英国でこの程、最後の石炭火力発電所が閉鎖された。1882年に世界初の石炭火力発電所が同国で稼働開始していたが、クリーンエネルギー転換政策強化の一環の措置で、これに伴い同国の再生可能エネルギー発電比率が50%超となる。なお、日本では依然171基の石炭火力発電所が稼働していて、2023年のエネルギー源比率は化石燃料発電(石炭含む)66%、再生可能エネルギー26%、原子力8%である。
10月6日付
『ジ・インディペンデント』紙は、英国で世界初の石炭火力発電所が稼働開始して以来、142年続いた歴史に幕が下りたと報じている。
英国は1882年初め、世界初の石炭火力発電所(注後記)を稼働開始して以来、発電の歴史を築いてきた。
しかし、世界のクリーンエネルギーへの転換政策を牽引する意向の下、同国最後のラトクリフ・オン・ソア石炭火力発電所(中部のノッティンガム在、1968年稼働開始)が9月30日に閉鎖された。...
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10月6日付
『ジ・インディペンデント』紙は、英国で世界初の石炭火力発電所が稼働開始して以来、142年続いた歴史に幕が下りたと報じている。
英国は1882年初め、世界初の石炭火力発電所(注後記)を稼働開始して以来、発電の歴史を築いてきた。
しかし、世界のクリーンエネルギーへの転換政策を牽引する意向の下、同国最後のラトクリフ・オン・ソア石炭火力発電所(中部のノッティンガム在、1968年稼働開始)が9月30日に閉鎖された。
この結果、英国における水力・風力・太陽光等の再生可能エネルギー源比率が、昨年の44%から50%超に増加することになる。
2010年実績が僅か7%であったから、大幅増となる。
国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)議長国アゼルバイジャンのムフタ―ル・ババエフ環境天然資源相は、“世界で最も速いエネルギー転換の一つであり、強い決意の下での感動的な例だ”と称賛した。
エネルギーシンクタンクの「エンバー」(2008年設立、英国本拠)によると、現在69ヵ国(ブラジル・スウェーデン・デンマーク・カナダ・チリ等)が電力源の50%以上を再生可能エネルギーに依拠しており、そのうちほぼ100%となっているのが7ヵ国(アルバニア・ブータン・ネパール・パラグアイ・アイスランド・エチオピア・コンゴ)であるという。
一方、「国際エネルギー機関」(IEA、1974年設立、西側29ヵ国加盟、本拠フランス)によ
ると、未だ世界で稼働している石炭火力発電所(約8,500、うち半分以上が中国)は、温室効果ガス総排出量の3分の1を占めているとする。
(注)世界初の石炭火力発電所:ロンドン中心部に1882年初めに建設されたホルボーン高架橋公共蒸気駆動石炭火力発電所。米発明家のトーマス・エジソン(1847~1931年)主導によるものなので、エジソン電灯発電所とも呼ばれた。ただ、ガス灯よりコストが割高だったこと等から1886年に閉鎖。
(参考)日本のエネルギー源比率:資源エネルギー庁資料によると、2019年・2023年・2030年のエネルギー源比率の変遷は、化石燃料75%・66%・41%、再生可能エネルギー19%・26%・36~38%、原子力6%・8%・20~22%。
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