踏み切ったものである。
ホワイトハウスで記者会見したムニューシン財務長官は、新たな制裁は「マドゥロ大統領に近い人物や政権の支持者を利することを防止し、現体制に破滅的な道を放棄させるために圧力をかけるためのもの」として、同国の政権交代を目指すのでなく、米国の債券や株式市場へのアクセスを制限することに重点を置いたことを説明し、制裁の対象はベネズエラ国民ではなく、マドゥロ大統領と政権関係者であることを強調している。
石油関連の輸出が外貨収入の9割超に上るベネズエラの経済規模は、2014年以降の原油価格の暴落により35%縮小しており、輸入禁止は国民に大きな損害を与える。こうした懸念や米国の石油業界によるロビー活動もあり、大統領令は、ベネズエラ経済にとっての命綱である石油の輸入禁止には踏み込まなかった。またベネズエラで不足している食料、医薬品や他の人道支援の物資の輸出に関する資金調達等も禁じなかった。
ベネズエラのアレアサ外相は25日、ニューヨークの国連本部で会見し、「過去200年間で最悪のベネズエラに対する不当な攻撃だ。国民を飢えさせたいのか。」と批判した。マドゥロ大統領は、野党他の反対勢力を米国の経済制裁の背後にいる反逆者と称し、両国間の関係を緊張させて資金調達を困難にしたとして法的に処罰することを宣言した。また、トランプ大統領は国際法や南米との関係を踏みにじり、ベネズエラの石油経済ばかりでなく、ベネズエラの債権を所有する米国の投資家に大きな損害を与えたと強く非難している。
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