フランスメディアが中国と欧州(EU)の冷えた関係について報じている。中国市場に進出した欧州企業は現在も不利な環境の中でのビジネス展開を迫られており、王毅(ワン・イー)外相の欧州5ヵ国訪問も欧州側の不信感のために思ったような成果が出ていないという。
『レゼコー』によると、中国に進出している欧州企業は、中国がいずれ改革と経済開放の道に進むというかすかな希望を持っていた。しかし10日に発表された在中国欧州商工会議所の年次報告書は、1,700社の在中欧州企業の間で憤りは高まるばかりだと訴えている。
今年は欧州と中国の関係を祝う年になるはずだっただけに、幻滅はさらに大きく、ドイツでのEU27カ国首脳と習近平国家主席との首脳会談では、中欧投資協定が最終的に締結されるはずだった。...
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『レゼコー』によると、中国に進出している欧州企業は、中国がいずれ改革と経済開放の道に進むというかすかな希望を持っていた。しかし10日に発表された在中国欧州商工会議所の年次報告書は、1,700社の在中欧州企業の間で憤りは高まるばかりだと訴えている。
今年は欧州と中国の関係を祝う年になるはずだっただけに、幻滅はさらに大きく、ドイツでのEU27カ国首脳と習近平国家主席との首脳会談では、中欧投資協定が最終的に締結されるはずだった。しかし、世界が新型肺炎のパンデミックに巻き込まれ、予想外の緊張関係が生まれ、締結の話は消え去ってしまった。
在中国欧州商工会議所は、新型肺炎のパンデミック以降欧州企業に「新たな障害」が課せられるようになり、ヨーロッパ人がまだ歓迎されているかどうかを率直に疑問視しているという。
欧州企業は、中国に留まり景気回復の恩恵を受けたいと考えているものの、3月末の国境閉鎖後、欧州からの駐在員は中国に戻ることがほぼ不可能となっている。在中国欧州商工会議所の代表者Joerg Wuttke氏は、「貿易と投資における互恵関係の欠如が続いていることによる」摩擦を示している良い例だと述べている。
中国は国有企業を全面的に支援しているため、再生可能エネルギーやハイテクなど新たな分野での「外国からの投資を制限し、国内の代表的企業を支持することで欧州からの競合の可能性を完全に排除している」という。
金融や自動車など、欧州企業に開放している分野も出てきたものの、既に国内企業が市場を独占している分野が開放されるため、欧州企業にはパンくずしか残されていないことが多い。
こうした中、『Slate fr』は、王毅外相の8月25日から9月2日までのイタリア、オランダ、ノルウェー、フランス、ドイツの欧州5ヵ国訪問に歓迎の雰囲気はなかったと報じている。
欧州の指導者たちは、中国当局が新型肺炎の発生について透明性に欠いていることや、香港への圧迫政策、新疆ウイグル族への弾圧などを非難しているためだ。
特に最後の訪問国であったドイツでは、訪問が終わったその翌日に、ドイツ注政府が新たなインド洋・西太平洋地域との方向性を打ち出すと発表した。日本、インド、オーストラリア、インドネシアなどアジアの国々との自由貿易協定を結ぶことを目指しているというのだ。
ドイツ当局は、こうしたアジアの国々はドイツと同じ「民主主義に対する理解」を持っていると指摘しており、ドイツとしては、この「貿易多角化」によってドイツの対中貿易依存度を制限することを目的としている。
中国側は、自国のイメージを損ね、国際関係に支障をきたすヨーロッパからの非難になんとか反論したいところだ。何よりも、中国指導者への長びく批判は、米国の立場を強化することにつながるためなんとしてでも避けたいところだが、今回の訪問で外相は成果を上げることは出来なかった。
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