24日夜、インドネシアの首都ジャカルタにおいて、バスターミナル付近で2人の男による連続自爆テロが起き、少なくとも警察官3人が死亡し、警察官5人と一般市民5名が負傷した。
事件があったのは、ジャカルタ東部のカンプンムラユ(Kampung Melayu)のバス停付近の駐車場で、午後9:00頃だった。現場では当時、イスラム教のラマダン(断食月)が数日後に始まるのを祝おうと地元の団体のパレードが行われており、警察が行進する人々の警備に当たっていた。IS(イスラム国)の影響を受けた容疑者が、警官を自爆攻撃の標的とした可能性がある。
約2,570万人の人口を抱えるインドネシアであるが、その9割がイスラム教徒であり、世界で最も同教徒が多く住む国である。...
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事件があったのは、ジャカルタ東部のカンプンムラユ(Kampung Melayu)のバス停付近の駐車場で、午後9:00頃だった。現場では当時、イスラム教のラマダン(断食月)が数日後に始まるのを祝おうと地元の団体のパレードが行われており、警察が行進する人々の警備に当たっていた。IS(イスラム国)の影響を受けた容疑者が、警官を自爆攻撃の標的とした可能性がある。
約2,570万人の人口を抱えるインドネシアであるが、その9割がイスラム教徒であり、世界で最も同教徒が多く住む国である。但し、政治や司法に宗教を持ち込まない穏健派の信仰者が多く、ISは政府関係者、特に過激派を取り締まる警察を敵視しており、この1年半ほどの間、ISの影響を受けた武装集団による襲撃事件などが相次いで起きていた。約400人のインドネシア人がシリアでISの兵士として戦っており、その帰還兵がインドネシアで国内テロを企てることも当局は恐れている。警察は警戒を強めていたが今回のテロを防げず、治安の維持が課題として残った。
ジャカルタでは2016年の1月にもショッピングセンターで爆弾テロが起きており、容疑者を含め8人が死亡した。今回のテロはそれ以来の大規模なものだったが、今回の手口は、昨年来連続で起きている比較的小規模の事件と同様、警官や公安組織を主に狙ったものだった。
2002年にアルカイダにより、バリ島で204人が殺された爆発事件の後、インドネシアの国家警察は主に対テロを任務とする特殊部隊を立ち上げている。今回の事件後まもなく、この対テロ部隊がジャカルタ近郊のバンテンとウェスト・ジャワにある容疑者のものと思われる2件の家に踏み込んだとされているが、その結果は明らかにされていない。
国家警察の報道官は、25日、今回の事件で使用された爆弾が、2月にISの影響を受けた者がバンドンで起こした事件のものと似ているとして、ISが関与した可能性が高いとの見方を示した。爆弾はバンドンの事件と同じく金属製の圧力鍋を加工したもので、今回容疑者1人から鍋のレシートが押収されたと言う。
日本の外務省は、本事件を受けてインドネシア在住者や同国への渡航者に対し、注意喚起情報をホームページで発表した。また、インドネシアを含めてイスラム教徒が多い国では、27-28日から約1か月間ラマダンに入り、最近はこの間に世界各地でテロが頻発していることから、人が多く集まる場所を訪れる際には周囲に注意を払い、滞在時間を短くするなどの対策を取るよう、呼びかけている。
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