トルコは、昨年2月にウクライナ戦争が勃発して以降、頻りにロシアとウクライナ・西側諸国間の仲介役を買って出ている。しかし、裏では欧米諸国の対ロシア制裁を出し抜いて、ロシアが一方的に併合宣言したウクライナ東部で産出される発電用燃料炭をせっせと輸入していたことが判明した。
9月19日付欧米
『ロイター通信』、トルコ
『Gercek News』等は、トルコが、表ではウクライナ戦争での仲介役を演じる一方、裏ではロシアを財政的に助ける形でウクライナ東部産発電用燃料炭をせっせと輸入していたことが判明したと報じている。
『ロイター通信』が入手した、ロシア通関データを解析したところ、トルコが今年2~7月の半年間で、ロシアが一方的に併合宣言したウクライナ東部で産出される発電用燃料炭を密かに輸入していたことが判明した。
同データによると、ドネツク・ルガンスク両州で生産された燃料炭で、数量は約16万トンで、金額は1,430万ドル(約21億円)に上る。
更に、当該数量は昨年同期比+25%も増えていて、ロシアが昨年9月、両州をロシアに併合すると一方的に宣言して以降、取引が活発化していることが分かった。
米国は昨年2月下旬、対ロシア制裁の一環で、上記両州との輸出入を禁止する措置を取り、欧州連合(EU、1958年前身設立)も3日後に同様の措置を発表しているが、トルコはEU加盟国でありながら、当該制裁には加わらないと宣言していた。
ロシア非政府系メディアの『インテルファクス通信』(1989年設立)データによると、両州の少なくとも10社が石炭生産・輸出企業としてロシア及びドネツク・ルガンスク両州で登録されている。
また、同データによると、当該燃料炭の販売先はベリーズ(中央アメリカ北東部)、英国領バージン諸島、香港、アラブ首長国連邦(UAE)等低税率国で登記されている企業となっているが、トルコの名前は出てきていない。
一方、昨年11月、ドネツク人民共和国(2014年に親ロシア派反政府勢力が独立を宣言した国)のビタリィ・コツェンコ元首相(2022~2023年在任)が、産出石炭をトルコ向けに輸出しているが、それは中東やアフリカへの中継ルートだからだと主張していたが、最終目的国まで輸出されたと証明する輸出入記録は依然見つかっていない。
トルコはこれまで、ウクライナ戦争の仲介役を買って出ていて、直近でもウクライナ産小麦の黒海経由の輸出を促進すべく動いていたが、裏ではEU対ロシア制裁の網を掻い潜り、自国の発電用燃料確保のためにウクライナ東部の石炭をせっせと輸入しており、その数量は2023年2~7月の間に両州から輸出された数量の95%にも上っていることが分かっている。
なお、米国務省報道官は『ロイター通信』の取材に対して、“同地域の石炭取引について承知しているが、『ロイター通信』が報道しているようなトルコ向け輸出等の詳細についてコメントするつもりはない”とした上で、“但し、ウクライナ国民の資産である石炭等を勝手に売りさばいてロシアの収入とする行為は絶対許さない”とコメントした。
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