バイデン政権は今年4月、9月までにアフガニスタン駐留米軍を完全撤退させると発表した。これに基づき、7月初めに首都カブール近郊の基地から米軍が撤退した。そうした中、米軍撤退を契機に、アフガニスタンや中央アジアにおける覇権を目論む中ロ両国が、同国のテロ対策を名目に合同軍事訓練を実施すると発表した。
7月29日付
『ニューズウィーク』誌:「中ロ両軍、アフガニスタンからの米軍完全撤退を受けてテロ対策名目の合同軍事訓練を計画」
中国人民解放軍(PLA)は来月、アフガニスタンから駐留米軍が完全撤退することを受けて、テロ対策の名目の下、ロシア軍と合同軍事訓練を実施すると発表した。
中国国防部とロシア国防省が7月29日、PLA西部戦区部隊がロシア東部軍管区部隊と合同で、「西部相互交流2021」と称した合同軍事訓練を8月上~中旬、中国西北部の寧夏回族自治区(ニンシアホイ)の青銅峡市(チントンシャー、黄河流域)で行うとの共同声明をリリースした。...
全部読む
7月29日付
『ニューズウィーク』誌:「中ロ両軍、アフガニスタンからの米軍完全撤退を受けてテロ対策名目の合同軍事訓練を計画」
中国人民解放軍(PLA)は来月、アフガニスタンから駐留米軍が完全撤退することを受けて、テロ対策の名目の下、ロシア軍と合同軍事訓練を実施すると発表した。
中国国防部とロシア国防省が7月29日、PLA西部戦区部隊がロシア東部軍管区部隊と合同で、「西部相互交流2021」と称した合同軍事訓練を8月上~中旬、中国西北部の寧夏回族自治区(ニンシアホイ)の青銅峡市(チントンシャー、黄河流域)で行うとの共同声明をリリースした。
同訓練には、併せて1万人の兵士の他、戦闘機・大砲・装甲車などが参加するという。
声明文によれば、“合同訓練によって、中ロ両国の戦略的パートナーシップの強化・発展を図り、以てアフガニスタンを含めた中央アジアの平和と安定に両軍が協力して当たっていくことを示す”としている。
中ロ両国は、アフガニスタンに20年駐留した米軍が完全撤退することで、同国の安定が脅かされることを憂慮していることから、かかる対応が必要と考えると表明した。
一方、かかる共同声明に先立つ7月28日、キルギスの首都ドゥシャンベで開催された上海協力機構(SCO、注後記)において、加盟8ヵ国は、オブザーバー国として参加したアフガニスタンの政情不安を慮って、全会一致で同国の平和と安定を脅かすテロ行為に対抗していくことに同意している。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相(66歳)はSCO加盟国に対して、中ロ両国で実施している「ピースミッション(2005年から始められた中ロ両国の合同軍事演習)」のように、域内の平和と安定を確立・維持していくために一致協力していくよう呼びかけた。
ロシア国防省によると、同相はまた、SCOの機会を捉えて中国の魏鳳和国防部長(ウェイ・フォンホー、67歳)と会談した際、“新感染症が世界で蔓延している最中にあっても、中ロ両国は今後とも相互協力していくことに合意した”としている。
これに対して、中国外交部がリリースした声明文によると、“中ロ両国は、これまでの協力関係を更に発展させ、如何なる分野でも安定かつ高度な次元での活動を継続していく”ことを確認したという。
同部声明によると、魏国防部長が、“アフガニスタン及び中央アジアにおける政情変化について、中ロ両国の共通した核心利益を確保していくため、同地域の安全保障を確固たるものにするべく一致協力していく必要がある”と発言したとする。
(注)SCO:中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8ヵ国による多国間協力組織、もしくは国家連合。中国の上海で2001年に設立されたために「上海」の名を冠するが、本部は北京。
閉じる