ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)は5月下旬、岸田文雄首相(65歳、2021年就任)が主催する主要7ヵ国(G-7)サミットに出席する予定である。そしてこの程、その帰路に南太平洋地域を訪れ、同大統領主催で同地域島嶼国首脳との国際会議を主催し、同地域で影響力拡大を目論む中国を厳しく牽制する意向である。
5月9日付
『ザ・ヒル』、5月11日付
『ロイター通信』は、ジョー・バイデン大統領が5月下旬、南太平洋島嶼国首脳との国際会議を主催し、同地域での影響力拡大を目論む中国を牽制する意向だと報じている。
ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官(45歳、2022年就任)は5月9日、5月下旬に南太平洋のパプアニューギニア(PN、1975年豪州より独立)を訪問し、現地において太平洋諸国フォーラム(PIF、1971年設立、注1後記)18ヵ国の首脳との国際会議を主催すると発表した。...
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5月9日付
『ザ・ヒル』、5月11日付
『ロイター通信』は、ジョー・バイデン大統領が5月下旬、南太平洋島嶼国首脳との国際会議を主催し、同地域での影響力拡大を目論む中国を牽制する意向だと報じている。
ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官(45歳、2022年就任)は5月9日、5月下旬に南太平洋のパプアニューギニア(PN、1975年豪州より独立)を訪問し、現地において太平洋諸国フォーラム(PIF、1971年設立、注1後記)18ヵ国の首脳との国際会議を主催すると発表した。
現職大統領として初めての南太平洋訪問となるが、同報道官は、“南太平洋地域は米国にとって長い関与の歴史がある”とした上で、“この首脳会議を通じて、同地域のみならず米国にとっても深刻な気候変動問題、海洋資源保護、経済復興に関わる協力体制構築につき協議される”と言及している。
同地域では、中国の影響力拡大戦略が目覚ましく、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)は2018年にPNで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC、1989年設立)に自ら出席し、以降の同地域への関与拡大を主導している。
なお、バイデン大統領主催の島嶼国との国際会議は5月22日に開催される予定だが、同大統領はその直前に、広島で5月19~21日に開催されるG-7サミットに出席するとされている。
また、当該国際会議後にはシドニーに飛び、豪州の初主催で5月24日に開催される四ヵ国戦略対話(クワッド会議、注2後記)に出席する日程となっている。
(注1)PIF:米・英国・フランス等の旧宗主国主導の南太平洋委員会(1947年設立された地域協力機構。現在の名称は太平洋共同体)に対抗して、島嶼国の主体性を堅持し、結束を図ることを目的として1971年創設。設立当初は南太平洋フォーラムで、2000年にPIFと改称。加盟国はPN、フィジー、ソロモン諸島、ツバル、サモア等16ヵ国に援助供与国の豪州、NZを加えた18ヵ国。
(注2)クワッド会議:日・米・豪・印の4ヵ国でつくる連携や協力の枠組み。メンバー国は、民主主義などの価値観を共有していて、それぞれ連携を強めることで、インド太平洋地域で存在感を高める中国の行動を抑えたい狙いを持つ。米国は中国に対抗する上で価値観を共有する同盟国や友好国との連携を重視していて、クワッド会議を首脳レベルに引き上げて、2021年3月にオンラインの首脳会議を開催。同年9月には対面での首脳会議を初めて開き、今後は毎年開催することで合意。2022年5月には日本で開催されている。
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