日本企業は2022年、新型コロナ禍に伴うサプライチェーン混乱問題に遭って、中国から米国・メキシコへのシフトを図った。そしてこの程、中国の景気後退に加えての経済安全保障リスクの増大に対して、対中国強硬政策を継続している一方で活況を呈している米国へのシフトが加速していると欧米メディアが報じている。
4月18日付
『ロイター通信』は、日本大手メーカーが中国から米国へのシフトを加速していると報じた。
中国は日本にとって、貿易産品の取引のみならず原材料・部品調達先として重要な相手である。
しかし、最近の兆候をみると、他の主要7ヵ国(G-7)と同様“中国リスクの軽減(他へのシフト)”を図ってきている。
先週訪米していた岸田文雄首相(66歳、2021年就任)が、日米首脳会談後にわざわざノースカロライナ州で建設中のトヨタ(1937年設立)電気自動車(EV)バッテリー工場現場を視察して、現地への投資を鼓舞していることからも、サプライチェーンの中国依存度を下げようとしている姿が覗える。...
全部読む
4月18日付
『ロイター通信』は、日本大手メーカーが中国から米国へのシフトを加速していると報じた。
中国は日本にとって、貿易産品の取引のみならず原材料・部品調達先として重要な相手である。
しかし、最近の兆候をみると、他の主要7ヵ国(G-7)と同様“中国リスクの軽減(他へのシフト)”を図ってきている。
先週訪米していた岸田文雄首相(66歳、2021年就任)が、日米首脳会談後にわざわざノースカロライナ州で建設中のトヨタ(1937年設立)電気自動車(EV)バッテリー工場現場を視察して、現地への投資を鼓舞していることからも、サプライチェーンの中国依存度を下げようとしている姿が覗える。
トヨタは昨年、当該工場新設に80億ドル(約1兆2,320億円)を投じると発表していて、これを含めた同社の対米投資額は139億ドル(約2兆1,410億円)に上る。
そしてこの程、更に米国シフトを加速したのは、産業用ロボットメーカー安川電機(1915年設立)、清涼飲料水メーカーのアサヒ飲料(1982年前身設立)、半導体メーカーのルネサスエレクトロニクス(2002年設立)、自動車メーカーのホンダ(1948年設立)である。
これらのメーカーは今年に入ってから、米国向け投資増の意向や具体的計画を発表している。
特に、トヨタと同様ホンダも今月、国内EVメーカーの牙城となっている中国市場から米国へのシフトを決め、オハイオ州の自社EV工場に少なくとも7億ドル(約1,080億円)を追加投資して増産を図ると表明した。
なお、日本メーカーの中国から米国へのシフト加速は、昨今の中国景気後退も然ることながら、米国による対中国強硬政策が継続することが挙げられる。
今年1月の統計データによると、中国に拠点を置く日本企業のほとんど半数が、昨年1年間で全く追加投資していないか、もしくは投資額を減少させている結果となっているという。
更に、日本企業が恐れているのが中国共産党政府による経済安全保障リスクの増大で、具体的には同政府が昨年、中国通とされているアステラス製薬(2005年山之内製薬・藤沢薬品工業の合併で設立)の中国現地法人の日本人幹部をスパイ容疑で拘束したことが大きな懸念を惹起している。
閉じる