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【Globali】
金魚に特殊な生存能力、エタノールを生成して厳冬を無酸素で生き延びる(2017/08/16)
金魚(フナの近縁)には、過酷な環境を生き抜くために独自の方法で体内にアルコールを生成する特殊能力が備わっている。なぜこのようのことが可能なのか。オスロ大学とリバプール大学の研究者がこの謎を明らかにした。科学雑誌 『Science Reports』にも掲載されている。
人類を含む多くの脊椎動物は、酸素がないと数分で死んでしまう。しかし、同じ脊椎動物でありながら、金魚が凍りついた池の底で酸素なしに数ヶ月も生き延びることができるのはなぜであろうか。
その答えは代謝システムの違いにあった。金魚には、約800年前に起こった遺伝子構造の変化により、2つの代謝回路が備わっている。1つは、他の脊椎動物と同様、細胞内のミトコンドリアで炭水化物をエネルギーに変換する方法。...
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人類を含む多くの脊椎動物は、酸素がないと数分で死んでしまう。しかし、同じ脊椎動物でありながら、金魚が凍りついた池の底で酸素なしに数ヶ月も生き延びることができるのはなぜであろうか。
その答えは代謝システムの違いにあった。金魚には、約800年前に起こった遺伝子構造の変化により、2つの代謝回路が備わっている。1つは、他の脊椎動物と同様、細胞内のミトコンドリアで炭水化物をエネルギーに変換する方法。酸素がない場合は、エネルギーの代わりに乳酸が生成されてしまう。蓄積すると生物は死に至る。
もう1つは、金魚にのみ備わったもので、酸素がないために発生してしまった乳酸をエタノールに変換する方法。金魚は環境に応じてこれらの代謝回路を切り替えている。このときの血中アルコール濃度は、100ml中50mg以上(ヨーロッパ諸国で採用されている飲酒運転取締基準を超える数値)になっているが、エタノールはその後、えらを介して周囲の水中に排出されてしまう。金魚はこうして酸素がなくても生き延びている。
オスロ大学キャサリン・エリザベス博士は、「このような能力が備わっていたからこそ、金魚は、他の魚の捕食とならずに、生存競争を避けながら過酷な環境を生き延びることができたのです。金魚は、人間のペットの中では最も打たれ強いのです」と語っている。
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