朝鮮半島の緊張が、これまでにない程に高まっている。5月3日、中国の政府当局者が、日韓両国と共に米国と北朝鮮に対し、お互いの苛立ちを止めるべきと語ったが、これに対し、北朝鮮の国営メディア朝鮮中央通信が批判を浴びせ返した。
これまで北朝鮮が中国を批判することは滅多になかったが、今回は直接名指しで批判している。中国が北朝鮮から石炭の輸入を止め、核やミサイル開発の中止を求めて圧力を強めていること、さらに新たな核実験等を行えば石油の禁輸措置も辞さないと警告していること等、最近の動きに強く反発したものとみられる。
朝鮮中央通信は、「中国はこれ以上北朝鮮の忍耐の限界を試さない方が良い。また北朝鮮と中国の関係の柱を切り刻むような、無謀な行為によってもたらされる深刻な結果について熟考すべきだ。...
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これまで北朝鮮が中国を批判することは滅多になかったが、今回は直接名指しで批判している。中国が北朝鮮から石炭の輸入を止め、核やミサイル開発の中止を求めて圧力を強めていること、さらに新たな核実験等を行えば石油の禁輸措置も辞さないと警告していること等、最近の動きに強く反発したものとみられる。
朝鮮中央通信は、「中国はこれ以上北朝鮮の忍耐の限界を試さない方が良い。また北朝鮮と中国の関係の柱を切り刻むような、無謀な行為によってもたらされる深刻な結果について熟考すべきだ。中国からは毎日、現在の状況を悪化させるだけの、ばかげた無謀な発言が聞かれるだけだ。」などとして、中国の政治家や人民日報などのメディア関係者を「無知」と攻撃した。
さらに 「朝鮮民主主義人民共和国は、中国との友好関係の維持を懇願することは決してないだろう。」と自国の正式名をわざわざ挙げて述べた。これに対しては、中国のメディアが口げんかにはつき合わないなどと、すぐに反論している。
ティラーソン米国務長官は3日、朝鮮半島における敵意の醸成を和らげるため、米国は中国の力に頼っていると繰り返した。長官は国務省で、トランプ大統領の「米国第一主義」政策のビジョンを掲げながら、米国は「中国がその影響力を行使する意欲を試している。」とも述べている。
しかしながら中国に対する北朝鮮の敵対的な対応により、トランプ政権の中国に大きく依存する戦略にも限界が見える。中国では新たな朝鮮戦争が起こることを恐れ、人民解放軍が二番目に高いレベルの警戒態勢を敷いており、人々は直接的な軍事的脅威が目前に差し迫っていると感じている。
人民解放軍は、米朝の軍事衝突が発生した際、北朝鮮の難民が中国に流入してくることに備え、朝鮮国境付近の兵士に朝鮮語を教えていると言われている。教師として中国に住んでいる北朝鮮人が、朝鮮語で「止まれ」や「動かないと撃つぞ」などの言葉を教えているとも報じられている。
米国の陸海空軍の特殊部隊は、戦争に備え、恒久的かつ交代で朝鮮半島に常駐している。レイモンド・トーマス陸軍大将は、2日に下院の委員会で証言し、「大量破壊兵器に対抗するすぐれた能力を含め、特殊部隊が重要な役割を果たす可能性のある、あらゆる偶発事態に備えた訓練を続けている。」と語った。トーマス陸軍大将は北朝鮮を、米国に対する5つの国家安全保障上の脅威の1つに分類した。他の4つはテロ、ロシア、イラン、中国である。
北朝鮮が6回目の核実験を強行することが懸念される中で、同国は3人目の米国市民を拘束し、取り調べている事実を認めた。今回拘束されたキム・サンドク氏は、北朝鮮を転覆することを目的とした敵意の犯罪行為を実行したとされている。北朝鮮の空港で4月22日に出国しようとしたところを拘束されたドク氏は、平壌科学技術大学の経理指導者として働いていた。
ホテルから政治的ポスターを盗んだとして、昨年3月、バージニア大学生のオットー・ワームビア氏が15年間の労働刑を命じられた。またその翌月、韓国系米国人のビジネスマン、キム・ドンチョル氏が、スパイ行為と機密情報を盗んだ疑いで10年間の労働刑を言い渡されている。
トランプ大統領は5月1日に、「条件が整えば」金正恩委員長と喜んで会うとして、朝鮮半島の敵対的な状況を若干緩和したと言われているが、北朝鮮は新たな核実験を実施しようとして、限界に挑んでいるとも警告している。
大統領の攻撃的な発言が、米国人に対し、「北朝鮮への先制攻撃等、金正恩とその核・ミサイル開発について何らかの手を打たなければならない」と思わせるような影響を与えている、と言う研究機関の調査がある。その調査では、北朝鮮の核脅威への対処や、先制攻撃を支持する人は52%、反対する人は36%だった。
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