ノルウェーは、1905年に死刑制度を廃止する以前から死刑執行自体ほとんど行われてこず、また、受刑者にも娯楽や教育機会等ある程度の自由を与える程人権擁護に長けた国である。しかし、さすがに77人もの大量殺戮を行った受刑者からの、12年間の独居房生活(但し、3部屋があり、TV・キッチン等も完備していて、ペット飼育も自由)は人権違反との訴えは却下されている。
2月16日付
『ロイター通信』は、世界有数の人権擁護に長けたノルウェーにおいて、大量殺人犯から出された独居房生活は人権違反との訴えが却下されたと報じている。
2011年7月、世界中を震撼させた、77人もの犠牲者(ほとんどが十代の若者)を出した爆弾テロ・銃乱射事件がノルウェーで発生した。
実行犯は、極右思想を持つアンネシュ・ベーリング・ブレイビク(犯行当時32歳)で、2012年1月の裁判で、同国で最も重い21年の禁固刑が下されて服役している。...
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2月16日付
『ロイター通信』は、世界有数の人権擁護に長けたノルウェーにおいて、大量殺人犯から出された独居房生活は人権違反との訴えが却下されたと報じている。
2011年7月、世界中を震撼させた、77人もの犠牲者(ほとんどが十代の若者)を出した爆弾テロ・銃乱射事件がノルウェーで発生した。
実行犯は、極右思想を持つアンネシュ・ベーリング・ブレイビク(犯行当時32歳)で、2012年1月の裁判で、同国で最も重い21年の禁固刑が下されて服役している。
その同受刑者が今年1月、投獄以来12年間も独居房生活を強いられているのは人権擁護違反だとして国側を訴えた。
同受刑者は審理において、事件を起こしたことは後悔しているが、長期間の隔離生活は悪夢で毎日自殺を考えていると陳述した。
同国は、受刑者の更生・社会復帰による再犯防止が重要だとして、世界でも珍しく受刑者の自由が認められている。
しかし、オスロ地裁は2月15日、“量刑条件が不合理に負担が大きいとは言えない”とした上で、“従って、何ら人権問題はない”として、同受刑者の訴えを却下した。
国側代理人のアンドレアス・イェトランド弁護士(50代)は、“重罪を犯した受刑者に対して、刑務所側も堅実かつ法的に正しい対応を取っていることは明白だ”との声明を出している。
一方、同受刑者代理人のオイステイン・ストービック弁護士(65歳)は『ロイター通信』のインタビューに答えて、“依頼人(同受刑者)は今回の判決に落胆している”として、あくまで控訴して戦うとコメントした。
なお、同国の刑法では、21年の禁固刑が最長であるが、受刑者が社会復帰することで脅威になると判断されれば、更に延長することが認められている。
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