フランスの学校に忍び寄るイスラム主義、教師の37%が恐れのために自己検閲(2020/10/22)
フランスで16日、「市民と道徳」の教育授業で、表現の自由の例としてイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を授業で見せた公立中学校の教師が、イスラム教過激派の若者に殺害された。フランス政治界や教育関係者らは、国民教育の中で、共和国としての国の理念を脅かすイスラム主義の浸透を許してきてしまったことが問題だとし、共和国の理念の教育を守るための具体的な対策が必要だという声が上がり始めている。
『BFMTV』はこの事件に対し、元国民教育監察総局局長で、「イスラム主義の教育現場への浸透はどのようにして許されたのか」という本を 9月に出版したばかりのジャン=ピエール・オバン氏の見解を報じている。
オバン氏は、2004年に、学校でのイスラム主義の影響についての憂慮すべき報告書を提出していた。しかし、当時報告内容は注目を浴びることなく、政府は本腰を入れて対策を取ることはなかったと説明している。...
全部読む
『BFMTV』はこの事件に対し、元国民教育監察総局局長で、「イスラム主義の教育現場への浸透はどのようにして許されたのか」という本を 9月に出版したばかりのジャン=ピエール・オバン氏の見解を報じている。
オバン氏は、2004年に、学校でのイスラム主義の影響についての憂慮すべき報告書を提出していた。しかし、当時報告内容は注目を浴びることなく、政府は本腰を入れて対策を取ることはなかったと説明している。9月、RMCラジオのインタビューに対し「2004年から今日までの間に、状況はさらに悪化し、より広範囲に広がってしまっている 」と述べ、宗教と教育の境界線の欠如について警告していた。
『ルポワン』によると、世俗主義に違反する事件について国民教育省が2019年末に出した報告書では、教育内容に異論を唱える宗教的な声の割合は10~20%だった。しかし、オバン氏が9月に出版した本では、はるかに懸念すべき状況が報告されている。
教師に匿名で回答を求めた際、38%が、学校で本人または同僚が教えている特定の科目が、論争の対象になっていると回答している。そのうちの56%は、移民家庭の多い優先教育地区の学校だった。もっと深刻なのは、37%の教師が、論争が起こることを避けるために、自己検閲をしていると回答していることだ。優先教育地区の小中学校では、53%に上がる。
最も論争が起こりやすい科目は、歴史、地理、体育、生物、そして宗教の歴史であるという。
国民教育プログラム最高審議会の委員長を務めるスアッド・アヤダ氏は、イスラム教の浸透は、祈りの場の要求やラマダンの断食月の時の授業免除などの要求といった学校生活の面だけでなく、フランスの学校が提供している教育内容そのものに対する攻撃があることがより深刻であると訴えている。
今回の殺人事件を受けて、フランス共和党は19日、イスラム主義と戦い、教育現場の教師を支えていくための緊急対策を提案した。共和党代表のアバド氏は、「この事件で、共和国で最も神聖である学校が攻撃を受けた。これは分離主義的な行為ではなく、宣戦布告だ」と「ル・パリジャン」のインタビューで語っている。
緊急対策としては、過激派思想のモスクと祈りのホールの閉鎖、外国人である過激派イスラム教指導者の国外追放。また、教師が、世俗主義に対する攻撃を報告できる、特に教師に対する脅迫や侮辱がある場合には、生徒の親を起訴することを可能にする無料ホットラインの設置などをあげている。さらには、中学の卒業国家試験に共和国の価値についての試験や教師の国家試験にも世俗主義についての試験を導入することを求めている。
閉じる
フランス、3ヵ所の食肉処理場で新型コロナウイルス集団感染(2020/05/18)
フランスは11日、約2ヵ月の間、新型コロナウイルス感染拡大防止のために取られていた外出禁止措置の段階的解除に踏み切った。その矢先に、3ヵ所の食肉処理場で集団感染が発生した。フランス北西部のブルターニュ地方と西部のヴァンデ県、そして首都パリの南およそ100kmに位置するロワレ県にある食肉処理場だ。アメリカやドイツの食肉処理場でも集団感染が発生しており、食肉処理場での相次ぐ集団感染に消費者達の間に不安が拡がっている。
『AFP』によると、15日に6人の感染者が確認されたブルターニュ地方の食肉処理場で、他の従業員にもPCR検査を実施したところ、合計で69人の感染が判明した。また、ヴァンデ県での食肉処理場では、4人の感染、ロワレ県では、34人の感染者が報告されている。ロワレ県の食肉処理場では、今週前半までに約400人の全従業員がPCR検査を受ける予定だという。施設の消毒作業と、感染拡大防止策がきちんと取られていたかどうかの検査を行うために、1週間ほどの間、閉鎖されることになった。...
全部読む
『AFP』によると、15日に6人の感染者が確認されたブルターニュ地方の食肉処理場で、他の従業員にもPCR検査を実施したところ、合計で69人の感染が判明した。また、ヴァンデ県での食肉処理場では、4人の感染、ロワレ県では、34人の感染者が報告されている。ロワレ県の食肉処理場では、今週前半までに約400人の全従業員がPCR検査を受ける予定だという。施設の消毒作業と、感染拡大防止策がきちんと取られていたかどうかの検査を行うために、1週間ほどの間、閉鎖されることになった。
食肉処理場の入り口にはマスクや消毒ジェルが用意され、体温検査も行われていたという。
『フランス アンフォ』は、食肉処理場での集団感染は、複数の理由が考えられると報じている。ある従業員は、着替える場所が狭く、混雑しているとインタビューで答えている。また、施設の老朽化も原因の一つとしてあげられるとしている。今回感染者が報告されたヴァンデ県の食肉処理場の施設の一つは、昨年末、製造工程における衛生管理が老朽化が原因で衛生基準を満たしていないと判断され、閉鎖されていた。
『RMC』によると、フランスの食肉処理業者従業員の7割(約47,000人)が加盟する食肉処理組合の代表、マティユ・ペキュールさんは、「ドイツや米国とは異なり、私たちはソーシャル・ディスタンスが守れるように措置を講じました。作業場を再編成し、時差出勤を導入し、更衣室で従業員同士が密集することがないように休憩時間をずらしたりしました。マスクや、手を洗うなどの衛生対策を、日常的に取り入れています。」と現場での対策をアピールしている。
しかし、国民の間では、感染した従業員が扱った肉製品を購入することに対し不安が拡がり始めている。保健当局は、新型コロナウイルスは人から人への直接感染するものであり、肉製品を食べて感染するようなことはなく、肉製品の消費に問題はないと訴えている。
閉じる
その他の最新記事