【Globali】
米メディア;日本の移民受け入れ政策への批評(2015/02/25)
産経新聞が2月11日に掲載した保守派論客の曽野綾子氏(84歳)のコラムに対し、アパルトヘイト(注後記)を称揚しているとして、国内外から批判が出ている。この批判について、産経新聞及び曽野氏ともに、アパルトヘイトはもとより、人種差別などあらゆる差別は許されるものではないとはっきり否定している。しかし、依然人種差別が根強く残る米国のメディアが、この問題に引っ掛けて、日本の移民受け入れ政策を批評した。
2月20日付
『エコノミスト』は、「産経新聞が2月11日の建国記念日に掲載した、日本の著名な作家の曽野綾子氏のコラムにおいて、同氏はもし移民受け入れ政策を緩和するなら、居住区は人種別にすべきであると主張した。このアパルトヘイト容認とも取れる意見に対して、南アフリカの駐日大使が抗議したが、日本の政府もメディアもほとんど取り上げようとしていない。安倍政権は、人口減少や労働人口減問題に対応するため、毎年20万人の移住者を受け入れるとしている。...
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2月20日付
『エコノミスト』は、「産経新聞が2月11日の建国記念日に掲載した、日本の著名な作家の曽野綾子氏のコラムにおいて、同氏はもし移民受け入れ政策を緩和するなら、居住区は人種別にすべきであると主張した。このアパルトヘイト容認とも取れる意見に対して、南アフリカの駐日大使が抗議したが、日本の政府もメディアもほとんど取り上げようとしていない。安倍政権は、人口減少や労働人口減問題に対応するため、毎年20万人の移住者を受け入れるとしている。しかし実態は、主にインドネシアやフィリピンから、老人等介護補助業務を薄給で行わせるトレイニー(職業訓練者)を受け入れる制度の拡大であり、また、高度な技術者に限っての移住許可である。なお曽野氏は、かつて政府の教育再生に関わる委員会に所属しており(編注;2013年1~8月の間、教育再生実行会議委員を務めた)、そして中学校の道徳の教科書にマザー・テレサとともに掲載されている。」と報じた。
海外メディア等からの批判に対して、政府は個人の見解についてコメントは控えるとし、また、日本では法の下の平等が保障されていると強調した。一方曽野氏は、アパルトヘイトを容認しているものでない以上、自身のコラムの主張について撤回するつもりはないと明言している。
なお先週の段階で、この問題を大きく取り上げた在京メディアは、当事者の産経新聞の他は、朝日新聞と東京新聞のみであった。
(注)アパルトヘイト(人種隔離):1991年まで南アフリカ共和国で採られていた、白人と黒人などの有色人種を差別する政策。1948年に白人中心の政権が発足し、法律で人種別に居住区を定め、異人種間の結婚も禁じていた。
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