2月11日付
『BERNAMA』(1968年設立のマレーシア国営通信社)は、マレーシアの経済成長に加えて、日本の水産物輸出攻勢により、今年は更に同食品の輸入が増加する見込みだと報じている。
マレーシアは、1981年に当時の首相マハティール・ビン・モハマド氏(現98歳、1981~2003年在任、2018~2020年も在任)が、日本の近代化を手本とする“ルックイースト(東方政策)”を掲げたとおり、長い間日本との関係は良好である。...
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2月11日付
『BERNAMA』(1968年設立のマレーシア国営通信社)は、マレーシアの経済成長に加えて、日本の水産物輸出攻勢により、今年は更に同食品の輸入が増加する見込みだと報じている。
マレーシアは、1981年に当時の首相マハティール・ビン・モハマド氏(現98歳、1981~2003年在任、2018~2020年も在任)が、日本の近代化を手本とする“ルックイースト(東方政策)”を掲げたとおり、長い間日本との関係は良好である。
2011年に福島原発事故が発生し、多くの国々が日本産食品の禁輸政策を講じる中、放射性物質の事前検査等一部輸入規制を行ったものの、安全性が確認されるや否や、早い段階で通常輸入政策に転じている。
かかる背景もあって、昨年8月に日本政府が同原発で発生した処理水の海洋放出を決定した後も、全面禁輸に走った中国と違って、輸入継続政策を決定している。
そうした中、『BERNAMA』が日本貿易振興機構(JETRO、1951年前身設立)の高野光一クアラルンプール事務所長(54歳)にインタビューを行ったところ、以下のように発言している。
・日本政府は、国際基準に則り、科学的根拠に基づき、日本産水産物の安全性について丁寧に説明し、万全の安全対策を講じている。
・昨年8月下旬に福島原発の処理水の海洋放出を開始したが、国際原子力機関(IAEA、1957年設立)の報告によると、原発を運営する東京電力が計画しているALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出は、環境や人への放射線影響は無視できる程度と評価されている。
・JETROは、マレーシアの流通業者、レストラン、小売業者が、水産物や加工食品を含む日本製品の輸入を増やすのを支援している。
・日本の最新の公式政府貿易統計によると、日本は2023年に魚、魚卵、甲殻類、缶詰などの水産物を43億6,900万円(約1億3,900万リンギット)マレーシアに輸出しており、2022年比+16%増加している。
・マレーシアの経済成長への期待から、2024年は更に日本産水産物の貿易高が増大すると予想している。
なお、同所長のコメントを裏付けるように、生鮮・冷凍水産物取引業者のSendo Ichi(鮮度一)マレーシアのアルドレッド・ヨー部長は、“(2011年の福島原発事故以降の時間の経過とともに)日本の水産物の安全性に全く問題ないことが周知され、マレーシアのレストラン等での日本産への需要が大きく伸びてきている”と表明した。
また同部長は、“日本は世界有数のホタテ貝柱の輸出国であるばかりか、カニやカキ、ウニなど、水生生物や資源が豊富な北海道で獲れる水産物でも有名であることが、マレーシアの消費者にも広く知れ渡っている”とも強調した。
更に、“日本の大手外食店経営者2社が、東南アジア市場に可能性を見出し、その中でもマレーシアは世界有数の観光地であるため、マレーシアへの今年中の出店について真剣に検討している”とも言及している。
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