米英仏3カ国は、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、エジプト、バーレーンの4カ国に対し、カタールとの断交に関して実施されている陸上封鎖や通商禁止の措置を解除することを、それぞれが要求している。アラブ4カ国は6月5日に、カタールが過激派組織に資金供給をしているなどと同国を非難して断交を宣言し、制裁措置を発動した。そして6月22日に関係正常化の条件として、13項目の厳しい要求を仲介役のクウェートを通じて提示していたが、その後の進展は特になかった。各国メディアが報じた。
米国のティラーソン国務長官は今月21日、テロリストへの資金提供に関する覚書について、13日にカタールとともに署名したことについて言及し、米国はカタールのテロ資金対策をめぐる合意を実行する努力に満足しており、4カ国に対し、「誠意を示すために、カタール国民に悪影響をもたらしている陸上封鎖の解除を検討する」よう促した。国務省でオマーンのアラウィ外務担当相との会談前に記者団に語った。フランスのルドリアン外相は、これに先立ち17日に、カタール国民に被害をもたらしている制裁をやめるよう、アラブ諸国に呼び掛けている。
英国のジョンソン外相は23日、「私はカタールの首長が、テロ組織への資金供給を断つことも含め、テロリズムと戦うことにコミットしたことを歓迎する。」と声明を出し、「今度はサウジ、UAE、エジプト、バーレーンが、通商禁止の解除の方向へと措置を取ることにより、応えてもらいたい。これによって、残された意見の相違に関する実質的な議論を始めることができる。」と4カ国に解決に向けて行動するよう要求した。
カタールのタミーム・ビン・ハマド・アール=サーニー首長は、4カ国はカタールが国際法違反をしたとして、同国を孤立させようとしていると非難したが、もし主権が尊重されるのであれば、カタールは紛争を解決するための対話に応じる用意があると語っている。
一方、4カ国はカタールのテロ対策は不十分との立場を変えておらず、今のところ、問題解決に向けた動きは見られない。UAEのガルガーシュ外務担当国務大臣は、カタールは関係正常化の協議の前に、これまで対話を遠ざけてきた同国の方針を変更しなければならないと主張し、カタールがその態度を改めない限り、4カ国が交渉のテーブルにつくことは難しいという見解を示した。
ただ、断交措置の継続は、サウジ他のアラブ諸国が考えているより難しいことなのかも知れない。地元メディアによれば、UAEの政府系の通信会社2社は、カタールのビーイン(beIN)・スポーツチャンネルを復活させると発表した。ビーインは、4カ国が紛争を解決するための13条件の1つである、彼らが閉鎖を求めるカタールのアルジャジーラ・ネットワークの系列会社である。1カ月以上放送が中断していたことにより、サッカーファンは主要な大会を視聴できなかった。
トルコのエルドアン大統領も仲裁の努力をしている。23日にはサウジアラビアを訪問し、ジェッダでサルマン国王と会談した後、仲裁国であるクウェートに向かった。24日にはカタールでタミーム首長とも会談する予定である。トルコはカタールの重要な同盟国であり、今回の危機の始まりから、食料の確保を援助したり、同国にある新しいトルコの基地に軍隊を派遣する計画を前倒ししたりするなど、支援のために動いてきた。軍事上の協力は4カ国から公然と非難され、トルコは基地を閉鎖するよう要求されている。
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