予算教書の骨子は、今後10年間で、低所得者向け医療等給付を削減して歳出を1.7兆USドル(日本円で189兆8900億円)減らし、減税や規制緩和等により経済成長率3%を達成し、歳入を2兆USドル(日本円で223兆4000億円)増やすものである。
通常、予算教書は大統領自ら発表するものであるが、今回、トランプ大統領は、中東・欧州に外遊中ということもあり、米行政管理予算局が行い、大統領の熱意が伝わらないものとなった。...
全部読む
予算教書の骨子は、今後10年間で、低所得者向け医療等給付を削減して歳出を1.7兆USドル(日本円で189兆8900億円)減らし、減税や規制緩和等により経済成長率3%を達成し、歳入を2兆USドル(日本円で223兆4000億円)増やすものである。
通常、予算教書は大統領自ら発表するものであるが、今回、トランプ大統領は、中東・欧州に外遊中ということもあり、米行政管理予算局が行い、大統領の熱意が伝わらないものとなった。
まず、歳出面であるが、歳出のうち27%を占める年金等と、18%を占める高齢者向け医療保険には手をつけず、30%を占める低所得者向け医療保障・食料援助を大幅に削減し、14%を占める国防費を大幅に増やし(540億USドル増額)、11%を占める利払い費は据え置いた。
また、歳入については、米議会予算局の試算による米潜在成長率1.8%を大きく上回る3%成長を2021年までに達成することを前提にしている。ただし、具体案は示されていない。
さらに、非常時のための戦略石油備蓄の半分を売却し、10年後の2027年に財政の黒字化達成を目指している。
トランプ大統領の選挙公約に基づき、国防費の増額分540億USドル(日本円で6兆320億円)、メキシコ国境の建設費16億USドル(日本円で1790億円)等は、予算証書に盛り込まれているものの、実現可能性は極めて低いものと考えられる。
共和党のマコネル上院院内総務は、「われわれの優先課題を反映しているとは必ずしも言えない。共和党が多数を占める議会では、この予算案を大方無視するだろう」と述べており、野党民主党はもちろんのこと、一部の共和党議員もおそらく承認しないものと考えられる。
したがって、今後、トランプ政権と議会が対立し、予算が成立しないまま、政府機関の一部が閉鎖される事態に陥る可能性が高いものと考えられる。
閉じる