G20首脳会議が7日からドイツのハンブルクで行われる。首脳たちが会談を行う間、同行している配偶者らのために、市内の視察ツァー等のプログラムが組まれているが、7日の行程に興味深い訪問地がある。一行は、メルケル独首相の夫の勧めにより、気候変動に関する研究センターを訪れるというのだ。ニューズウィークなどのメディアが報じている。
トランプ米大統領に同行し、メラニア夫人はハンブルクを訪問中であるが、彼女のスケジュールの一部に、少し雰囲気が気まずくなりそうなところがある。他のG20首脳の同行者らとともに、7日に市内の視察ツァーに参加するが、その目的地の1つとして、ドイツ気候計算センター(German Climate Computing Center)という研究所を訪問する予定が組まれている。トランプ大統領の娘、イヴァンカ補佐官も同行する。
ドイツ高官の説明によると、その訪問はメルケル首相の夫である、量子化学者のヨアヒム・ザウアー(Joachim Sauer)氏のアイデアであるという。同センターは、メルケル首相、トランプ大統領他の首脳が会談を行う会場の近くにあり、スーパーコンピュータを使って、気候変動とその世界各地への影響のシナリオについてシミュレーション等を行っている。1987年から稼働しており、60人以上のスタッフがいる。
首脳会議の議題には、地球温暖化対策に関する国際的な枠組みである2015年の「パリ協定」に関するG20 の役割等も挙げられており、各国首脳とトランプ米大統領との立場の違いが浮き彫りになることが予想される中、メラニア夫人とイヴァンカ氏は、近くの同センターで説明を受けることになる。同センターのウェブサイトは、私たちと地球の将来に気候はどのような影響をもたらすのかが、最も切実な問題だ、と説明している。
ザウワー氏はその訪問の目的に関して公式にコメントしていないが、メルケル首相は気候変動問題に対するその立場を明確にしている。トランプ大統領が米国にとって「非常に不公平」として、6月1日に「パリ協定」からの離脱を表明した後、メルケル首相は世界の他の国々の動きは阻止されないと述べた。「我々はこの現存する課題に立ち向かいたい、そして地球上の人間の最後の1人が気候変動の科学的な証拠に納得するまで待つことはできないし、そんなことはしない。」と6月29日に演説し、米国の動きに懸念を表明した。
メラニア夫人とメルケル氏の夫、ザウアー氏には共通点がある。公衆の目を嫌うことだ。ファーストレディーとなったメラニア夫人は、これまでのどの大統領夫人よりプライバシーを大事にすると言われている。彼女はこの6月までホワイトハウスに住んでもいなかったので、イヴァンカ氏がファーストレディーの代役を務めるなど、大統領の子供としては極めて目立った、異例の役割を果たしていた。
但しメラニア夫人はスピーチも行う。6日にポーランドのワルシャワを訪問した際にも行った。従って、注目されたくないという姿勢においては、ザウワー氏が上手であるように見える。同氏は昨年日本でのG7(伊勢志摩サミット)の際に初めて、メルケル首相に同行して海外の首脳会議にやって来た。妻の首相就任式の際には、出席せず、式典を研究室のテレビで見ていたほどだ。
市内視察ツァーではこれ以外に、ハンブルク港、コンサートホール、19世紀に建てられた市庁舎等を訪問するという。
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