アイルランドのファーストフード店が訴えていた「ビッグマック」名称使用に関し、欧州裁判所が世界大手のマクドナルド(1940年創業)に対して、欧州においてはチキンバーガーに使用することを制限する決定を下した。
6月5日付欧米
『ロイター通信』、アイルランド
『RTE』(同国公共放送局)は、欧州裁判所がアイルランドのファーストフード店の訴えの一部を認め、世界大手のマクドナルドに対して、欧州においてチキンバーガーサンドイッチ等に「ビッグマック」との商品名を付けることを制限する決定を下したと詳報している。
世界大手のファーストフードチェーンのマクドナルドは、欧州に展開するに当たって1996年に、「ビッグマック」という商標登録をしていた。...
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6月5日付欧米
『ロイター通信』、アイルランド
『RTE』(同国公共放送局)は、欧州裁判所がアイルランドのファーストフード店の訴えの一部を認め、世界大手のマクドナルドに対して、欧州においてチキンバーガーサンドイッチ等に「ビッグマック」との商品名を付けることを制限する決定を下したと詳報している。
世界大手のファーストフードチェーンのマクドナルドは、欧州に展開するに当たって1996年に、「ビッグマック」という商標登録をしていた。
このため、欧州のファーストフード店は、自社商品のハンバーガー等に「ビッグマック」という商品名を付けることを制限されていた。
そこで、アイルランドのファーストフード店のスーパーマックス(1978年創業)は2017年、欧州連合知的財産庁(EUIPO、1999年設立)に対して、マクドナルドが直近5年間に当該商標を使用していないとして、同商標を取り消すよう求めた。
EUIPOは2019年、スーパーマックスの訴えを一部認め、「ビッグマック」の商標登録を取り消したことから、スーパーマックスは自社バーガーに「ビッグマック」の名前を使用できるようになったものの、同時にマクドナルドがビーフバーガーのみならずチキンバーガー等に今後も「ビッグマック」名を使用することも認めていた。
しかしながら、スーパーマックスの創業者兼オーナーのパット・マクドナー氏(71歳)は、“2019年の決裁以降も、マクドナルドは我々が欧州地域で「ビッグマック」を使用して店舗展開することを阻止しようとしてきた”と非難していた。
そこで同氏は改めて欧州司法裁判所(ECJ、1958年前身設立)に訴えていたところ、ECJが6月5日、同氏の訴えを一部認め、マクドナルドがチキンバーガー等に「ビッグマック」名を冠することを制限する旨決定した。
同氏はこの決定を受けて、『RTE』のインタビューに答えて、“アイルランドの中小企業が世界大手の多国籍企業に挑んだ結果、漸く勝利することができた”とし、“世界大手と言えども、一旦商標登録した上で、(それを使用することなく)他社の商品販売に間接的にも制限を加えることは許されないことが明らかになった”と歓迎した。
なお、マクドナルドはこの裁定に対して、“ECJの決定は、「ビッグマック」という商標を使用する当社の権利に何ら影響を与えない”とした上で、“当社の「ビッグマック」という商品名は、欧州地域においても何十年も親しまれてきている”とコメントしている。
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